見出し画像

胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ♯46


36.The soul of the blue sky
【kizuna remix】


ーースズタニ。

カヲルの病室でぐっすり眠ってるカヲルを見つめる。
「ふー、ちょいとキツい相手だねぇ……」
『スズねぇ……むにゃむにゃ』
カヲルの寝言は何を言ってるかわからない。
「まいったね、あたしがこんなに情が湧くとはね……あんたを巻き込まないようにしないとねーー」
スズタニは決意を決め微笑んだ。


ーーサカガミ。
冴子の病室で眠っている冴子を見つめる。
「あのお遊びには連れていけねぇな」
冴子をどうやって最期のお遊びに巻き込まないかを必死に考えていた。
「カズヤ、そんなこと言っても無駄よ」
「あ、おまえ、起きてたのかよ!」
「わたしを連れていかないなんて無理。死ぬ時は一緒よ。死ぬ気は無いけどね」
「全くよ、何も知らなくてよく言うぜ」
「カズヤの顔みたらわかるわよ、何となくね」


ーー悟。
目覚めたらいつか見たトラウマな天上。
「小鳥遊先生のところか」
隣でルナが寝息を立てている。
「何だかんだで、助けられてるな、こいつに」
ルナに目を向けて呟いた悟。
そんなことを言っている自分に驚いた。
ーー何言ってんだ……オレは。ひとりで思うまま生きて、くたばるつもりだったオレが……。妙な感じだ。今、この環境が……心地いい。

ルナはグッスリと眠っている。
悟はそれを見て、微笑んだ。

ーー小鳥遊。
裏口で煙草を燻らす。
「異能力者は引き寄せ合うってやつか……」
苦い珈琲を飲みながら、少し笑って火を消した。
「これも運命かね……」


夕方、小鳥遊医院に届いた手紙。

黒い封筒に赤い蝋で封がしてある。

『拝啓、異能力者の諸君。よく戦ってくれた。『七種』を屠ったのは見事だったよ。大したものだ。その健闘を讃えて、僕の城に招待しよう。七種との戦いで傷を負った事だろう?治してからでいい。僕の会社へ来るといい。僕が直接会ってあげよう。『X.D.corporation』の新社屋を建設中なんだが、特別にそちらに招待しよう。そちらの準備が整ったら連絡をくれたまえ。それまでは手を出さないでおいてやろう。キミ達は特別だ。出来うるならば僕の下で働いてもらいたいが……それも合わせて考えておいてくれたまえ。X.D.corporation 代表取締役社長 天王寺九十九』

サカガミが読み上げた内容を冴子の病室で全員が聴いた。
「随分と余裕ね」と冴子。
「あの会社の社長だからな」とサカガミ。
「あたしは何時でも殴り込めるよ?サカガミ」とスズタニ。
「上から目線が気に入らねぇな」と悟。
「なんなのー?こいつ??ちょーしのってる??」とルナ。
「まぁ、敵さんは余裕こいて待ってくれるそうだからよ、お前らは完治させる事をまず考えな。完治までは逃がす気はねぇけどよ」と小鳥遊は怪我した連中を睨む。
「お前らよ、天王寺はなかなか狂ってるみてぇだから、充分な状態で事に臨めや」と小鳥遊。
「先生なんか知ってんのか?」
サカガミは問う。
「ヤツは……お前らみたいな能力者を引き込もうとしているんだろうな」
「先生もしかして……」
「あぁ、オレも異能力者だ。お前らなら言ってもいいが『医療ドクター』の能力だ。多少の機器さえあれば後はこの身ひとつでオペくらい出来る。指はメスになるし、糸がなくても髪の毛使って縫合すら出来る。止血も掌があれば充分だ」
「マジかよ……」
「己の身を滅ぼすような能力者を囲い、ダメなら殺りたいんだろうぜ。それを見極めようとしたお遊びなんだろうよ?多分だけどよ」
「なるほどな、一理ありそうだ」

小鳥遊はみんなに言う。


「おまえらよ、オレのお気に入りなんだからくたばるんじゃねぇぞ」


全員ゆっくりと頷いた。

サポートなんてしていただいた日には 小躍り𝑫𝒂𝒏𝒄𝒊𝒏𝒈です。