ヒッチハイク 後編


前編まとめ

 東京でのライブで負け、大阪までのヒッチハイクを決意。何とか大阪まで到着!しかし大阪の吹田SAにて苦戦を強いられる。

 その時僕らの前に、タトゥーが入った青髪のおばさんが現れる。。。

後編


 おばさんは1時間待っていた僕らに、声をかけてくれた。
「神戸駅まで送ってあげようか?」

 神戸駅は小杉さんにとっては近い。だが僕にとっては少し遠い駅だった。小杉さんが嬉しそうな顔をしていた。

 僕は1つ前の車で小杉さんが寝ていた事を思い出した。僕が8時間も喋っていたのにだ。
 気がつくと「あ、すいません!大丈夫です。」と断っていた。

 小杉さんは信じられないと、僕に怒っていた。ここでかなり嫌な雰囲気になった。
 流石に僕が悪い。元々のゴールは、勝手に僕の家の近くに設定していたからだ。

 「じゃあ5台以内で絶対成功させるわ。」と謎の解決策を提案した。
「分かった。」
通った。アホや。

 すると見た事ない変な色のプリウスが止まった。今までと同様に、目的地を書いたフリップを掲げる。

 中から人の良さそうなおじさんが、手招きしてくれた!
なんか成功した。

 おじさんは天王寺という、僕と小杉さんに同じ位遠い駅に送ってくれるらしい。
「もちろんお願いします。」
と2人で言った。

 車内でおじさんがお坊さんだと言った。奇跡的に僕らも実家が寺だ。僕らもです、と伝えた。あまりに奇跡的だった。

 僕らの状況を説明すると、おじさんは笑ってくれた。本当にいい人だった。おじさんは僕らの予定を聞いて、空いてることを確認すると
「今から社長とご飯に行くから、君たちも来なさい。」
と言ってくれた。
 結論から言うと、このおじさんはかなり偉いお坊さんだった。


 おじさんが勤めていたお寺まで着いた。僕でも見たことがある、大きなお寺だった。その後、社長を乗せて市場に向かった。
 市場の中にある老舗の鰻屋で、鰻をご馳走になった。信じられない位フカフカだった。

 おじさんが電話で席を外した。すると社長があの方は本当にすごい方だ。と僕らに言った。
「若い頃にモンゴルを、バイクで1周しはってんで!」 
そのエピソードちゃうやろ。

 
その後今度は社長の奢りで、喫茶店に行くことになった。僕らは2人の会話を聞いていた。すごく良い時間だった。
 
するとおじさんがトイレで席を外した。すると社長が僕らに、あの方は本当に凄い人だとまた教えてくれた。
「75歳やけど体ムキムキやねんで!」
それちゃうて。

 その後社長とは解散して、おじさんと3人になった。おじさんが勤めていたお寺を、見学させて頂けることになった。

 ここで本当におじさんが凄い方だと分かった。おじさんが通ると、店の人は笑顔になり挨拶しに店先まで来る。警備員や案内の方もだ。皆に愛されているのが伝わってきた。
 
 お寺を凄く丁寧に案内して頂いた。僕らは眠かったが、それでも楽しかった。おじさんは最後に名刺を渡してくれた。また何かあれば、と言ってくださった。


 このヒッチハイクで色んな人にお世話になった。乗せてくれたどの人もいい方で、面白かった。本当に感謝している。


帰り道、僕らは2人になった。2人でお坊さんの車の色を調べながら爆笑した。あんな色は見たことがなかった。

 

 

 

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