2024年6月29日:自問自答部屋

 俺は将来が心配だ。不安で不安でしょうがない。なぜこんなにも不安なのかわからないほど、漠然とした不安を抱えている。
 「ま、心配なことが実際にあったとしてだ。乗り越えるには落ち着いていなくっちゃあな!!」
「お前は一体何をいっているんだ?」
 自問自答部屋で、一人二役でボケとツッコミを繰り返す。はたから見たら心配されるかもしれない。
「とはいっても、落ち着くためには言語化するってのが大事だ」
「何故ですのん?」
はてさてなぜだろうか?
 俺はしばし考える。考えているっていうか考えている。
「やっぱり自由に言葉を使えなくなるからだな」
「言葉を自由に使えなくなるって?」
「パソコンとかは動かし続けていると、メモリに様々なデータが蓄積されていって、そのうち自由に使える領域が減っていく。すると処理するのに時間がかかってしまうんだ。俺は人間も同じように頭でずっと悩み続けていると、悩みが脳の領域を侵食してって考える力が弱くなるんじゃないかと……」
 上手く言語化することができず、要領の得ないことを言っている気がする。
「それもこれも全部、平日の仕事疲れと睡眠不足と、悩みの多さに起因するだろう。労働ってクソだわ!」
「それな!」
 労働のヘイトスピーチにツッコミ担当の俺が共鳴した。おいおい、どうするんだよ、どちらかが止めるはずだろうが。何やってんのまじで。
「とにかくだ!仕事じゃどうしても過度なストレスが生じる。避けられないことだ。ストレスを溜めると生産性とか健康とか、人間関係を悪くする。仕事のに悪影響しかださない。いいことが一つもない」
「そしたらどうするんだい?」
「仕事以外の時間を、とにかくストレスを減らすことに充てる。安心感を得るための行動をとり続けるのだ!」
 あたりまえのことをどや顔で言ってやった。こんなの単純な理屈だ。理屈ということすらおこがましい。
「休みの日だろうと頑張り続ける?それは聞こえはいいが、メリハリがないと返って効率を落とす。逆効果だ。強くなりたい、周りに置いて行かれたくないのなら、周りと競い合って高めるよりも自分にとってのベストをつくせ!」
 周りと比べてあいつに負けたくないとか、先を越されたとか、そんなことを考えていても苦しくなったり焦ったりするだけで精神衛生上よろしくない。苦しいことを考えて脳のリソースを余計に消費するくらいなら、その分を自己成長に使えと考える。
 忙しくて自問自答できなかった二週間。言葉にしなかっただけで、せき止めた思いがあった。それをようやく少し形にできたと思う。
「なんだか落ち着いた顔だね?」
 そんな声が聞こえてくる。今聞こえてきた言葉も自身が思ったことだ。
 実際にはそう思ってないかもしれない。思っているかもしれない。
「まぁそうだね。とはいえこの2週間と、これから先、結構濃い日々だったからな。まだまだ心の奥底で眠っている思いを掘り返せていないしな。」
そう感想を漏らすと、無機質な声で言ってきた。
「じゃあ、気持ちの整理が着くまで通い続けたらいいさ!」
 その提案に頷きで応じる。
 現実に戻るべく、この部屋を後にした。

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