2023/5/8 東京 A.M. 1:31 夜中に突然目が醒める。 視界にはビネットがかかっている。 半覚醒している眼を転がして、部屋を見回す。 寝る前に閉めた、1Kのドアが開いている。 本棚の前に、足が見えない、しかし上半身は明瞭なシルエットの黒い影が1つ、佇んでいる。 私の体は動かなかった。 影がこちらに近づいてくる。 私の口は開かない。 影が近づく。 何もできない。 次の瞬間、私の手が動く。 ビネットが晴れる。 ドアが閉まっている。 部屋は明るさ15パーセントのパソ
挨拶から約1週間が経った。 授業が始まり、履修は修正期間に入り、生活リズムは徐々に戻りつつあった。とはいっても、大学まで歩いて3分、走って1分半の距離に住んでいるため、仮に1限があったとしても、起きる時間は遅い。生活リズムが完全に戻るのは4年後になりそうだった。高校とは違い、解放感しかないキャンパスとお洒落な人しかいない大学生活に、1週間で慣れるはずもなく、洗濯物が次の日までに乾かなければ着る服が無くなりかけない危機感と、いつまでたっても直らないトイレの換気扇の音を毎日聞い
先輩の日記が、面白かった。これが始めた理由。 引っ越してきて、外を歩くことが増えた。都会の音を聞くことが増えた。駐車場が狭いコンビニを見ることが増えた。電車の中で、下を向いている人を見ることが、増えた。たくさんのものを見た。でも、言葉にできない。 視覚や聴覚で得た情報を、言葉で表現することは、存外難しい。文学的な表現を取り入れることなんて、もってのほか。日常に興味を持つために。意識して、いろいろなことを感じるように。練習あるのみ。それと、僕の場合は、読点を入れるのも下手ら
