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心のハードルを下げる

田中慶子さんの「新しい英語力の教室」キャンプを終えて

「パートナーはイギリス人」「カナダ在住15年」「子供はバイリンガル」と日本人に言うと大体言われるのが「じゃぁもう英語は完璧よね」というセリフ。

私は一度たりとも自分の英語が完璧だと思ったことはない。もちろん、日本語も完璧に使いこなせると思ったことはないが、母国語であるがゆえに修正方法のメソッドが多いのでリカバリーしやすいのだ。

英語に対するハードルは、英語環境で暮らしていてもどこまでも、いつまでたっても高く感じ、飛び越せるとはどうしても思えなかった。必要不可欠だから使ってるに過ぎない英語のまま15年が過ぎた。

だからといってこのままの英語でいい、と思ったことは一度もないが、どうしても向き合うための痛みが怖くて、できなかったらどうしよう?という不安が強くて無視してきた。

そんな私がVoicyパーソナリティーで同時通訳者であり、コーチングもしていらっしゃる田中慶子さんFlier book camp に参加したのは、タイミングがちょうどよかったから、と言っても過言ではない。

9月は節目になる北米

慶子さんがこのキャンプを開講すると聞いたのは8月だった。カナダには移民向けの無料の英語クラスもあるので、それも検討していたのだが、子供の送迎を考えると時間的に厳しかった。

とはいえ、独学で行けるのか、という面では不安が強く、何よりも自分自身の英語の実力ってどんなもんなのかもあまり分かっていなかった。課題はある、と漠然と分かっていても、課題が何かがわからないのだ。

慶子さんの講座も日本時間の夜7時(バンクーバーは深夜2時)となると、ライブ参加はできないし、かなり迷っていたのだ。ライブで参加できない講座にそこまでコミットできるのか?と。

Flierさんからは「アーカイブがあるので、ライブ参加する必要性はない」と言われていたものの、自分の英語を学びたいという熱量をある程度保ったまま、動画学習でいけるのか?と疑心暗鬼だったのは間違いない。

それでも講座を受ける決心をしたのは、9月は新学期だったから、と言っても過言ではない。下の子供が入学する、時間ができる=やることを決める、と覚悟したのだ。

使える英語と伝わる英語の壁

15年もカナダで暮らし、仕事もしたことがあるし、移民するための書類とも格闘し、パートナーを見つける時もアプリの800問あるアンケートにも英語で答えた。

妊娠出産もカナダで経験し、子育てもカナダでしてるとなると、そこそこ英語を使って生活はできるのだ。ただ生活できるのと、心を通わせることは違う、と感じていた。

ただ、それが「自分の英語力のせい」だと分かっていても、どこが弱くて、どう伸ばせばいいのかが分かっていない、という事実を知らなかった自分に一番驚いた。

抽象的な言葉はアイディアはくれても、解決策は与えてくれないのだ。そしてそこを深堀することは苦痛を伴うケースも多く、だからこそ私は向き合えず、英語に伸び悩んだのだ、と今はわかる。

娘が小学校に入り、Phonicsと呼ばれる発音の勉強を始め、彼女に自分の発音ができていないことを指摘されるたびに、私は今も傷ついているが、それはどうにもならないことなのだ。

だからこそ、仕事として英語と向き合う慶子さんの英語術とはなんなのか、通じる英語ではどうしてダメなのかを考えるきっかけになる講座でもあった。

世界共通語の英語とは

「世界共通語として使われている英語は”Broken English”」

「新しい英語力の教室」より

日本人は、どうしても”完璧な英語”、”Native speakerと同じレベルの英語”が話せることを目指しがちであるが、私がカナダに来て一番驚いたのが「聞いたことがある英語」を話してる人の少なさである。

カナダは移民大国。カナダで生まれ育っていないが、生活し家族を築いている人がたくさんいる。加えてMulticultural actという法律で母国の文化や習慣は保護されている。

私が移民申請をしたころは、英語に関するテストも必須ではなかった(現在は申請条件によっては必須)。英語を話せない移民も今でもかなりいるのが現状である。

私が前述した「聞いたことがある英語」とは、いわゆる映画やメディアから聞いたことがある英語、つまりNative speakerもしくはそれに近く矯正された英語を指す。

ところが実際耳にするのは、母国語にかなり影響された英語で、私が話すのももちろん日本語に影響された英語。かみ合わないことも当然多々ある。特に電話は致命的である。

私のパートナーはイギリス人で、それこそ英語しか話せない人だが、時折北米では使わない単語を使ったり、アクセントが全く違う話し方をすることも多い。

こうなってくると、「正しい英語」とはなんなのか、と定義づけることすら、まるっきり意味がないとも思える。つまり、「自分の手持ちアイテムでどう相手に気持ちを手渡すか」が重要なのだ。

渡した後は、そこから先は相手の受け取り方を確認し、お互いにすり合わせていくよりほかない、ということも講座を受けていく中で学んだ大きな事実の一つだ。

コーチングで見えてくる私の英語術

4か月にわたる英語術講座では、コロンビア大学でコーチングを学んだ慶子さんのコーチング技術もふんだんに使われていて、自分で問題を洗い出していくことができた。

私の場合、ちょっとしたスモールトークを楽しめないこと、英単語が聞き取れないこと、そして言いたいことを表現する語彙力のなさ、そして聞き直されるたびに凹むことが問題だった。

講座のなかで使われたワークは「新しい英語力の教室」に詳しく書かれているのだが、講座を受けることで、慶子さんのチェックが入るのももちろん、Bookラボではお仲間がいたことも大きかった。

「宿題」としてこのワークを提出する、そしてスタディーグループの少人数でシェアをしながら進捗を報告する。こうして「宣言効果」「サポート」をしあって英語力を伸ばしていく。

「コーチングメソッドが読むだけだと分かりにくいかも」と慶子さんがおっしゃっていたが、私に言わせれば、”誰か見張りがいれば絶対やるんだよ”である。

セルフコーチングほど、自分を律して取り組まなければならないものはない。少なくとも、私は提出義務がなければどんなに自分を進化させると頭で分かっていても、やらない。
(だったにも関わらず、最後の宿題を出さなかった私はポンコツすぎる)

この一番難しい習慣づけを仲間と始めること、これでスタートダッシュができたのは大きかった。慶子さんは「始める時が一番モチベーションが高いんです」と。

やる気の波と戦う

私の場合、英語環境ではあるものの、好んで英語で情報を取りに行くことはなく、英語で発信することもない。すっと言葉が出てこない、すっと頭に入ってこないものは苦痛なのだ。

まず試してみたのが、内容が分かっている本を英語で読んでみること。意外と読めたのだが、いかんせん、読むスピードが遅すぎる、そして読む時間をまとめて取りにくい。断念し、要約アプリ「Story shot」に変更。

英語の発信も今まで日本語でしかしなかったインスタに英文も加えて、PodCastも始めようと、英語チャンネルを作成し、録音を試みてみたが、言葉が出てこない。

そこで「しずかなインターネット」と呼ばれるプラットホームでまずは英語の台本を書いて、それを読み上げるとこからはじめよう、とプロフィールを作り、そこで止まっているw。(いや少なくとも始めたことを褒めよう)

今までは英語字幕を読まず、日本語の音声だけを楽しんでいた映画やアニメも、見たことのない単語が出てきたら、それを調べてXに投稿することにした。

発音矯正のElsa Speakも登録してみたが、いかんせん、発音の仕組みが分かっていないため、説明を読んで理解はできるが何度もやり直せと言われることに嫌気がさして、まずは音の出し方を学ぶのが先かもしれない。

大人向けのPhonics YouTube を見つけて、それを見ながらとにかく「音の出し方」をダメ出しなしで練習することにした。発音の正確性は会話の中ではそこまでは必要ないが、聞き取るためには必要。

勉強の計画を立てても、やってみて、うまく行かないときは、仕組みそのものが自分に合ってないことも多く、それを繰り返してきた慶子さんだからこそのアドバイスも助かった。

そのあたりは慶子さんがサバイバルイングリッシュを学んだアメリカ生活を綴った「不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由」にも詳しく書かれている。

そしてスタディーグループをはじめとするお仲間さんの英語への取り組みも参考になった。「Duolingoのフランス語を英語で学ぶ」「常に聞いてるVoicyの一部を英訳してみる」など、ながらでできる方法を私は思いつかなかった。

そして一番重要だったのは、「習慣化」である。DuolingoやElsaはリマインドが来るので、どうにか続くが、ほかのものはとにかく毎日・毎週やってる何かに紐づける必要がある。

・・・が、できてないのが現状(そんなもんだよ、私の意志力なんて)。

少なくとも英語環境にいるので、英語力が目に見えて落ちていくということはないのが救いではあるものの、新年を前に、今から習慣として英語発信を組み込む方法をいろいろと試していこうと思う。

そして課題の一つでもあったスモールトーク(何気ない井戸端会話)は、正直日本語でもあんまり知らない人に話しかけたりしないよな、ということでこれはもともとの気質の問題だ、と気づいた。

終わりに

言葉はあくまでも道具の一つである。使いこなすためには使い慣れるしかない、ということを改めて実感した田中慶子さんの「新しい英語力の教室」講座だった。

英語に限らず、どんな言語であっても、学び方は人それぞれ、レベルも千差万別である。そんな集団であっても慶子さんのこの講座は「道具としての言語」の学び方を自分で探していける講座だった。

英語が話せたらグローバルな人材になれるわけではないが、世界をもっと知る、という点において、英語が使えることは、どれだけテクノロジーが発展したとしても、スピードが段違いだ。

ましてや自分の考えを伝えるうえで、自分の言葉で紡ぎ出した言葉と自動翻訳で出てきた言葉には、まだまだ大きな差があるAI途上な今現在では、英語という道具が使えることは、大きな強みだ。

そして、「大人の学びの場」として、Flier Book Campは慶子さんの講座以外にも「これ、学んでみたい!」と思う講座が毎月開講されるので、今後も利用し続けていきたいと思っている。

もし、英語を学びたい、英語ってどうやって身につけるといいの?と思っているのなら、慶子さんの著書はおすすめである。

そして慶子さんの人となりがよくわかるVoicyチャンネルはもっとおススメである。

長いこと英語を使う環境にいながら、ずっと避けていた英語を使いこなすということに向き合うきっかけをくださった慶子さんとFlierさんに大きく感謝している。

英語は、使ってなんぼ。怖いけど使ってみたら意外と使える!という経験さえあれば、楽しさも見えてくる。私の英語の成長痛も峠を越してきたところだ。なので、ここから大きく伸ばしていこうと思う。


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