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An Evening of Jazz Standards Vol.7 2024,8.27. Shuji Morita Tenor Sax Hatsune Hirakura Piano at Over the Rainbow IIDA

平倉初音。4歳からピアノを始め、ジャズベース奏者の父親の影響のもと、小学生の時にはバンドを組み、バークリー音大を出た新進気鋭。そんな前評判はもちろん、そのピアニスティックな魅力は、バッハ、ベートーベンにはじまる西欧古典音楽の多角的な修練を感じさせる、いわゆる「指のできた」、練れた全身的テクニックを持つ、たいへん優れた、経歴を知らなければ、こんな言い方は逆に失礼なのだけれど、日本の音大ピアノ科出かなとも思う、秀でたピアニストだった。そしてまた、森田修史にのびやかな、かつ、インテンシブな演奏を保証したコンピングも特筆に値する。

当夜はスタンダードのステージ。一曲目から森田のひとつぶだね、ゆきちゃんがダンスで参加して座を和ませる。森田のたっぷりした息でテーマからソロ。じゅうぶんにブルージィな平倉、8から4の交換でFin。続いて早いボッサ。対位法を重視したピアノから森田でテーマ。得意のハイトーンを散りばめてアイディア豊富。平倉ソロの新鮮でアイディア豊富なフレーズの連続に、私は形容する言葉を失っていた。D.C.終止の意思明確なコーダ… しかしこれ打ち合わせないんだよな?次はバラード。二人が自由にからんで、森田の泣き!まさしくtender!平倉ソロもtender でkind!アイディアの切れ!そしてハービーのナンバーをファストで。ユニゾンのあと、平倉ソロ。力づくでない、明確で力強いタッチ。森田ソロにも続く溢れるアイディア。D.C.ユニゾンから対位法的に。ファースト最後はバラード。平倉。そして森田で主題。森田がサブトーンぎみでたっぷりと歌い上げる。平倉の様々な美しいフレーズ。森田が一瞬食ってはいるときに、静寂・静謐の美を感じる。改めてここが森田のホームグランドなんだな、と、感じた。

セカンドはケニー・ドーハムのナンバーから。森田のバースソロでイントロ。しみじみとソロ。歌い上げるのでなく、あえてとつとつと。平倉のソロが美しい。D.C.続いての曲は、平倉バースで森田主題、平倉ソロはすこぶる冒険心豊富。ヘッドにもどって自由な展開、D.C.そしてファストナンバー。森田と平倉の対位法的からみ。ヴォイシングの独特とは異なる音の独立。平倉力業ではない、ゴリゴリのソロ!4小節交換2コーラスのあと、D.C. バラード。平倉のバースソロに、強く深いクラシックの修練を感じた。森田サブトーンぎみのソロから、十分に音楽を引き出す平倉。森田の泣き、そして平倉ソロ... 森田インで、D.C.セカンド最後はミディアム。森田テーマからソロ。平倉ソロのフレーズとコンピングの見事さに私は言葉を失った。ちゃんとしっかり弾いている。D.C.アンコールはブッ速いパーカーのFのブルースだった。

素敵な夜だった。ごく少人数での打ち上げも、ノンアルコールで、静かに親密におこなわれたものだ。

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