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インドに落ちた愚人ども。。。5     串ながら クシナガラ

勢いでつけてしまいましたが、愚人ども、とはこれいかにですよね。「ども」は、この旅、同行四人、うちの檀家さんです。愚人じゃありません。罰が当たります。

***巨星落つ

といっても、いまさらどうしようもないので続けちゃいます。今回はお釈迦様の涅槃の地であるクシナガラでございます。

静かで穏やかでしたね。寂寥感さえ漂っているような気がしました。でも、それって往々にして、先入観のなせるわざなんですよね。「お釈迦様が、ああ、ここで」なんて考えると、騒々しい車のクラクションさえ、しめやかな葬礼の鈴の響きに聞こえます。本当はどうだったんだろうねえ、と今思い返しているところでございます。

「涅槃堂」にお参りすると、大きなお釈迦様が横たわっておられます。触れてもいいんです。このお釈迦様の顔は見る角度によって、様々なる表情をうかべるというので試してみると、確かに違ったお顔のお釈迦様と出会うことができました。何だか不思議なものですねえ。

ちなみに当地で宿泊した「ロータス・ニッコウ・ホテル」は、近代的ではないものの、清潔感があり、しかも味わいがあったので、この旅一番のお気に入りのお宿となりました。

***最後の晩餐

お釈迦様は、35歳の時に覚者となり、その後、45年間「遊行」を弟子たちと共に行います。つまりはあちらこちら巡り歩いたんですね。そして、クシナガラの地で最期の時を迎えたのでした。御年80歳でありました。

クシナガラの、沙羅樹が2本立っている間にて、頭を北に顔を西に向けて亡くなったと言われています。さらいつき、ではありませんよ。沙羅双樹ともいいますね。<祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす>。『平家物語』にでてきます。

お釈迦様の、この涅槃の姿が尊いということで、これになぞらえて死者の葬送の初めに「枕返し=北枕」にする習慣が始まったとされています。

***キノコか豚肉か、いずれにしても

お釈迦様の死因は「食中毒」とされ、鍛冶工のチュンダが施した料理を食べてのことだといいます。スーカラ・マッダヴァって言うようですか、こりゃなんだといえば、諸説ありまして、キノコ料理じゃねえか、というのが、一般的です。びっくりするかもしれませんが、豚肉料理も候補に挙がっていたりします。

とにかく、料理を食べたお釈迦様は、激しい腹痛を起こして、倒れ込んでしまったんです。当然、チュンダは激しい後悔に襲われますよね。お釈迦様は「気にすんな」と言うんです。「あなたは最期の供養者ではないか。わたしの生涯を完成させてくれたんだよ」。死の床にあって、こりゃ優しい。ほんまに仏さんです。

         :::つづく:::



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