私の最期の先生 八話

八話 滑稽
murder side
俺は帰路で森崎の「お願い」のことを考えていた。

◇「神田さんを救う・・・・・・?どういう意味ですか?」「言葉通りの意味です。」・・・・・・?神田栞は何か危機的状況に陥っているのか?確かにいつも虚ろな目をしているが・・・・・・。俺に殺されるって言っている以上、自分自身を殺めることはおそらくないだろう。「?栞ちゃんから聞いてないんですか?」「何をです?」「・・・・・・栞ちゃんが、ストーカー被害に遭っていること。」

◇まさか、まさか神田栞がそんなことを抱えていたなんて。突如、俺の頭の中にキイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンンンンンと雑音のようなノイズのようなトラウマの毒が回った。あれ、どうして?恐い、恐いこわい。こわ・・・・あ、あああああああああ、ああああああああああああああああ・・・・・・!!!!!!

◇毒が回ったような状態で学校に戻ってきた。そろそろカウンセリング室に向かわねば。神田栞に会って・・・・・・森崎の様子を伝えて・・・・・・「相沢先生?」ラリった声がした。振り返ると佐野の姿があった。俺は何か言おうとした。その前に佐野が口を開いた。「相沢先生、だめですよ。生徒に手を出したら。」「・・・・・・は?」何言ってんだこいつ。「僕は生徒に手は出しませんよ。」「へえ・・・・・・。」次の一言で敵が分かった。「神田栞さんに付き纏っていたくせに?」「・・・・・・ほう?何でそんなことをご存知なんですか?」「そんなの決まってますよ。」・・・・・・?「俺は神田栞さんが好きなんです。好きな人を見ていたいのは当然でしょう?そして!俺と神田栞さんは!!結ばれ愛を築いていける運命なんだ!!!!!!!!・・・・・・それなのに最近あんたがちまちまちまちまちまちまちまちまちま!!!!!!・・・・・・目障りだぁ。だから、神田栞さんに教えてあげたんですよ。俺の溢れんばかりの!!!!愛を!!!!!!!!」・・・・・・・・・・・・言葉が、見つからなかった。ただ、驚くくらいの憎悪が腹の中に生まれた。抗議したかった。出来なかった。だって、俺は犯罪者だから。佐野の気持ちが、ほんの少し、分かってしまったかもしれないから。気持ち悪い。キモチ、ワル、イ。

◇警察が来た。俺はそこで、神田栞が性被害に遭い、「相沢がやった」と嘘の通報をされたことに気付いた。神田栞。ごめん。もしかしたら・・・・・・俺が先に死ぬかもしれない。

おまけ
実は佐野先生は神田の表面的なことしか見ていません。なので、神田の「死にたい。」という本心にも全く気付いていません。ということは、佐野先生の言う好きは何になるのでしょうか?

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