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おバカな幼馴染の面倒をみれるのは僕だけ。

2023/01/24(火) AM6:00

〇〇side

ジリリリッ、、、ジリリリッ、、、カチッ


〇〇「んっ、、、ふわぁ、、、」

うるさい目覚まし時計を手探りで止め、起き上がる。

眠い目を擦りながらカーテンを開ける。

まだ外は暗い、、、はずなんだけど。

隣の家のカーテンが開いた、、、紗耶だ。

めっちゃ笑顔で手を振ってくる、、、

紗耶は僕の幼馴染だ。

生まれた病院から今の高校まで全てが一緒。

だから昔からずっと一緒にいる。

学校行く時、お昼ご飯を食べる時、帰る時も、、、

特にこれと言った理由はない。

強いていうならただ居心地が1番いいからかな。

一つの弱点を除けば完璧なんだけどなぁ、、、笑。

紗耶はまだ僕に向かって手を振ってる。

小学校の時から同じ時間に起きて、窓越しに挨拶。

今となってはこれが僕らのルーティーンとなっている。

紗耶「はぁぁ、、、」カキカキ

紗耶が息で窓を曇らせ、文字を書き始めた。


紗耶side AM5:30

紗耶「ふんふーん♪
   早く6時にならないかなぁ〜♪」


30分も早く起きちゃった、、、

と言ってもこれはいつものこと。

毎朝、ワクワクで目が覚めちゃうんだ〜!

1日の最初の〇〇の顔を見れる。

これは小学校から私の特権なの!

早く〇〇の顔見たいなぁ。


、、、みんな気づいたかな?

私は〇〇のことが大好き。

小学校からずーっと好き。

私はかれこれ18年間〇〇と一緒にいる。

そのおかげで「告白しないの?」って友達によく言われます。

でも私は告白できないかなー、、、

よくある話だけど、この関係を壊したくないって思いが強いんです。

『ずっと〇〇の隣にいたい。』

これが私が持つ1番の夢、、、///

おっと!

そんなこと考えてたらもう6時だ!

私はワクワクした気持ちを抑えてカーテンを開ける。


シャーッ、、、


同時にお隣さんのカーテンも開く、、、〇〇だ!

〇〇に向かって手を振る。

私たちのルーティーンだ。

小学校の頃から欠かしたことはない。

、、、そういえば今日は火曜日。

〇〇のお母さんは夜勤で帰ってきたばっかり。

そういう日は〇〇が代わりにごはんをつくっている。

食べに行ってもいいかな、、、よし。

紗耶「はぁ、、、」カキカキ

えっと、、、ごはん、、、たべに、、、いっても、、、いい?

よし書けた!


〇〇side

紗耶が窓ガラスに文字を書き終えたらしい。

、、、反転して読みづらい。

ごはん、、、たべにいってもいい?、、、か。

今日は母さんが夜勤で忙しい日。

だから僕が朝ごはんを作る日なんだけども。

よく覚えてるなー笑。

じゃー返事書きますか。


〇〇「はぁぁ、、、」カキカキ


僕も沙耶のように文字を書く。

いいよ、、、っと!

そう書くと紗耶の顔が明るくなった気がした。


紗耶side

、、、いいよ

やったぁ!!

〇〇の作るご飯は美味しいんだよねー♪

返事書こーっと!

あ、、、り、、、が、、、と、、、う、、、っと!

私は急いでベッドから降り、身だしなみを整え始めた。


〇〇side AM6:30

トントンッ、、、ジュー、、、


僕は朝ごはんを作り始めていた。

今日は紗耶が来るから和食にしよう。

紗耶が僕の作る料理で1番好きだと言ってくれたやつにしよう。

あっ、ついでに桃でも剥いとくか。

紗耶好きだし。


ピンポーン、、、ピンポーン、、、


お。きたきた。

〇〇「どうぞー。」

そう言った瞬間に玄関のドアが開き、紗耶が入ってきた。

紗耶「〇〇!おはよ!」

〇〇「朝から元気だな、、、笑。」

紗耶「元気は紗耶のトリコだからね〜!」

〇〇「取り柄な。なんで美食家になる。」

紗耶「あれ?そうだっけ?」

ご覧の通り、紗耶の弱点は『おバカ』。

言い間違えがとにかく多いんだよなぁ。

例えばコーンフレークをフランクフルトとかね。

まぁ、、、弱点でもあり良い所でもあるかな。

〇〇「っていうか窓に文字書くのそろそろ
   辞めない?」

紗耶「えーなんでよー!」

〇〇「読みづらいしスマホでもいいじゃん。」

沙耶「ちっちっちー。
   分かってないなぁ〜、、、〇〇は。」

僕に向かって人差し指を振りながら言う。

なんとなく鼻につく。


紗耶「10年前からやってる事だし、
   〇〇もすぐ読めるでしょー。」


窓に文字を書くのは、スマホを持っていない小学生時代の僕たちが使う電話の代替品だった。

しかし、スマホを持たせてもらうようになってからも僕たちはこれを続けている。


〇〇「いや読めるけどさ、、、」

沙耶「じゃー問題なし!」


紗耶side AM6:30

よーし!準備できた!

ママに〇〇の家に行くねって報告もしたし!

私は家を出て〇〇の家へ。

ピンポーン、、、ピンポーン、、、

〇〇「どうぞー。」

私はその声を聞いてすぐに〇〇の家に入る。

、、、この匂い。

私が好きな〇〇の料理の匂いだ〜!

よく覚えてるなぁ、、、///

こういう所も好きなんだ、、、///

私が昔に言ったことをよく覚えてるし、私が好きだと言った物をさり気無くプレゼントしてくれるし、、、

まぁとにかく好きなわけですよ〜!

紗耶「〇〇!おはよ!」

キッチンで料理している〇〇に本日2度目の挨拶!

私たちは普段から朝の挨拶は2回。

手を振るのと『おはよう』の2回。

たまーに窓に書いて3回。

すると〇〇が、、、


〇〇「窓に文字書くのやめない?」


、、、むぅ。絶対にやだ!

もちろんスマホのほうが便利だし、読みやすいし、、、

でも私は窓に文字を書くほうが何万倍も好き。

あの瞬間は、私と〇〇の2人だけの世界になるから。


〇〇side AM7:10

僕と紗耶は朝ごはんを一緒に食べ終わり、学校に行く準備を始めた。


〇〇「、、、っと。こんなもんか。」


僕は準備を全て終えた、、、僕はね。


紗耶「〇〇ー!髪の毛やってー!」


紗耶は結構甘えん坊。

昔からよく身の回りの事をしてきた。

髪の毛だったり、課題だったり、、、

まぁ面倒ではないのでいいけどね。


〇〇「はいはい、、、今日はどんな髪型にする?」

紗耶「うーん、、、やっぱセンター分けかな〜。」

〇〇「はいよー。」


紗耶side AM7:10

あーご飯美味しかったなぁ〜!

毎日でも食べてたい、、、

私は〇〇の家に来る前にヘアメイク以外の準備をしてきちゃった。

だから少しぐだぐだしてる〜。

え?なんでヘアメイクはしてこないのかって?

それは〇〇にやってもらうためですよ〜。


〇〇「、、、っと。こんなもんか。」


おっ。〇〇の準備が終わったみたい!


紗耶「〇〇ー!髪の毛やって!」


〇〇は昔から私のヘアメイクをしてきたから
すごい上手なんだよね〜。

それにヘアメイクしてると、、、その、、、距離も、、、///


〇〇「今日はどんな髪型にする?」


〇〇は毎回『どんな髪型にする?』って聞いてくれる。

だけど私の答えはいつも一緒。


紗耶「うーん、、、センター分けかな〜?」

〇〇「はいよー。」


センター分け。

私はいっつもこの髪型をしてって頼む。

理由は単純です。

中学生の時、〇〇が似合うと言ってくれたから。

それからずーっとこの髪型。

〇〇は覚えてないかもだけどね。


〇〇side AM7:30

〇〇「紗耶ー。行くよー。」

紗耶「はーい!」

今日も紗耶と一緒に学校へ行く。

紗耶「あっ〇〇見て!
   あそこの猫ちゃんかわいいー!」

〇〇「、、、どれ?」

紗耶「え?だからあそこの白い猫ちゃん!」

〇〇「、、、紗耶?」

紗耶「なに?」

〇〇「、、、あれビニール袋。」

紗耶「えっ!嘘だー!」トコトコ


紗耶は真偽を確かめるために猫(?)に近づく。


紗耶「猫ちゃーん!おいでー、、、っ///」


猫(?)に呼びかけながら近づく紗耶。

しかし、すぐに顔を真っ赤にして帰ってきた。


紗耶「、、、すみませんでした。」カァァァ

〇〇「、、、ぷっ。」

沙耶「笑うなー!!」ポコポコ


紗耶 side AM7:30

はぁ、、、恥ずかしい、、、///

猫とビニール袋を見間違えるとは、、、///

でも〇〇の笑った顔みれたし、、、まぁいっか!


乃木坂高校。AM8:00

〇〇side

〇〇「よいしょっと、、、」バサッ


僕は机の上に提出する課題を出す。


紗耶「〇〇〜ちゃんとやってきた〜?」ニヤニヤ

〇〇「紗耶に言われたくないー。
   ていうかなんでニヤついてるの?」

沙耶「ふっふっふ、、、
   いつも提出しない紗耶だけど今日は違う!」

〇〇「というと?」

紗耶「じゃーん!全部やってきたんだ〜!」

〇〇「おっ。めずらしい、、、けど。」

紗耶「けど?」

〇〇「それ先週のやつね?」

紗耶「あっ、、、〇〇〜!」

〇〇「助けません〜。」

紗耶「うらぎりものー!」


紗耶side

またやっちゃった、、、

〇〇に褒めてもらいたくて頑張ってやったのに、、、

もう私って本当に駄目だなぁ、、、


〇〇side

まぁ先週の課題ではあるけど、紗耶が自分で課題をやったというのは進歩ではあるか。

〇〇「でもまぁ頑張ったね。」ナデナデ

紗耶「、、、っ///」カァァァ


紗耶 side

えっ?!

〇〇に頭撫でられてる?!

今までそんなことしてくれなかったのに!

やった!!

でも顔が真っ赤になっちゃってる、、、///


放課後。

川崎「ねぇー〇〇くん!」

〇〇「おっ。どした川崎?」

川崎「少し時間もらってもいい?
   大事な話があるんだけど、、、」

〇〇「え?いいけど、、、ちょっと待って!」


〇〇「紗耶ー。」

紗耶「なにー。」

〇〇「川崎さんから大事な話があるって。
   少し待っててもらっていい?」

紗耶「えっ、、、」

〇〇「、、、紗耶?」

紗耶「、、、今日は1人で帰るね。」

〇〇「あっ!おい!」

紗耶は〇〇に見向きもせずに帰ってしまう。


紗耶 side

どんだけバカな私でもわかる。

、、、絶対に告白だ。

川崎さんは〇〇に告白するんだ。

たぶんOKするんだろうな、、、

だって川崎さんはすごい可愛いし、頭もいいし、、、

私には無いものをいっぱい持ってる。

きっと、、、私なんかよりも、、、


〇〇side

紗耶、、、いままで見たことない顔してたな、、、

川崎「〇〇くん?」

〇〇「、、、あっ!なに?」

川崎「いや、、、悲しそうな顔してたから。」

〇〇「、、、ううん!なんでもないよ!」

川崎「、、、そっか。やっぱりそうだよね。」

〇〇「え?」

川崎「ごめん!引き留めておいてなんだけど
   用事思い出しちゃった!じゃあね!」

〇〇「えっ!あっ!じゃあね!」


川崎さんの用事ってなんだったんだろう、、、


川崎side

私は今日、〇〇くんに告白するつもりだった。

〇〇くんはいつも周囲のことを気にしているし、
笑顔が絶えない素敵な人。

だけどさっき見たあの顔。

金川さんが走って行った後のあの顔。

いつもニコニコとしている〇〇くん。

そんな彼があんな顔をするなんて。

それを見たら『あっ私じゃないな』って思った。

きっともう、随分前から〇〇くんの心は金川さんにあるんだろうなって。

そうわかったら私に勝ち目はないだろう。

あぁ、、、金川さんが羨ましいなぁ。


沙耶side PM7:00

あれから私は何もする気が起きなかった。

ずーっとベッドの上に伏せている。


コンコンッ


金川母「紗耶?ご飯できたよ?」

紗耶「、、、いらない。」

金川母「そっか、、、入るよ。」


ガチャッ


お母さんが私のベッドに座る。

金川母「〇〇くんのことでなんかあった?」

紗耶「えっ!」

金川母「顔を見れば分かるよ。ママだもん。」

紗耶「、、、うぅ、、、ママぁ、、、」グスッ

私は今日あった事を全部話した。

金川母「そっかそっか、、、」

紗耶「ママぁ、、、どうしよう、、、」グスッ

金川母「、、、紗耶の気持ちは伝えたの?」

紗耶「えっ?」

金川母「10何年も〇〇くんのことが好き
    だったんでしょ?」

紗耶「、、、そうだけど。」

金川母「ならその気持ちを無駄にしちゃいけない
    んじゃない?」

紗耶「、、、ちょっと〇〇のところに行ってくる。」


〇〇side PM7:30

僕は自分の部屋で明日の課題を進めていた。

しかし、紗耶の事が気になって何も進まない。


〇〇「はぁ、、、」


するとその時。

ピンポーン、、、ピンポーン、、、

え?こんな時間に誰だろうか、、、


〇〇「はーい」


僕は玄関のドアを開ける。


ガチャッ


〇〇「紗耶!」

紗耶「あっ、、、こんな遅くにごめん、、、」

〇〇「どうしたの?あがってく?」

紗耶「いや、、、ここでいいよ。」

〇〇「、、、そっか。」

紗耶「あっ、、、あのさ!
   今日の川崎さんのことなんだけど、、、」


紗耶side

やばい、、、言葉が詰まっちゃう、、、

〇〇「川崎さんのこと、、、?」

もうだめ、、、抑えられない、、、

紗耶「、、、私も〇〇のことが好き!」

〇〇「、、、えっ。」

紗耶「小学生の頃からずっとずーっと!
   〇〇のことが大好きだよ!!」


言った、、、言っちゃった、、、


〇〇「えっ、、、うそっ、、、」


〇〇が戸惑ってる。

そうだよね、、、川崎さんっていう彼女がいるもんね。

、、、、、、返事の言葉は聞きたくない。


紗耶「、、、それだけ!バイバイ!!」


私はまた、〇〇を見ないで走り去った。


翌朝。AM6:00

紗耶side

はぁ、、、私の体内時計ってすごいなぁ、、、

ちゃんとこの時間に起きちゃうんだもん。

、、、カーテン開けなきゃ。

シャーッ

〇〇の部屋のカーテンはすでに開いてる。

だけどそこに〇〇は居ない。

やっぱりそうか、、、

、、、あれ?窓に何か書いてある?


えっと、、、ぼ、、、く、、、も、、、す、、、き、、、

、、、えっ?

ぼくもすき、、、


〇〇side 前日、紗耶が帰った後。

紗耶が、、、僕のことを好き、、、?

本当なのか信じられない。

さっきからLINEも既読がつかないし、電話にも出ない。

たぶんスマホの電源を落としているのだろう。

もう時刻は夜の9時。

こんな時間に家に行くのは流石に駄目だし、、、

、、、紗耶。

思えば僕の思い出の中にはいつも紗耶がいる。

修学旅行で僕と紗耶だけ迷子になったり。

紗耶が卒業式でボロ泣きして僕の服がびしょびしょになったり。

紗耶が風邪で学校に来なかった日は妙に寂しかったり。

バレンタインデーにくれたチョコが変な形だったり。

紗耶のことを思うと心が温かくなる。

、、、そっか。

僕も紗耶の事が好きだったんだ。


紗耶side 翌日の朝。

ぼくもすき、、、ぼくもすき、、、

〇〇の部屋の窓に書かれた言葉が頭の中を埋め尽くす。

そうドギマギしてると、、、


紗耶「あっ、、、〇〇!」


部屋の窓から〇〇が見えた。

〇〇が新しい文字を書こうとしている。

う、、、ち、、、お、、、い、、、で、、、

は、、、な、、、し、、、た、、、い、、、

私はその文字を見た瞬間から足が動いていた。

急いで階段を駆け降りる。

家を飛び出し、〇〇の家へ。

すると〇〇は玄関から出てきたところだった。

〇〇「あっ!さやっ、、、」ギュッ

思わず私は〇〇に抱きつく。

〇〇「ちょっ!紗耶、、、///」カァァァ

〇〇の顔がどんどん赤くなる。

たぶん私の顔も同じくらい赤いだろう。

だってずーっとやりたかった事だから。

紗耶「〇〇ぅ、、、大好きぃ、、、」グスッ

〇〇「、、、泣くなって。
   卒業式の時みたいになるだろ。」ナデナデ

紗耶「だってぇ、、、うれしくてえ、、、」グスッ

〇〇「、、、僕も嬉しい。」

紗耶「これからも、、、ずっと一緒にいたい、、、」

〇〇「そうだね、、、一緒にいよう。」ギュッ

〇〇が私を抱きしめ返してくれた。

これからもずっと隣で。

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