トップインタビューまとめ(2024)



旅行関連


9202  全日空



海外旅行、回復に期待 全日本空輸社長・井上慎一氏 欧州などへ新路線・増便検討
井上慎一社長は「2024年以降、海外旅行も回復してくる」 国際線の増便を検討
テレワークの定着などで、足元のビジネス需要はコロナ禍前の6~7割程度 レジャー需要はコロナ禍前を超える数字に24年も好調に推移する
「国際線は足元で、北米がコロナ禍前の9割、アジアが8割まで回復
中国は増えてはいるが3~4割で推移し、少し需要は弱い 24年は中国、欧州線でもう一段の回復が見込める
「24年以降は回復してくると思っている。海外旅行の代表的な路線は米ハワイだ。ここが23年でかなりしっかり戻ってきた
(海外旅行の回復が鈍い理由に)円安の影響はあった
「廃食油などからつくる再生航空燃料(SAF)に期待 「日本は30年に利用する燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げている。24年度の税制改正大綱では戦略分野国内生産促進税制でSAFも対象になることが決定
「国内外ともに人材確保は難しくなり、委託会社に支払う料金の引き上げが必要
23年は(国内空港の地上業務を担う)グランドハンドリング(グラハン)の全委託会社30社に支払う料金を引き上げ

空港では地上業務を担うグランドハンドリング(グラハン)人材の不足が深刻 保安検査の負荷を減らすため、パソコンなどを出さずに手荷物を検査できるスマートレーンの導入も広げる」
松山空港などでは地上業務の機器類を日本航空と共用し始めた 航空各社が別々に空港業務の品質を追求してきた。今は機器類が均質化し、人手不足も重なって協調機運が一気に高まった
23年度末に向けては国内線が19年の同期の9割超の水準に、国際線も8割程度まで戻るとみている
日本の空港の人手不足は、海外航空会社による新規就航や増便の一部を拒否するまで深刻になっている


ジップエア・トーキョー

若い世代の出国パワーに期待 ジップエア・トーキョー社長 西田真吾氏 カナダ線、就労者に照準

2023年4~12月をみても、22年同期と比べて若い世代の出国のパワーが強まっている 「アジア方面も好調だ。韓国向けはK-POPアイドル目当てなど、日本の若い女性だけかと思っていたが、男性の移動も活発
「インバウンド(訪日外国人)の利用が好調 タイ・バンコク線や米ロサンゼルス線は非常に好調 一昔前に比べて日本の国の魅力が広まっている
SNS(交流サイト)などで若い世代からの評判がいい。若い世代へ認知度が高まれば、中距離LCCへの理解も広まる


阪急交通社




海外旅行、クルーズから復活 阪急交通社社長・酒井淳氏 「現地だけの体験」注力


人数ベースではコロナ禍前の18年比で9割前後の戻りだが、売り上げベースでは約3割増えた。客単価が18年から3~4割上がったことが寄与
需要に合わせて商品を見直した結果、宿泊を伴う商品が増えたほか、ホテルやバスの仕入れ価格が上昇

コロナ明けの旅のキーワードは? 「現地に行かないとできない体験」地域振興と結び付けたツアーに力を入れている

「航空運賃の上昇や現地の物価高、そして円安の影響が大きく、23年の海外旅行費用は18年比4割高かった」
24年度の海外旅行の売り上げをコロナ禍前比で8割、人数ベースで約6割と見込む
「海外旅行で一番早く動き始めているのはクルーズ旅行」 23年度の予約は人数ベースでコロナ禍前を10%程度上回っている 円安の影響を受けづらく、旅行先は韓国や台湾が人気」

9708  帝国ホテル




新タワー館で盤石な経営基盤 帝国ホテル社長・定保英弥氏 待遇、コロナ前超え目指す

客室単価はコロナ禍前の1.5倍ほどになっている コロナ禍を経て『量』で稼ぐという考え方から、『質』を上げて適正価格で販売しようという戦略を一段と進めている
24年もインバウンド需要は好調が続くと思っている 為替が円安水準で外国人から見たお得感もある
タワー館の収益を約5年間失うのは厳しいが、立派な新タワー館をつくって、改めて経営基盤を盤石にしたい
「タワー館の営業終了に伴い、人的資源を本館に集中させたい 特に調理部門では人手不足の解消につながる 賃金水準を含めた労働条件をコロナ禍前に戻し、できればコロナ禍前より良くしたい


8961森トラスト



ホテル客室数1.5倍に 森トラスト社長・伊達美和子氏 独自の体験価値で訪日客つかむ
ホテルの客室数を足元の4400室から、2031年3月期までにさらに2000室増やし、1.5倍にする
「1人当たりの旅行支出の上昇が重要 23年1~9月で21万円と、19年通年を約5万円上回る。23年は客数こそ19年に追いつかないが、旅行消費額は19年の4兆8135億円を超え、5兆円並みに
客数回復と客単価上昇を考慮すれば24年は6兆円も視野に
当社の運営ホテルでは海外客の中心である欧米系の宿泊客の回復が早い。平均客室単価(ADR)はコロナ禍前を上回るホテルも
東京や京都以外の、外資系ホテルがまだあまり展開していない地方でも高級ホテルの開発を進めたい  国内には五つ星ホテルが計画中を含めて100弱あるが、コロナ禍前に海外から年間約4000万人が訪れていたタイより少ない  限られたリソースの中で生産性を上げるには高単価のホテルが必要
森トラスト・ホテルズ&リゾーツでは23年、賞与を含めた年収ベースで16.8%の引き上げ 今後も賃上げを検討する


ニアミー(ライドシェア)

相乗りでタクシー不足に挑む ニアミー社長 高原幸一郎氏 専用車導入・直前予約も

タクシーの人手不足を受け、一般のドライバーが有償で顧客を運ぶライドシェアが4月に一部解禁 
「大阪は『日本交通グループ関西』、東京では日の丸交通(東京・文京)といったように各地のタクシー会社と組んだ
『シェア乗り』と名付けて、通常のタクシー料金と比べ4~5割安くなる
タクシー市場規模が全盛期の半分程度まで縮小しており、料金を下げれば新規顧客の開拓につながり、移動の問題が社会課題と認識され始めた
タクシーの乗車率は40%、乗車人数が平均1.3人
「シート位置やスペースの工夫など、乗り降りしやすい相乗り専用車両を投入 事前予約制だけでなく、座席数にゆとりがあればリアルタイムでも乗車できる機能も盛り込む」


コンビニ



2651ローソン



最短10分 デリバリー充実 ローソン社長・竹増貞信氏 タイにナチュラルローソン検討
竹増貞信社長は24年、「デリバリーに軸足を移していく」
これまでは原材料の価格高騰に伴うコストプッシュ型のインフレだった
各企業が24年春にどの程度賃上げをするかが一つのポイント
実質賃金がプラスになっていることを確認できれば、消費は今年も安定して拡大することが期待できる
新型コロナの発生後、在宅勤務などが増えて変化した生活様式に対応して、当社は冷凍食品や店内で作る出来たて弁当などに注力 商品価格の上昇を消費意欲が上回った一年
「今後はデリバリー(宅配)サービスの充実にもより軸足を移していきたい 自分の目で見ないと買わないと言われていた生鮮品も宅配で頼んで買うように変わりつつある
現在約700品の宅配対象商品が4倍超の約3000品に増える 「約1万4千ある全国の店舗を物流拠点と位置付け、クイックコマースを広げていく
都心の超高層ビル内の店舗はリモートワークも根強く完全に回復していない。出店は住宅街や郊外、観光地に計画


ファミリーマート


地方局と商品開発・販促 ファミリーマート社長・細見研介氏 買い物に楽しさ、コクヨとは文具
「PB商品は足元で全体の36%を占めている 今後は新しいものをたくさん出すより、定番商品をしっかりと育てていく 緊急需要で購入する動きが多かったが、コンビニエンスウエアのように目的を持って来店・購入する形を増やしたい
24年春からはコクヨと連携した文房具も販売
店長を補助する人型人工知能(AI)アシスタントは24年2月までに5千店以上に入り、8年ぶりに全面刷新した店舗業務支援システムの導入も進めている サイネージは24年2月までに1万店に設置する予定
新型コロナ禍の3年間で街並みが変わってしまった 地方では個店や飲食店の廃業が少なくない
学校の一角などに無人決済店も増やす。海外はアジアを中心に積極的に
「23年12月に社員約3000人に生成AIのアカウントを与えた

3382セブンアイ



《年頭所感》井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長 新たなシナジー創造
今年は諸商品の値上げは一段落すると予測されるが、生活防衛意識は高まっており、価値と価格のバランスを意識したMDが必要
ワンストップショッピングのニーズも高まっており、2月にはセブン‐イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂の連携による「SIPストア」を出し、検証

「在宅勤務が増えたことで自宅近くで消費する動きが広がった 商圏が狭くなっているため立地を厳選 米国で販売するホットドッグやピザ、日本のスムージーや揚げ物などの需要は高い 店舗密度が濃くなればサプライチェーン(供給網)の効率性は高まる」
「最短30分以内に商品を宅配する『セブンNOW』の伸び代は大きい


9946 ミニストップ



「真のコンボストア」確立 ミニストップ社長 藤本明裕氏 ファストフード一本足脱却

ベトナムで店舗拡大をはかる一方で国内では店舗整理を進めてきた。
これからは(PB)の時代になっていくとみており、『価格で買うもの』と『価値で買うもの』を賢く使い分けるお客様が増えていく」
このままだと売り上げが落ちてしまうため、買い上げ点数を増やせる施策を打てた企業が生き残る
弁当や総菜類はまだ十分ではないと考えており、そこも強化したい
19年から販売していた『100円おにぎり』を22年に値上げしたことで朝の時間帯を中心にお客様が離反 「23年12月からおにぎりを少し価格軸に振り、(税抜きで)100~140円の価格帯に集約
価値軸に振った手づくりおにぎりにも取り組んでおり、そちらは大きく伸びている
人手不足にはどのように対応しているか? 作業がしやすい環境を整えて、今働いている方々が辞めない環境にしていく。
クイックデリバリーや電子商取引(EC)も含めた店舗だけではないタッチポイントも増やす


スーパー


7532パンパシフィック HD



顧客の声で「都合のいい店」に 独自のアミューズメント体験提供 パン・パシフィック・インターナショナルHD社長 吉田直樹氏
顧客の声で商品の値下げや店舗の改装につなげるレビューサービスを始める
『日常』と『非日常』でお金のかけ方を工夫する『メリハリ消費』が際立っていった 24年はいよいよ厳しくなるだろう 『これは買うのをやめよう』などと思い切って消費を諦めるなど、消費者はますます早く決断するようになる
23年11月に始めたサービス『マジボイス』で商品政策と店作りを変えていく これまで店は商品や陳列などの内外装について、自分たちの論理だけで作り上げてきた


 

食品関連


1332ニッスイ




陸上養殖、ノウハウ蓄積 ニッスイ社長 浜田晋吾氏 脱デフレ時代の商品、研究開発強化
「国内はインフレに賃上げが追いついていない」食品は値上げについてきていただいている感じはあるが、単価の高いものは売り上げが落ちている。物流費を中心に今年もコストは上がる」
食品や物流費の上昇を通して、価値に対する適正価格の考え方は変わっているか? 「変化の兆しはでてきている」デフレが収束に向かうなかで、お客様が商品を選ぶ際の判断はどんどん厳しくなっていく 品質を高めて手に取ってもらえる商品を作る意識を持つ必要がある」
研究開発にお金をかける。販促にお金をかけなくても売れる状態が理想で、そのようなものが作れるメーカーが生き残っていく
陸上養殖の技術開発などに投資していますが、黒字化のめどは?
陸上養殖は自然災害の影響をあまり受けず一番安定的だが、コストが高い
陸上養殖事業の黒字化は世界でもほとんど例がないはずで、生産性を上げるにはまだ時間がかかる
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の速い商品の構成を増やす取り組みを進めている
養殖では、ある程度育ったマグロを漁獲して半年ほど太らせる短期蓄養のマグロの扱いを増やしたい 卵から育てるマグロ養殖は4~5年かかり、その間在庫を完全に寝かせることになりリスクが大きい 養殖期間が長くかかりすぎるものは見直しも必要



1333マルハニチロ



共同配送、冷食も視野マルハニチロ社長 池見賢氏 ニーズ多様化、製造拠点確保し対応
「冷凍食品の値上げは22年から数えて今回が4回目 人件費に加え、物流の24年問題に直面して物流費の値上がりが大きく、上げざるをえない状況
「ドライバーが足りず、トラックの台数そのものも減っていく。働く時間の制限もあるので(配送に)時間もかかるようになる 「冷凍食品は伸びている分野で、各社の競争意識も強いが、物流は競争分野ではない。運べなければリスクが大きい
食品工場は機械化が進んでいるが、(商品の)見た目をきれいにするために人手でトッピングしたりしている。このような日本ならではの製造方法は、人手不足の中で見直す必要がある」
「工場で機械を動かしてこそ利益が出るが、消費者のニーズはどんどん変わる。自前の機械で同じものを作るだけでは対応できない
「品目数が増えると管理の手間が増え、運べないリスクも大きくなる グループ工場やOEMで製造拠点の選択肢を増やさないと戦っていけない」
「世界で水産物需要が高まるなかで日本は買い負けの状況だ。国内の水産物もきちんと調達すべきだと考えている  「日本の漁獲が減っている背景には資源管理の問題もある 我々が投資する外国の漁場は資源管理が厳しく、禁漁になることもある  食糧安保の観点で日本の水産物は楽観視できない



2501サッポロHD




ビールに追い風、競争力取り戻すサッポロHD社長 尾賀真城氏 恵比寿で醸造、存在感高める
ビール系飲料のうちビールの構成比が高く、酒税改正が追い風
「23年12月から一部で製造が始まり、本格的に(業績に)寄与するのは24年の真ん中くらい
米ウォルマートを筆頭に小売りにも入り始めている (減税もあり)ビールに追い風が吹いてきている
24年もコスト高は続くのか?「金利や為替次第だろう。原材料で一番ボリュームが大きいのは(ビール原料の)麦芽。副資材の部分では缶も大きい


2502 アサヒGHD



ドライとペローニ、世界で飛躍 アサヒGHD社長・勝木敦志氏 「未来型」レモンサワー、変革の旗手

米国はリセッション(景気後退)の懸念が現実味を帯び、年末に向けては大統領選挙がある 中国の経済減速は身構えておかなければいけない
原材料の砂糖や果汁などが高値圏にあり、為替の変動もある。想定外の極端なコストアップがあった場合、当然それに対応した値上げをすることになる
フルオープン缶を採用し、レモンスライスが入った未来のレモンサワーを6月に発売 
「グローバルにはスーパードライとペローニの(ビールの)2ブランドを特に伸ばす ペローニはノンアルコールや(アルコール度数3%台の)ミッドストレングスなどの商品が好調
日本では22年10月の値上げが想定以上にスムーズに市場に浸透 酒税改正第2弾、ビール減税についてもうまく波を捉えることができた
フランスでのスーパードライの販売数量は23年1~9月で前年同期比2.4倍になり、欧州全体では4割増えた ビールとスポーツ、特にラグビーとの親和性の高さを感じた。
「ビールや飲料という商品が改めて必需品だと感じた。 景気が本格的に上向き、プレミアムなものが力強く売れていくという状況にはまだなっていない。


2503キリンHD


健康深掘り、海外でも キリンHD社長・磯崎功典氏 キャリア人材採用、全体の5割に

オーストラリアの健康食品メーカーブラックモアズを約1700億円で買収
ヘルスサイエンス事業に力を入れる。27年には同事業で売上収益2000億円をめざす」
インバウンド(訪日外国人)の数もコロナ前まで回復しているが、以前と国籍は異なっている。豪州や欧米から来る人が多いが彼らは、日本の価値を再評価するようなコト消費が中心。買い物の仕方が変わってきている」
23年8月から豪州で製造販売を始めた缶チューハイ『氷結』が非常に好調



2587サントリーHD


脱デフレ「おもろい商品」で勝負サントリーHD社長 新浪剛史氏 米国攻略、RTDで世界一めざす
「サントリー生ビール」を発売した。販売計画を当初の1.3倍に上方修正するなど好調 24年4月には国産ウイスキーの希望小売価格を最大で2倍超に引き上げる大胆な策に出る
「23年は久しぶりに値上げがお客様に認められた変わり目になったが、24年は厳しいだろう
デフレからインフレ。おもろい発想の会社が残る、いい意味での新陳代謝が起きている
ローソンの社長時代、デフレ下での新商品作りは大変だった。今まで以上に付加価値商品をいかに売るかという時代に変わってくる
「日清食品は全部気になった。どんな商品、アプローチにしても発想が豊かだ。商品の質もいいし新しいおもろい商品が出てきている



シャトレーゼ


「賃上げ率先、値上げは我慢」 シャトレーゼ創業者・斉藤会長に聞く

国内外の店舗はまもなく1000店を突破 昨夏は猛暑による需要増に冷菓の生産が追いつかない事態も
「値上げは一部です。確かにシュークリームは20%値上げしたが、それでも1個120円(税別)だから他社よりは断然安い
「卵など原材料価格は上がったがそれ以上にコスト削減の余地は大きい できるだけ値上げはせずに我慢して頑張る」
「賃上げは世間よりも少し高い水準で進めていく」
「国内店舗数は24年3月末に850店になる計画。この2年間は年15%で出店が増えた。
「24年は1店舗当たり売上高(全店平均日販)の拡大に力を入れる。足元の日販は70万円近くになり、セブンイレブンの水準が視野に入ってきた
販売増のためにギフト需要を取り込んでいく 今は自宅用7割弱、ギフト3割強の販売だが、少子高齢化を考えると国内では比率を逆転させたい」

「国内は、2400店はいけるとみている。首都圏はまだまだ出店余地が大きい
「国内だけでなくアジアも大きなマーケット。若い世代が多く経済成長も進み、お菓子を求める家族層がどんどん増える。いま成長スピードが速いのがインドネシア グループ売上高1兆円のために海外市場の具体的な戦略をこれから描く」



百貨店




3086JフロントHD


小売りの強み 一段と磨き 地方の食・伝統工芸、発信に意欲 J・フロントリテイリング社長 好本達也氏
23年に加速した富裕層やインバウンドの需要は24年も続く 価値があると感じたものにお金を使う消費のあり方は百貨店の外商客だけでなくパルコの客など若者にも広がっている
一方で中間層の市場は小さくなっている 百貨店が得意としてきたフォーマルな服やギフトなどハレの日の需要が減っている 仕事着のカジュアル化や中元・歳暮文化の衰退で日本の中間層が厚かった時代に売れた商品は厳しい局面に これまで値上げが受け入れられた非日常品の消費意欲も下がらないか注視
「高級ブランドにとってエリア内で一番店となる売り場を作りたい
「高額品だけでなく日本文化にも伸びしろがある 新型コロナ禍前は東京や大阪に集中していたが、京都や札幌も客足が伸びている 渋谷パルコはポケモンセンターや任天堂の直営店といった日本アニメが人気を集め、インバウンド比率は約3割まで上昇


8244 近鉄百貨店



近鉄百、FC運営7割増の100店に 駅ナカにも出店 26年2月期の達成目指す

従来はアパレルを中心にテナントを誘致してきたが、好採算なFC事業で日常使いの店舗を増やしていく  
「運営の自由度が高く人員配置などをコントロールしやすいFC事業は利益率が高い。60店舗を運営しているが、26年2月期の店舗数を100店舗と現在から1.7倍に増やす。FC事業の売上高は23年2月期の3倍の400億円に引き上げ
百貨店内だけでなく、今後は百貨店の外にも出店する。食品と雑貨を販売する複合型FC店舗を広げたい


外食関連


3197すかいらーくHD

値下げ、選ぶ楽しさ提供 すかいらーくHD会長 谷真氏 マレーシア好調、店舗2桁目指す
23年11月に「ガスト」の一部商品を値下げしました 外食の楽しさをどれだけ提供できるかが大きなテーマで、値下げもその手段の1つ 割安な小皿メニューも増やしており、もう1品を注文する楽しさを具現化 値下げ後も客単価は上昇し、想定通りに推移
日曜日を最大のターゲットにして売り上げをあげていく 食器を下げるオペレーションなどが不十分 食事を終えたりデザートを注文したりした席の確認は、これまでは従業員の目視に頼っていたが、システムを活用して表示板を通じてできるようにする
この3年間で旅行や外食を控えたことで預貯金の余裕が生まれ、コロナ明けに外食への支出が増えたためで、この傾向が24年まで長続きするかというと極めて厳しいとみている
働き方改革や食に関するライフスタイルも変わっている。 「カニバリ(共食い)が起きている店舗などを対象に業態転換を進めている 「出店ブランドは『ガスト』や『バーミヤン』が中心
郊外のロードサイド型の事業ポートフォリオから都市部の駅前にシフト
4店舗展開しているマレーシアが好調 平均年齢も若く、外食習慣が根付こうとしている 27年までに海外店舗数を(現在の2倍以上となる)170店舗程度まで拡大  米国ではしゃぶしゃぶ業態が好調  足元で外国人従業員は前年比3割増の1800人だが、24年は3000人まで増やしていきたい

7611ハイデイ日高

好調ハイデイ日高、DXで増収呼ぶ 青野社長に聞く 女性も追加注文
売上好調の要因は、店舗のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速していることが一因
タッチパネル式のオーダーシステムを取り入れたことで、大声で店員を呼ぶ必要がなくなった。女性の顧客も入店しやすく、追加注文も入りやすくなった  現在は190店以上で導入
関東圏外という観点では、東北方面にも拡大しようと考えている
将来的にはアジアや欧米を候補に、海外にも挑戦したい」
グランドメニューを長く変えてこなかったが、商品部とも話をしながら24年春におつまみなどを入れ替える準備 メニューの刷新をフックに、消費者に『ちょい飲み』の魅力を伝えていく


8153モスフード

店舗網再拡大、新業態も実験 モスフードサービス社長・中村栄輔氏 手の届く黒毛和牛、二極化に対応
年50店舗程度の出店を掲げ、新型コロナウイルス禍で一度縮小した店舗網を拡大
消費が二極化する中、高価格帯のバーガーやカフェ業態で競合と差異化を図る
繁華街や商業施設など立地ごとの回復度合いの差はなくなっている 販促を強化した朝や夜の需要も戻ってきた 店内飲食の割合はコロナ前比で5~10%低く、持ち帰りの活用など店の使い方は変わっている
モスバーガー&カフェ」も増やしているが、通常のモスバーガーに比べて売上高などの数字が良い
繁華街や駅前だけでなく、喫茶店がないような地方でもニーズがある 23年12月時点で約70店舗ある
3年3月の価格改定後は顧客の反応を見守ってきたが、客数も大きくは落ち込まず受け入れてもらえたと見ている 光熱費や人件費などの経費が上がっており、価格戦略は今後も考えていかなければならない
23年11月からは22年度に続き黒毛和牛を使った高級バーガーも販売 売れ行きは22年度よりも好調 今後も少しリッチなバーガーの展開は検討したい
人流回復などで、出店場所の取り合いが激しくなっている。建築コストも上がっており、出店までにかかる時間が長くなっている 人のオペレーションを究極に絞り込んだ業態としてチーズバーガー専門店を実験店として出店 野菜を全く使わないことで下準備の手間を減らしている
23年11月時点でフルセルフレジは46店、セミセルフは382店に導入 テーブルオーダーやセルフレジの導入拡大に向けて実験中 改装で厨房機器の入れ替えも順次実施しており、キッチンの効率化も進めている



8179ロイヤルホスト




海外に直営ロイヤルホスト ロイヤルHD社長 阿部正孝氏 「日本式ファミレス」可能性探る
24年の外食消費の状況は予測しにくい。外食事業は賃上げの状況を含めて経済状況に左右される
インバウンド需要を取り込んでいる(空港内レストランなどの)コントラクト事業やホテル事業についてはそれほど懸念していない
23年12月までの1年間は値上げしなかったが、為替や原材料高でどうしても単価を上げざるを得ない。値上げだけでは(コスト増に)対応できないので、商品の絞り込みを進める
24年春をめどに約2割のメニューを減らす 商品数を減らすことでメニューの入れ替えを効率化できるほか、メニュー印刷の費用も削減
12月の価格改定後も今のところ既存店の客数が伸びている
コスタコーヒーは実験として位置付け 銀座のような基幹店や持ち帰り専門店などの日本の市場可能性を検証し、有望な勝ち筋があれば積極的に展開
「24年6月をめどにロイヤルホストの直営店をシンガポールに開業する予定 価格は日本の2~2.5倍を想定 パスタは2000~2500円程度で検討 『てんや』は海外が好調で、シンガポールやフィリピンなどでFCと直営を含めて出店を進めていく
てんややロイヤルホストでAIによる自動発注を進めている 発注作業が不要になるほか、配送量も抑えられる効果  てんやではAI(人工知能)カメラやNFT(非代替性トークン)を使った実験を進めており既存店への活用を模索
物流では23年10月にてんやの物流センターを埼玉県内に新設した。発注から納品までをデジタル化することで効率化進める


9861吉野家HD




持ち帰り専門で顧客開拓 吉野家ホールディングス社長・河村泰貴氏 30年ぶりFC募集、内食化に危機感
「吉野家」でテイクアウトを専門に扱う小型店を軸に出店を拡大
「モノやサービスを選ぶ消費者の目が厳しくなるとみている 日本よりもインフレが進んでいる米国ではすでに(外食から)内食へのシフトが起きている 23年10月に値上げしたが、客数への影響は想定よりも小さく抑えられている
「ただ可処分所得が増えない中では今後、外食の回数を減らしたり、昼食を抜いたりする消費行動が起きる可能性があり危機感を持っている
吉野家でも20年以降の3年間で低迷していた午後8時以降の売上高が回復しつつある」
人件費や食材などありとあらゆるものが値上がりしている
牛肉の仕入れ原価を左右するのが現地相場と船賃、為替 牛肉は年単位で仕入れており、足元の為替は来期(25年2月期)以降に影響
「10、20年前と比べると牛丼の販売比率が下がっており、少ない販売数量でもおいしい牛丼を提供するオペレーションの確立が課題
23年5月に2分半で唐揚げ商品を提供できるようになったことで一気に販売量が増えている 販売構成比で23年12月は目標としていた15%を超えており、来期は20%を
パート・アルバイトの賃金改善が続く中で、「106万円の壁」問題への対応が課題になっている


家電量販店



3048ビックカメラ



買い替え長期化、提案力で打破  ビックカメラ 秋保徹社長 販売員表彰、やる気引き出す
「巣ごもり需要の反動減により、業界全体としては非常に厳しかった 在宅勤務の浸透で買い替え需要を先食いしたテレビやパソコンが不振 エアコンは22年に半導体の調達不足が響いて供給量が減った反動と、23年の記録的な猛暑により、22年の実績を大きく上回った
「インバウンド(訪日外国人)客が増えたことが全体の底上げにつながった インバウンド売り上げの4割を占めていた中国客はまだ半分程度しか戻っていないが、韓国や東南アジア、欧米など、これまであまり利用のなかった顧客が増えた
カメラや美容家電、ゲーム機などがインバウンド客から人気 驚いたのは、韓国客の売上高の約6割をウイスキーが占めている  他社と比べて全体の売り上げに占めるゲームの比率が高く、ヒット商品の有無が売り上げを左右
家電などの耐久消費財の買い替えサイクルが長期化しているが、人口が減る中で商品の機能性は高くなり、単価もどんどん上がっている 非家電商品の売り上げを増やしていく

ドラックストア



3088マツキヨ



「小売りのPB」からブランドに マツキヨココカラ&カンパニー社長 松本清雄氏 商品力向上、海外売上1000億円へ
24年の消費行動は、23年よりも活発になるだろう 化粧品は24年春の消費者の動きがターニングポイント 『今春こそは新しいメーク用品を買おう』という流れになるのではないか」
「景気が悪くなればなるほど、逆に『自分の趣味にはきちんとお金をかける』という層が増えている 化粧品は身だしなみとして、節約志向が強まるなかでも需要は落ちにくい
今までファンデーションを使っていた女性が、不景気になって化粧をしなくなることはなく、『質の高い化粧品を使いたい』という気持ちは変わらない
郊外型店舗の駐車場には充電スタンドの設置を広げたい


アパレル


3608 TSI HD



《トップインタビュー2024》TSIホールディングス社長 下地毅氏 横並び脱し「洋服屋」らしく
予測しづらい1年でした。寒暖差も激しく、MDが難しかった
「アンドワンダー」は目覚ましい成長ですし、「ショット」や「アヴィレックス」もいい
「ステューシー」「ハフ」も好調 ゴルフブームの風を受けた「パーリーゲイツ」のピークは過ぎ、「ナノ・ユニバース」もまだ復活途上
23年とあまり変わらないのでは。消費者に浸透し始めた二次流通との取り合いもある インバウンド(訪日外国人)の売り上げは増えるでしょうが、日本人の消費は過度には期待できない

8011三陽商会





百貨店へ積極出店にかじ 三陽商会社長 大江伸治氏 高級品、裕福な中間層に照準
2023年2月期の連結決算は7期ぶりに営業黒字になる
今後、ハイエンドな商品の開発を目指すと強調
百貨店向けの店舗は24年2月期末に前期と比べて20店以上増える見通し アッパーミドル(裕福な中間層)の需要を取り込む考え
今年のアパレルの市場をどう見る?富裕層の世帯数は増えており、そういった人々の潜在的な購買力はむしろ拡大 アッパーミドル向けや、ラグジュアリー市場については引き続き拡大余地がある インバウンド(訪日外国人)の売り上げも23年と比べてさらに拡大する
品質を高め、消費者が感じる商品の価値に見合った価格を設定
正価で商品を販売する比率をもっと高めて粗利益率を改善していきたい
「業績が改善して結果が出てきたことから、社員の意識も変わった
百貨店にニューリッチ(新富裕層)を中心とした新しい顧客がどんどん増えている インバウンド客も来店しており、市場としては少なくとも今後数年間は拡大する
ただ中長期的に百貨店はそれほど大きく成長する市場ではない 直営店や電子商取引(EC)、アウトレット向け店舗の出店にも力を入れていく
会社を成長させる原動力は商品力と販売力 商品力は既存のラインアップをいかに刷新していく
販売力強化の一番のポイントはリピーターの比率を高めていくこと


8016オンワードHD



《トップインタビュー2024》オンワードホールディングス社長 保元道宣氏 成長戦略を加速し攻めへ
23年2月期の連結業績は4期ぶりの営業黒字となった オンワード樫山のOMO(オンラインとオフラインの融合)型の新サービス「クリック&トライ」は388店(23年11月末時点)に拡大、店頭で複数のブランドが試着できる・購買できるなどお客様の支持が非常に高い
チャコットは強化しているコスメ関連が大きく伸びています クリエイティブヨーコの「ペットパラダイス」は、新規客獲得も進んでいます 渋谷・原宿、鎌倉の路面店はインバウンド(訪日外国人)も多く、商品の個性や土産として


8219青山商事




駅前に小型店、若者呼ぶ 青山商事社長 青山理氏 EC魅力向上、修繕対応店を拡大
《24年・価値組宣言!》青山商事 スーツから逃げない オーダーで単価上昇、教育実る
青山商事「洋服の青山」メンズ24年春夏 猛暑に向け高機能 本格スーツは高級感
オフィスへの出社や冠婚葬祭が増えたことでスーツを着る機会が戻ってきた 実店舗の売り上げは好調だったほか、22年から続けている値上げが奏功して売上高が増えた
テレワークが一定程度定着したこともあり、市場は戻ってもコロナ禍前の8割ほどの規模になると考える 働く人の好みが二極化しており、カジュアルでよいという層と、仕事着が必要だという層に分かれている  客単価が既製服よりも8割程度高いオーダーメードのスーツを訴求 現在はウールの選択肢が中心だが、ストレッチ性のある生地の取り扱いを増やす
オーダーが占める割合は16%だが、この比率を30年度に50%まで高める
レディースオーダーに対応する店舗も増やす 管理職の女性らからのニーズを見込んでいる。足元では約150店の洋服の青山で対応できるようにした
「都心部ではブランド集約型の小型店『スーツスクエア』の出店拡大を検討 駅前を中心に開設する店舗で、20~30代の顧客獲得 店舗面積は200~230平方メートルほどで高効率に運営
紳士服以外の事業の割合を、足元の3割から4割程度に高めたい
飲食店のフランチャイズ事業では求職者が集まらず、出店をしたくてもできない 25年3月期から年間の休日を3日増やすなど待遇の改善に取り組む
オーダースーツブランド「クオリティーオーダーシタテ」(税込み3万1900円から、最短14日間納期)が23年秋に全店(688店)への導入を達成 オーダースーツは、既製スーツよりも採寸箇所が多くなるうえに、生地やボタンといったディテールも自分好みで選べるため、販売員の提案力やヒアリング力が今まで以上に必要
「洋服の青山」メンズは24年春夏、高機能アイテムを充実させつつ、ドレスアップを楽しむ提案も強化 高機能を追求する「#すご」シリーズでは、猛暑対応商品を拡充


8214AOKI HD



《トップインタビュー2024》AOKIホールディングス会長 青木彰宏氏 モノ×コトで新たな価値
ファッションマーケットもオフィス回帰でスーツの需要が回復
コロナ後はオケージョン需要が増え、確実にハレの場の装いとしてスーツが不可欠
オフィスでの服装の自由化も広がり、当社の「パジャマスーツ」を含めてセットアップ、合わせるインナーもタイドアップのシャツからハイネックのセーター、ポロシャツ、Tシャツとスタイリングのバリエーションは増えています
店頭の商品構成もスーツ4割(従来5割)、カジュアル3割(2割)、レディス3割(3割)を目標に変えていかないといけない。
着用シーンの多様化が進み「お客様がどんな服を選べばいいか」が難しくなっており、店頭でのコーディネート提案が求められいる。


9983ファストリ



《連載・売り上げ10兆円へ ファーストリテイリング柳井会長兼社長に聞く》㊦ 成長を通じてより良い世界作る
ファーストリテイリングは24年8月期、売上収益3兆円超えを見込む
「5兆円までの道筋はほぼ見えた。10兆円は決して途方もない目標ではない」
ユニクロが全世界で売ろうとしてきたのはデザインも品質もシルエットもトレンドも兼ね備えた、新しい価値を持った服 何年も「ライフウェア=究極の普段着」を磨いてきた。世界中どこでも通用する普遍的な価値を追求してきたから、グローバルで売れるようになった
客数減は小売業にとって悪いことです。値上げは売る側の都合
平均給与は上がっていない。インフレとの兼ね合いで見ればむしろ目減りしている。当然、余暇や教育、服など情緒的な物事に費やすお金は減る 若い世代に古着が人気なのは、服にお金をかけられないという切実な事情も
給料を上げるには、企業が成長して収益を上げていくことが大前提
値上げが通って売り上げが増えたとしても、客数が回復しなければ、どこかで頭打ちになる。よく考えて判断しなければいけない
悪循環から抜け出すには、何よりまず若い世代の給料を上げるべき
グローバル市場は大きく、まだ成長の余地がある

小売業とIT(情報技術)の業界の垣根は全部なくなるとみている
「電子商取引(EC)では、今後3〜5年で数千億円を投じて世界中に自動倉庫をつくっていく。生成AI(人工知能)は(事業に)取り入れてはいるが信用していない。フェイク(噓)を生み、悪用もありうるので(使える人を)制限している」
「航空運賃と船便の価格が(コロナ禍前の)3〜10倍近くに上がっており、コスト環境は悪化
(24年の消費見通しについて)消費者心理はすでに悪くなっている
一部の富裕層やインバウンド(訪日客)が百貨店で買い物しているだけに見える。世界的に厳しい状況が続くだろう」

アウトドア・スポーツ

3028 アルペン



新春首脳インタビュー》アルペン 水野敦之社長 スポーツカテゴリーを強化
昨年はコロナ禍から正常化し、各種スポーツ大会が本格的に再開
WBCでは日本が世界一になり、女子サッカー、バスケットボール、ラグビー、バレーボールと色々なカテゴリーが注目 アウトドアはキャンプの落ち込みをカバーするために、アウトドアアパレルやトレッキングを強化 キャンプショップ〟ではなく、夏はマリン、冬はスキー・スノーボードと総合的アウトドアショップにしていく
今年はオリンピックの年なので、日本人選手の活躍する競技に注目 スポーツデポ」が好調で、スポーツカテゴリーを強化

7514ヒマラヤ



新春首脳インタビュー》ヒマラヤ 小田学社長兼CEO 健康意識の高まりにも対応
昨年11月に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した。以前は英国で長らく食品関係に携わっていたが、スポーツ用品も同じ消費材なので戸惑いはない
日本のスポーツ用品業界も、やはり競争は激しいと見ている
中期経営計画ではリアル店とEC両方で、快適に買い物してもらう環境をいかに作るかを課題
24年もスポーツ市場は強い需要の追い風が吹く状況ではない
健康意識の高まりもあり、トレーニング関連やサプリメント、ウォーキングやトレッキングもニーズが高いので、こうした分野をしっかりと販売 パリ五輪といったビッグイベントではスポーツに対する注目度が上がる

8022ミズノ



《新春首脳インタビュー》ミズノ 水野明人社長 重点のサッカーに注力
国内では引き続き非スポーツのワークビジネスが順調で、寝具市場にも参入
海外ではゴルフクラブが好調で、伸び率は下がったが、まだ伸びている 強化しているサッカーやインドアスポーツも欧米やアジアで順調で、海外売上高比率は40%を超えた
スポーツはパリ五輪もあり今年も盛り上がると思う
今年の重点は注力しているサッカー。欧州ではクラブチームとの契約などで存在感が出てきており、シューズも評価されている

8111ゴールドウイン

直営店、内外で来年度2倍に ゴールドウイン社長 渡辺貴生氏 自社スポーツブランド店、SCにも
2025年3月期には自社の衣料ブランド「ゴールドウイン」の直営店を倍増する方針
コロナが5類に移行してから外出が増えたことやスポーツイベントの再開が追い風となり、23年4~9月期の連結純利益は過去最高 インバウンド消費が戻ってきたことも大きい。特に韓国や台湾などアジア圏からの人気が高い 『ゴールドウイン』は売上高に占めるインバウンドの購入比率が6割を超えている 外国人が海外で手に入らない商品をわざわざ調べて買いに来ている」
「自社の衣料ブランド『ニュートラルワークス』は日常的に着られるデザインのスポーツウエアとして人気が高まっている ショッピングセンター内など女性が日々買い物をする場所に単独店を出すことも考えたい
「今冬は気温が高くスキー場に雪が積もらないという声を聞いている。スキーウエアやスキー板の販売などに影響が出そう 23年夏の猛暑では、速乾や消臭など機能性を訴求した商品が売り上げをけん引



8281ゼビオ



《新春首脳インタビュー》ゼビオ 木庭寛史取締役上席執行役員 感動価値伝えオンリーワンに
コロナ禍を経て市場は大きく変わり、EC消費の広まりで品揃えの良さだけで差別化しづらくなった 接客では、お客様から競技・フィールド・商品などの専門性の高い情報を求められており、ナビゲーター(販売員)のスキル向上が必須 好調店舗では、お客様に合った商品を薦め、使用時にお客様が感動し、再来店する好循環が起きている


住宅関連



5332TOTO


リフォーム、旅行がライバル TOTO社長・清田徳明氏 消費回復、支出の選択肢増
新型コロナウイルス禍による衛生意識の高まりで、リフォーム需要が好調アフターコロナに向けては「旅行がライバルになる」主力の中国で販売代理店の開拓を進めるほか、米国ではウォシュレット(温水洗浄便座)の拡販をより一層強化「コロナ禍で高まった衛生意識は減退せず、水回り設備に清潔さを求める動きは変わらないリフォーム向けの水回り商品が好調 浴室の改善やウォシュレットの取り換え需要などが堅調「水回り商品にも掃除や操作のしやすさなど『タイパ』を求める傾向 浴室の床を自動で洗浄したり、外出中にスマートフォンから遠隔でお湯を沸かしたりできる機能が人気「トイレの利用状況を可視化することは介護を必要とする一般の住宅でもニーズがある健康寿命が延びている昨今はウエルネス(心身の健康)の維持・向上への関心が高い

7972イトーキ

出社したいオフィスに商機 イトーキ社長 湊宏司氏 社長600人が本社見学、関心高く

「在宅ワークは一気に広がったが、中堅・ベテラン社員は慣れた作業はこなせても新しい知識を吸収したり、アイデアを思いついたりすることに苦戦するケースも多かった
企業の成長に必要なイノベーションは対面の場でこそ生まれるという認識が広がった
「23年に本社ショールームを見学に訪れた社長は約600人と2年前の4倍強に増えた。社員を企業の財産と捉える『人的資本経営』の機運も高まり出社したくなるオフィスづくりは重要な経営課題になりつつある」

現在は年1万件にのぼるデザイン案を人工知能(AI)に学習させて提案の幅やスピード感を改善
「従来は移転と改装の受注比率が6対4くらいだったが、22年に逆転
テレワークの普及で全体の執務スペースの面積を減らした分、交流スペースやカフェなどの導入に予算を割く会社も少なくない
社員の『ウェルビーイング(心身の健康や幸福)』がオフィス作りの24年のキーワードのひとつになる。
指向性スピーカーなどを活用し、座った人以外の雑音を遮断するテーブルやソファの売れ行きが好調




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ニトリHD・白井社長「32年3000店超へ、欧米でM&A検討」

32年の売上高3兆円目標を達成するため、店舗数は3000店から上振れる可能性 ニトリHDの店舗数(10日時点)は978店で、うち海外が2割弱にあたる170店 経営目標として32年に連結売上高3兆円・グループ店舗数3000店の達成を打ち出している。海外店舗は国内の標準的な店と比べて規模が小さく、25年以降は海外で年平均300店ペースで出店する方針
欧米ではサプライチェーンを持つ現地企業のM&A(合併・買収)を検討
「円安・ドル高が進み事業環境は厳しい。新型コロナウイルスの感染対策緩和で、家具など耐久消費財の需要が落ちている
商品の多くを海外で製造し、日本に輸入して販売する製造小売り(SPA)モデルを展開しており、円安・ドル高は仕入れコストを押し上げる要因
「対ドルの円相場を1ドル=155円と想定した上で利益を出せるよう商品開発を進めている 今後、円高・ドル安が進めば利益率が改善するため、商品価格の引き下げなどを検討
通常は1年近くかかる商品開発期間を8カ月程度に圧縮して、商品の4割以上を入れ替える
店舗で扱う商品はインテリアや日用品、家電などに広がり、近年はオンライン通販の売り上げも伸びている


人材関連


2168パソナグループ



間接業務請け負い、稼ぎ頭に パソナ社長 中尾慎太郎氏 DX人材育成が成長の鍵


「新型コロナウイルス禍で採用抑制や人員削減をした業界の回復もあり、市場全体で人手不足が続く。ただ働き手は女性の社会進出やシニアの定年延長でむしろ増えている
「労働市場で流動性が高まるなかで人材サービスの需要拡大は続く 人材派遣では料金改定交渉を進めている。採用難で派遣先企業の意識も変わりつつある。
「DX人材育成を支援する研修プログラムの提供を始めた。幅広い業界でバックオフィス業務や営業などの効率化が求められている
「今後はデジタルツールやシステム開発などへの成長投資に加えて、M&A(合併・買収)も視野にDX基盤の強化を進める」

子会社である福利厚生代行大手のベネフィット・ワンを巡り、医療情報サイト運営のエムスリー第一生命ホールディングスがそれぞれTOB(株式公開買い付け)を表明




その他

6594ニデック




ニデック、ロボット関節で目指す首位 西本副社長に聞く
26年3月期の売上高は足元の3倍を超える1400億円を掲げ、機械事業本部を主力事業に押し上げる構え
小型製品では、トルクなどを検出するフィルムセンサー内蔵型の量産を始める 他社製品は円筒型のセンサーを外付けしている。内蔵で大幅な軽量化につながるほか「センサー分の値段も半額ほどになる」
22年に55万台だった産業用ロボットの世界市場が26年には71万台となる見通し 人手不足などを背景とした自動化需要で、市場拡大が見込まれている
3年3月期のニデックの減速機事業の売上高は約400億円で、26年3月期には1400億円を目指す

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スズキ社長、EV初投入へ「一つ一つ着実に歩み」
スズキは23〜24年度に日本や欧州、インドの各市場へEVを初投入する計画
スタートアップのスカイドライブ(愛知県豊田市)と協力して静岡県磐田市のグループ工場で24年春ごろに製造開始予定の垂直離着陸機、いわゆる「空飛ぶクルマ」については「まだまだ未知数」としながら「(25年開催予定の)大阪・関西万博を目標にトライ
軽自動車でライバル関係にあるダイハツ工業の品質不正問題に関しては「私どもも過去に燃費測定不正(18年までに発覚)や完成車の検査不正(19年に発覚)があり、そこから変わろうと取り組んできた」


6981村田製作所




村田製作所中島社長、電子部品「車載向け年10%成長続く」
電子部品を使う最終製品として電気自動車(EV)の存在感が増している
スマートフォン市場が低迷するなかで、業界の関心は販売台数が伸びるEVに移る 世界経済の減速もありスマホ市場は2021年度の年間14億台から22年度は11億台に縮小 消費者の買い替えサイクルが長期化し、すぐに以前の規模には戻らない
村田が世界シェア4割を持つ積層セラミックコンデンサー(MLCC)だけみれば、売上高ベースではトントン
「スマホと自動車がけん引役なのは間違いないが、将来はウエアラブル端末や体の中に埋め込む最終製品も爆発的に出てくる そうした市場がスマホと自動車を上回ると思う」




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