立ちくらみ格闘記 vol.1

 私はよく立ちくらみを起こす。気を失って倒れたこともこれまで数回ある。

 人生で最初に気を失って倒れたのは、小学2年生の秋だった。運動会の練習で全校児童が校庭に集っていた。開会式の練習で、何度もお辞儀の練習をしていた。初めは何ともなかったのだが、次第にわき腹が痛くなってきた。「お腹痛い」そう思った私だったが、尿意や便意ではないことは、小学2年生くらいになれば判別できた。

 そのまま練習に参加し、立ち続けていたところ、突然目の前が真っ暗になった。地面にどこかを打ち付けた記憶はない。だが、誰かに体を抱えられ、抱えている人の走るリズムに合わせて上下に揺られる感覚は少しずつ鮮明になっていった。当時の担任の先生にお姫様抱っこをされ、保健室に直行されたらしく、保健室に着く直前で意識が戻った。見上げると担任の先生の鼻の孔が見えた。当時の9月は今ほど残暑が厳しくなかったと思うが、それでも私を懸命に運んでくれたからだろう。おでこには大粒の汗をかいていた。

 保健室のベッドでしばらく休むと、体調ももとに戻った。吐き気や頭痛などは一切なく、その日は普通に学校生活を送った。それが私の初めての「立ちくらみ」だった。

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