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なんか『選択肢』が見えるようになったんだけど、、、

7/23 AM7:20


〇〇「行ってきまーす。」


僕は小池〇〇。
櫻坂高校の2年のどこにでもいるような男子高校生。

今日も今日とて高校に向かっております。


??「〇〇ーー!!」


おっと。
100mくらい向こうからバカでかい声が聞こえてきました。

あれはきっと僕の幼馴染の"アイツ"です。

そして物凄い勢いで走ってきます。

山﨑「おはよー!」

山﨑天。
同い年の幼馴染です。

ヤンチャな性格で誰とでも仲良くなれる超陽キャ。

別に待ち合わせしてる訳じゃないけど毎日一緒に学校へ行ってる。


〇〇「おはよ、山﨑。」

すると突然に不機嫌な顔をする山﨑。

山﨑「もう!天ちゃんって呼べって何回言えば
   分かるのよー!」

〇〇「いや高校生にもなって天ちゃんは、、、」

山﨑「言い訳をしない!
   リピートアフターミー、天ちゃん!」

〇〇「、、、、、、天ちゃん。」

山﨑「は〜い♪」


なんだこれ。

小学校から山﨑なんだからもういいだろ。

こんなやりとりをしながら僕たちは学校へ向かった。


櫻坂高校、2ー1。

教室の中には課題に追われてる男子、彼氏の自慢話に鼻を高くする女子、バカみたいに盛り上がってるスクールカースト上位グループがワイワイしてた。

幼馴染とは対照的に超陰キャな僕は、静か〜にドアを開けて自分の席につこうとするが、、、


山﨑「みんなおはよー!」


やまさ、、、天ちゃんが教室に入るなりクラス中に挨拶をかます。

その影響で隣にいる僕も強制的に注目をされてしまう。

はぁ、、、

こう言うの苦手なのよ、、、


「おー天ちゃんおはよ!」
「ねーねー!昨日のYouTubeでさ!」
「放課後どっかいかなーい?」


そして瞬く間にクラスの中心になった天ちゃん。
本当に幼馴染として尊敬するわ、、、

僕はそそくさとクラスの輪を抜け出し、自分の席へつく。

そして隣にいる物静かな女の子に挨拶をする。


〇〇「おはよ、藤吉さん。」

藤吉「ん、おはよ。」

藤吉夏鈴。
僕ほどの陰キャではないが陽キャでもない。

だけどワイワイしてるのが苦手なタイプらしい。

隣の席になったのがきっかけで話すようになった。

読んでる本は体の構造についての本。
人の体が好きらしい。


藤吉「今日も天ちゃんはすごいね。」

〇〇「ほんとだよ、、、
   毎日みんなの注目浴びるのきついんだよ、、、」

藤吉「ふふっ。」

〇〇「いや笑わんでよ!
   藤吉さんだって苦手なタイプでしょ、、、」

藤吉「そんなことないもん。」

〇〇「じゃー今からあの輪に飛び込んできてよ。」

藤吉「、、、、、、、、、」

〇〇「おーい無視すんなー。」

藤吉「っていうかそんなに疲れるなら天ちゃんと
   一緒に来るのやめたら?」

〇〇「でも天ちゃんが駄々こねるんだよね、、、」

藤吉「へぇ、、、
   じゃあ明日から私と一緒に行く、、、とか、、、///」

〇〇「え?なんて?」

藤吉「なっ、、、なんでもない、、、」


僕から顔を逸らして鞄から人体構造の本を出す藤吉さん。

最近に分かったのだが、藤吉さんがこの本を読むときは照れ隠しが多い。


山﨑「むぅ、、、仲良いなぁ、、、、、、」


翌日。

〇〇「ふわぁ、、、、、、行ってきまーす。」


今日も天ちゃんと一緒に注目を浴びることになるのかな。
それを考えたら少し憂鬱になるけど。


『小池〇〇に選択肢が与えられます。』

〇〇「え?」

どこからともなく変な声がした。
男性でも女性とも言えない中性的な声、、、

そして目の前に文字が現れた。


A 山﨑天と学校に行く

B 藤吉夏鈴と学校に行く


〇〇「、、、なにこれ。」


『あなたには二つの選択肢が与えられました。どちらかを選んでください。』


〇〇「、、、は?」


『残り30秒です。』


〇〇「これ残り時間超えたらどうなんの?」


『山﨑天、藤吉夏鈴からの好感度が地の底まで落ちます。どちらかを選べばそうなることはありません。』


〇〇「、、、少ない友達の好感度下がったら
   完全なぼっちになるな。」


『残り20秒です。』


どっちを取るか迷うな、、、

でもいつもは天ちゃんと行ってるし、たまには藤吉さんと行くのもありかな。

っていうかこんな非現実的な事ある訳ないじゃん笑。

僕は面白半分で藤吉さんの方を選んだ。


〇〇「じゃーBの藤吉さんで。」


『承認しました。』


そして目の前から選択肢が消え、いつもの日常が広がった。


〇〇「っていうか藤吉さんの家すら知らないのに
   どうやって会うんだよ笑。」


そう、僕は藤吉さんがどこに住んでるのかも知らない。

帰る方向が一緒なのは前に話したんだけど。

すると後ろから、、、


藤吉「私がどうかした?」

〇〇「えっ?!」

藤吉「やっほ。」

〇〇「なんでここにいるの?!」

藤吉「今日はいつもより早くお家から
   出て来ちゃったんだ〜。」

〇〇「ほぉ、、、」

藤吉「だから散歩ついでに遠回りしてたら
   〇〇に会った。」

〇〇「そっか、、、偶然だよな?」

藤吉「あたりまえじゃん。
   そんな事より一緒に学校行こ?」

〇〇「あぁ、、、」


そして僕は選択肢通りに藤吉さんと一緒に学校へ行った。


櫻坂高校、2ー1

いつもは天ちゃんの大声と一緒に教室へ入るが、今日は違う。

藤吉「、、、、、、」
〇〇「、、、、、、」

無言で教室に入る僕たち。


「あれ?今日は天ちゃんと一緒じゃないの?」

〇〇「あぁ、、、今日は会わなくって、、、」

「ふーん。そっか!」


不意にクラスメイトに話しかけられ、すこしキョドッたものの無難な返しをする。

〇〇「はぁ、、、」

藤吉「ふふっ。」

〇〇「あ、また笑ったなー?」

藤吉「ほんとに人付き合いが苦手なんだなーって笑。」

〇〇「そんなの藤吉さんも一緒でしょ、、、」

藤吉「私はまだマシだもん。」

〇〇「いやそんなの」


山﨑「あっ!いたーーっ!」

〇〇「うるさっ!」

山﨑「なんで私を置いてったのよー!」

〇〇「いや待ち合わせしてないじゃん!」

藤吉「今日は私と一緒だったもんね?」

山﨑「えっ?」

〇〇「あー、たまたま藤吉さんと会ってさ。」

藤吉「うんうん。」

山﨑「むぅ、、、何も言えないじゃん、、、、、、」

〇〇「まぁそういう事だから。」

山﨑「、、、、、、明日は一緒がいいな。」

〇〇、藤吉「「え?」」

山﨑「なんでもないっ!」


放課後。

その後はいつものように無難な一日を送っていた。

天ちゃんに振り回されながら、藤吉さんと取り留めもない話をして。

そして帰りのSHRも終わり、さぁ帰ろうと言った時にまたあの声がした。


『小池〇〇に選択肢が与えられます。』


〇〇「は?」


A.山﨑天と帰る

B.藤吉夏鈴と帰る


おいおい、、、またこれかよ。

っていうか何で毎回の選択肢が天ちゃんと藤吉さんなんだよ。

この2人ってなんかあんの?


『あと20秒です。』


あー、、、

まぁ選ぶしかないか、、、

今日はちょっと疲れたから比較的ゆったりしてる藤吉さんにしよっかな。

たぶん天ちゃんと帰ったら彼女のハツラツさについて行けない気がする、、、

今回も藤吉さんでいいかな。

〇〇「じゃあまた藤吉さんで。」


『了解しました。』


するとまた、声は聞こえなくなった。


〇〇「藤吉さんっていつも速攻で帰る人だからなぁ。
   まだ学校にいるわけないでしょ笑。」


僕は朝の一件があっても、まだこの「選択肢」のことを受け入れていなかった。

今回もどちらかと言えば可能性の低い方を選んだようなものだ。


〇〇「じゃあ僕も帰りますかね、、、」


僕は1人で帰ろうと鞄を持ち上げた瞬間。


ガラララッ、、、!!

藤吉「あれ?〇〇だ。」

〇〇「ええっ!!」

そこには普段だったら絶対にいない藤吉さんが。

藤吉「そんなお化けを見たような顔して、、、
   なんかあったの?」

〇〇「えっ、、、あっ、、、いや、、、」

藤吉「何だか歯切れが悪いなぁ。
   あっそだ、〇〇は今から帰る?」

〇〇「うっ、、、うん。」

藤吉「じゃあ一緒に帰ろ。」


帰り道


なんということだろうか。
また「選択肢」の通りになってしまった。

僕は藤吉さんと一緒に学校からの帰り道を歩く。


〇〇「ねぇ藤吉さん。」

藤吉「なに?」

〇〇「何でこの時間まで学校に居たの?」

藤吉「、、、、、、補習。」

そう言えば藤吉さんって少し頭の方がアレだったな、、、

だから補習で学校にいたのか。

それで終わった時間に僕と鉢合わせたと。


藤吉「そう言えば天ちゃんも居たなぁ。」

〇〇「あっ、確か補習あるって言ってたな、、、」

藤吉「うん。
   『〇〇が勉強教えてくれないから!!』って
   ぼやいてたよー笑。」

〇〇「いや天ちゃんがテスト前日まで何もして
   ないから、、、」

藤吉「なんかイメージ通り。」

〇〇「でも藤吉さんはイメージとは違ったかな、、、」

藤吉「え?」

〇〇「あー、、、なんでもない。」

藤吉「なにそれ。1番気になるやつじゃん。」



〇〇「藤吉さんって意外と勉強できないよね。」

藤吉「、、、は?」


〇〇「、、、いや良い意味で。」

藤吉「頭悪いに良い意味なんてないでしょ!」


、、、流石に失礼すぎた。

藤吉さん怒っちゃったし。


〇〇「ごっ、、、ごめん!!」

藤吉「あー傷ついたなぁ、、、」

〇〇「ほんとにごめん!何でもする!」

藤吉「、、、何でも?」

何だか一瞬ニヤッとした藤吉さん。


藤吉「そっかそっか、、、」

〇〇「なっ、、、なに?」

藤吉「じゃー呼び方を変えてもらおっかな。」

〇〇「呼び方?」

藤吉「だって隣の席になって長いのにずーっと
   私のこと"藤吉さん"って呼ぶじゃん。」

〇〇「いやまぁ高校生だし、、、」

藤吉「はいはい言い訳。
   今日から"夏鈴ちゃん"って呼んでね?」

〇〇「え?」

藤吉「はいどうぞ。」


なんか最近、幼馴染から同じことを言われた気がする。


〇〇「夏鈴ちゃん、、、でいい?」

藤吉「、、、ふふっ。上出来〜♪」


それからも何度か「選択肢」は現れた。

何故かその対象は天ちゃんがふじよ、、、夏鈴ちゃんのどちらか。

だけど僕が選ぶのは8割型くらい夏鈴ちゃんだった。

それは何故かって?

僕にもよくわからない。

強いて言うなら一緒にいて居心地が良いからかな。

僕が夏鈴ちゃんを"選択"して行くにつれて学校でも一緒にいる時間が増えた。

その時間も楽しかったし、順風満帆な学校生活を送れていた。


、、、、、、、、、、、1人の女の子を除いて。


ある日の放課後。


学校が終わり、僕は夏鈴ちゃんと一緒に下校していた。

いつからか当たり前になっていたこの感じ。

そして、途中のY字路で別れを告げる。

夏鈴「じゃーまた明日。」
〇〇「またね。」


ぶっきらぼうな挨拶だけど、僕らにはそれ位で良かった。

さぁ、帰ったら課題でもやろうか。

いや撮り溜めてたドラマでも見ようかなぁ。


〇〇宅。

僕は結局、課題を終わらせてからダラダラ過ごすことに決めた。

いやー真面目だなぁ。

そして机に向かって課題を進めようと教科書とノートを開く。

今日の課題はーっと、、、、、、

あっ。

僕の得意な分野だ!

これならすぐ終わりそうだ。

ウキウキな気分になっていると、僕のスマホに1通のLINEが来た。



夏鈴💬 ねー〇〇。
     今日の課題のことなんだけどさー。

〇〇💬 今やろうとしてたとこだけど。
     ページなら54から62のとこね。

夏鈴💬 いやそれは知ってる。笑
     私の苦手な範囲だから〇〇先生に教えて
     欲しいなーって。

〇〇💬 あーそゆこと。笑
     別にぜんぜん大丈夫だよー。

夏鈴💬 ありがと。じゃあ家行っても良い?
     文章じゃ分かんないから直接教えてー。

〇〇💬 はいはい。笑
     いつでもインターホン鳴らしてー。

夏鈴💬 はーい。


夏鈴ちゃんは僕の家に何度か来たことがある。

僕の本を貸したり、たまに課題を一緒にやったり。

僕は学力に関しては上の下くらいだと自覚してる。

夏鈴ちゃんは、、、、、、下の上くらい。

まぁ夏鈴ちゃんが来る前にできるだけ進めとくか。

そう決心した時、インターホンが鳴った。


ピンポーン。


え?

夏鈴ちゃんが来るには早すぎるし、、、

僕は少しの疑問を浮かべながら玄関へと向かい、扉を開けた。

〇〇「はーい。」

扉を開けた先に居たのは僕の幼馴染であった。

天「あっ、、、〇〇、、、、、、」

なんだか普段の元気な姿はそこになく、落ち込んでいるようにも見えた。


〇〇「どうした?なんか元気ないじゃん。」

天「あー、、、まぁちょっとね、、、まぁ大丈夫!」



そう言って顔に笑みを浮かべ、肩にかかった髪をクルクルと指で回す。

はぁ、、、

こう言う仕草するのって昔から変わってないな。

今の天ちゃんは嘘をついてる。

この仕草をする時はいつも嘘をついてる時だ。

幼稚園の時から今までずっとそうだった。

これを知ってるのも僕くらいかな。


〇〇「大丈夫じゃないでしょ。」

天「え?」

〇〇「その癖。
   もう何回見て来てると思ってんの。」

天「、、、、、、鈍感なんだから鋭いんだか。」

〇〇「なに?」

天「なんでもない。
  じゃあ私が大丈夫じゃない理由は分かる?」

〇〇「、、、今日の課題とか?」

天「違う。
  まぁそれもそうだけど違う。」


天ちゃんが大丈夫じゃない理由か、、、

今までだったら課題が7割で日常的な問題が3割くらいだったからなぁ。


〇〇「んー、、、何か最近は楽しくないとか。」

天「もっと具体的に。」

〇〇「えー、、、友達と喧嘩しちゃったとか。」

天「ブー。ヒントは〇〇ね。」


僕がヒント?
なんかあったっけなぁ、、、


天「はぁ、、、本当に鈍感さんだね。」

〇〇「悪かったよ、、、それで答えは?」


天「、、、、、、、、、しい。」


消えそうなほどに小さな声。

元気な天ちゃんからは聞いたことのない声だ。


〇〇「え?」

天「だから!〇〇がいなくて、、、その、、、」

〇〇「僕がいなくて?」



天「さっ、、、寂しかったの、、、、、、///」

そう言って顔を赤らめる天ちゃん。


〇〇「、、、え?」

天「だからっ!最近は夏鈴ちゃんとばっかり
  一緒にいるし私に構ってくれないんだもん!」

〇〇「いやそれは、、、」


僕の頭に浮かんだ"選択肢"が!!

なんてバカみたいなことは言えない。

しかし、天ちゃんにこんな一面があったとは、、、



〇〇「でも僕が構わなくっても天ちゃんには友達
   いっぱいいるで」


天「〇〇のことが大好きなんだもんっ!!」

僕の言葉を遮り、いつものように大きい声で叫ぶ天ちゃん。

って言うか、、、、、、え?


〇〇「僕のことが?」

天「うん、、、、、、大好きだよ、、、///」


ドサッ


あれ?
なんか物が落ちた音がしたんだけど、、、、、、


夏鈴「天ちゃんが、、、〇〇のこと、、、///」


〇〇、天「「夏鈴ちゃん?!」」


そこには、先ほど一緒に勉強をすると言う約束を取り付けた夏鈴ちゃんがいた。

落ちたのは持参した勉強道具らしい。


夏鈴「天ちゃんが、、、そんな、、、、、、///」

天「そっ、、、そういうこと!!
  私は〇〇のことが大大大好きなんだから!!」


恥じらいが無くなったのか、さらに大声でぼくへの愛を叫ぶ天ちゃん。

すると、、、


夏鈴「わっ、、、私だって〇〇のこと大好き!!」

〇〇「、、、、、、え?」


夏鈴「天ちゃんより一緒にいた時間は短いけど
   〇〇の良いところはいっぱい知ってるもん!」

天「そんなの私だって沢山知ってるもん!
  一緒に歩く時は必ず車道側を歩いてくれるし!」

夏鈴「それは私に対してだって一緒だよ!
   他にも〇〇は、、、」

天「そんなの私だって知ってるもん!
  私が落ち込んだ時は、、、」


目の前で僕の良いところについてのディベートが行われている。

いやこれどうすれば良いんだ。


『小池〇〇に選択肢が与えられます。』

〇〇「え?」


A.山﨑天と付き合う

B.藤吉夏鈴と付き合う


天、夏鈴「「〇〇!どっちを選ぶの!!」」

いや、、、どっちを選べば良いんだよ、、、、、、!!


あなたならどっちを選びますか、、、?!

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