胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ♯77.5
Bonus track: 黒の舟唄
「バカめ……遊んでいるからこうなるんだ、天王寺」
暗闇で男は苛立ち、そして嗤う。
煙草に火をつけ、深く紫煙を吸い込み、溜息のように吐き出した。
「計画は引き継ぐつもりでいる。安心して逝くといい」
ーー異能の者など、この世に混乱を齎すだけ。秩序の上で成り立つこの世界に異分子など排除一択だ。
「天王寺、いずれお前も排除するつもりでいたのだよ」
ーーそれにしても危険な奴等だ。我々の領域まで踏み込んでくるとはな。
「排除には、それなりの人材を」
男の手には手練の『暗殺者』リスト。
ーー奴等の異能に合わせて、適した暗殺者を。真正面から殺り合う必要など無い。速やかに、この世から退場してもらえばそれでいいのだ。
ーーまずはコイツから。サカガミの弱点であろうこの女を消して、サカガミの心を乱して『先見』を鈍らせてからサカガミを狙う。
「準備を整えてから始動しよう。奴等を完全に抹殺する。『alpha計画』を」
ーー精々、楽しんでおけ。残り時間を。GOOD LUCK。
靴音を響かせて、男は闇へと消えた。
繰り返す連鎖の果て。
其処に残るは血の果てか。
これはまた別の世界線のお話ーー。
[完]
サポートなんてしていただいた日には 小躍り𝑫𝒂𝒏𝒄𝒊𝒏𝒈です。