欲望酔い

「彼らはなにに酔っていたのかしら」
「酒と違うんか」
「どうやらお酒ではなさそうだわ」
「じゃあ自分に陶酔してたんかな」

「怖かったわね、なにごともなく村を出られてほっとしたわ」
「酔っぱらいにからまれると道理が通らないからな、災難というしかない」
「あれだけよくも酔えるものね、恥ずかしくないのかしら」
「酔っ払ってるかんな、恥も外聞もねえだろうよ」

「恐ろしいものだわ酔っぱらうって、自分の殻に閉じこもってしまうのね」
「自分が正義だと他者に押し付けるから始末におえねえ」
「気配りや気遣いができなくなってしまうのかな」
「そりゃあ己の欲に酔いつぶれているからどうにもならんよ」

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