おしゃべり24時間リレーを終えて
9月26日は、私がボランティアで運営に関わらせていただいている「世界のママが集まるオンラインcafe」通称:せかままcafeの誕生日です。毎年、この26日に一番近い週末にイベントをしています。
それが「おしゃべり24時間リレー」でした。
2周年の24時間イベントからのお付き合い
私がせかままcafeに参加し始めたのは、2019年の夏のころでした。たまたまFBのグループの紹介に挙がってきたのに目をとめたのがきっかけでした。その時のテーマは「夏休み、どうしますか?」でした。
当時、息子はまもなく4歳、そして娘は1歳半という頃です。走り回る息子と、歩きはじめの娘を追いかけまわしていたころでした。引っ越しが終わってやっと落ち着いたころでもありました。
その後、2周年記念で行われた24時間イベントに運営側で参加させていただいて、開き隊と呼ばれるせかままcafeの運営チームに仲間入りさせていただきました。
ずっと心の中にあった思い
私がせかままcafeに初めて参加したときに抱いたのは
「あぁ、産後うつで悩んでいた時にこういう場所があったらよかったのに」
でした。
海外で高齢出産、日本にいる家族に頼っていいのかどうかすら迷うほど、自分の親との関係は微妙な状況にあった息子の妊娠・出産の時期。ずっと自分は大丈夫、やればできる、と思い込んでいました。
それが最も信頼できるパートナーにすら、頼ることができず、深い深い産後うつの闇にはまっていった6年前。日本語で吐き出せる場所が誰よりも欲しかったのは私でした。
カナダでは産後うつの治療もサポートも充実していますが、すべて英語。母国語を利用したい場合は通訳を挟むことになります。それなりに英語ができる私は、通訳までは、と躊躇しました。
それでも、誰か、私の話を日本語で聞いてほしい、という思いがずっとありました。そして精神科や心療内科のハードルが高い日本のお母さんももしかしたらそういう人がいるんじゃないか、とずっと思っていました。
育児中のお母さんが落ちる闇
おしゃべり24時間リレーで1時間の枠をいただいた私は、何をテーマにしようか悩みました。楽しく盛り上がれそうなテーマも思いつきましたが、最終的に「産後うつ・育児ノイローゼの嘘・本当」に決めました。
産後うつで苦しみ、フルコースの治療を受け、回復してから二人目を出産し、とはいえ、まだまだ同じことで悩み、ぐるぐる同じところを回ることがしょっちゅう。きっとこれは話してみる価値があると思ったのです。
女性は、月経周期に付き纏われ、月の満ち欠けとともに28日という短い期間に春夏秋冬と季節を一巡りするようなホルモンバランスの大変化を起こします。
これをうまく利用できる人もいるし、あまり影響を受けない人もいます。でも、出産はさらに輪をかけた大きなホルモンバランス変化があり、私もその変化についていけない一人でした。
出産の高齢化、女性の社会進出などの環境因子の変化に伴い、ホルモンバランスの変化に敏感になる女性が増えています。若くても生理不順や婦人系のトラブルを抱える女性が増えている現代です。
わかっているつもりでも、気づかないうちに、ホルモンが心を壊すほど影響する事実を、たくさんの人に、当事者であるお母さんが私の体験談で気づいてくれたらいいな、と今回このテーマに決めました。
産後うつ・育児ノイローゼの現実
産後うつの大きな原因
・授乳
・睡眠
・パートナーシップ
・出産のトラウマ
おしゃべりのなかで、取り上げた一つがこの産後うつの原因因子です。産後うつを引き起こすのはホルモンですが、そのトリガーになる4つです。私の場合は息子が眠ってくれないことでした。
私の場合は、緊急帝王切開というのもありました。帝王切開の傷が産後ずっと痛かったこともあり、あのままもしかしたら頑張れば・・・という思いもあったかもしれません。
いいお母さんになりたい、仕事を辞めずに4人の子供を育て上げた自分の母親には負けたくない、みんなできてるんだから私も。そんな思いにがんじがらめになっていました。
息子は8月の後半が誕生日。バンクーバーはそこから雨の季節に突入することもあり、初めての産後、一番バンクーバーが楽しい時に外に出られなかったのも大きく影響しました。
痛みで思い通りにならない体、眠ってくれなくて泣き続ける息子。その泣き声が私を責め続け、こんなに責められるのなら殺してほしい、死にたい。そう思うことも1度ではありませんでした。
泣き残しの涙と母親業への侮辱
実はこういう話をしながら、メインホストでありながら、泣けてきてしまって、ティッシュを取りに走りました。一番つらい時、人は泣けないものですが、思い出すと涙が止まらなくなることがあります。
泣きたかったときに泣けなかったら、それはずっと後を引きます。もう終わったと思っていた産後うつとの闘い。まだ実は尾を引いていたことを私は思い知らされました。
このおしゃべり会では、インスタグラムでママを支えるサトウさんがせかままcafeでオンラインセミナーを開催してくださったときの動画の一部をシェアさせていただきました。
「職業:母親」、サトウさんが必ず子育て講演会でお話するエピソード。出産を控えた9か月で仕事を辞め、現在まで専業主婦という立場にいる私は、実は”職業:母親”を自信をもって言えてなかった事実に気づきました。
それは、おしゃべりの終盤で、サブホストで入ってくださった八王子店のゆうこさんが「今は自信をもって”職業はお母さん”って言える」という一言がきっかけです。脳天をかち割られた気持ちになりました。
私は「お母さん」であることを誇りに思っていただろうか?
どこかで、仕事を辞めずに4人育て上げた自分の母親と張り合っていたかもしれません。仕事をしながらお母さんをしてる友人をうらやんでいたかもしれません。
皆さんはどうでしょうか?
ご自身がお母さんなら、自分が「職業:母親」を、そうでなければご自身のパートナーやお母さんが「大事業:母親」をしているという目で見ていらっしゃいますか?
死亡原因:自殺
先進国と言われる国で、出産後1年以内の死亡原因1位は、今もなお、自殺です。周産期の精神科がある欧米各国でもそれは変わりません。私が産後うつで悩んでいた時に行方不明→自殺で遺体が見つかったケースもありました。
私は、産後2か月、と早い時期に治療に踏み切れたというラッキーケースでした。保健師さんがしつこく電話をしてくださったことに今は感謝しています。
ですが、多くの場合はサトウさんの奥様、美幸さんのように、9か月を過ぎたころに発症します。それは、我慢に我慢を重ねて、限界が来るのがちょうどそのころだからだと思っています。
お母さん自身が助けを求めることももちろん重要です。ですが、それ以上に「子育てはお母さんならできる」という神話は、嘘だという事実をお母さん自身も自覚してほしいと切に願っています。
私が一方的に話すという形になったおしゃべり会でしたが、これで産後うつや育児ノイローゼで悩むお母さんやその周りにいる人が一人でも多く、助けを求めることができたらいいな、と思っています。
産後うつ体験者として、この体験談がお役に立つのであれば、いつでもシェアします。母親という大事業、自信を持ってまっとうしていこうと思っています。
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