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【寄稿】長男の抜毛事件

小学3年生のいつごろだったか、長男君が眉毛を全部抜いてしまった。え??何が起こった?私はおろおろするばかり。学校では元気者、体育が大好き。けれども帰宅すれば、それは暴れるという行為に変換された。気に入らないことがあると、モノが飛んできた。相談する場所がわからなかった。思い余って担任の先生に相談した。けれど、「学校ではいい子ですよ。お母さんの愛情不足じゃないですか」と一蹴されて一層ずんと落ち込んだ。あれこれ考えて、合法的に人にぶつかれたらきっと体力が発散できてよいだろうと思いつき、小学校4年生になった頃、長男君を小学生のラグビーチームに連れて行った。

あっという間になじんで、タックル大好きなちびっこラガーマンになった。眉毛はしばらくすると元通りになった。家で暴れるのはなかなか治らなかったけれど。今思い返すと、先生の言葉はある意味あたっていて、ある意味外れていたと感じる。私は長男君を大事に思っていたのに、その気持ちをうまく伝えられなかった。そして、頑なな私は元気な彼を、私の信じていた枠の中に入れ込もうとした。彼のあまりある元気を私は受け止めきれなかった。

ラグビーとの出会いは、彼の人生に大きな影響を与えたと思う。中学生になり、本格的な反抗期に突入した時、いくつも困難があったけれど、それでもラグビーは彼を支え続けたと思う。

■寄稿
Sさん 
不登校の家族の会すてっぷカフェ代表。
子育てをふり返るために、大学院で学び中

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