[詩]凡庸なぼくだけど
割ってしまった貝殻をテープでくっつけたりして、
在ってほしいものを在らせようとしている。
手放したくないという感情は、
至極真っ当に四肢を縛る。
ぼくはきちんと人間をやっている。
海に投げ捨てたら清々した。
在るべき場所に返すのは正しくて、
さざめきの一瞬に紐のほどける音がした。
ぼくはきちんと人間をやっている。
この胸の暗闇の返却先を教えてほしいけれど、
未だかつて知る人はいない。
ぼくはきちんと人間をやっている。
貝殻の欠けた穴から光が差した。
ぼくはきちんと人間をやっている。
二度あることは三度あった。
一転二転してここまできた。
ぼくはきちんと人間をやっていく。
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