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短編小説「無題」

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なんとか最後までできるように頑張っています。
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記事一覧

短編小説「無題」 vol.8

拝啓  夏本番を迎え、暑さに弱い私にとっては過ごしにくい日々が続いています。梅雨明け宣言…

seiさん
1年前
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短編小説「無題」vol.7

 土曜日に行われた試合は、予想していた通り苦戦の連続だった。昨年度までだったら圧勝してい…

seiさん
1年前
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短編小説「無題」 vol.1

 車を降りると、雲の隙間から星が数個見えていた。ここ最近の七夕の夜は、いつも曇っている気…

seiさん
1年前
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短編小説「無題」 vol.2

 着古したシャツのようにくたびれている体に鞭を打ち、夕飯を食べ終えた。仕事帰りに寄ったス…

seiさん
1年前

短編小説「無題」 vol.3

 両親が離婚した後、里美は母と一緒に住むようになった。もともと両親と里美は3人でアパート…

seiさん
1年前

短編小説「無題」 vol.4

 父からの手紙は次のようなものだった。 拝啓  暦の上では秋だというのに、まだまだ厳しい…

seiさん
1年前
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短編小説「無題」vol.5

 5年ぶりに入った祖父の古本屋は、思った以上に本があった。そのほとんどが日に焼けていたり、背表紙の上部がやや綻んだりしていたが、そのおかげで祖父がこの店で過ごした年月が無言のうちに眼前に迫ってきた。父が離婚しこの店に入ったのは15年前だけど、この店はそれよりもずっと前から、祖父とともにこの鎌倉に住み着いている。  以前来たときは、成人式の前撮りの写真を褒められ気恥ずかしく思っていたため、店の本などには目もくれていなかった。今回は、祖父の病気や死が胸の中に大きくあるため、自然と

短編小説「無題」vol.6

 祖父が亡くなってから、もう四十九日を迎える。人はよく「実感がない」という言葉を使うが、…

seiさん
1年前
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