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I to U (前編)

2023.07.19
今日は高校が休み。

そしてまだ夏の始まりであるのに、苛立たしいほどの日差しが僕を刺す。

2ヶ月くらい前の僕だったら死んでも外には出なかっただろう。

それだと言うのに。僕はわざわざ外に出て目的も持たずに歩いている。

いや、目的も持たずにと言うのは詭弁かな。

ただ君に会いたくて。話がしたくて。


2023.05.14
僕は高校に提出し忘れた課題があったことを思い出し、学校へ足を運んでいた。

〇〇「、、、はい。申し訳ありませんでした。」

特に感情も込めず、謝罪の定型分を先生にぶつけた。

これから何をしようか、、、
そんなことを考えていると。

??「すみません!これ落としましたよ!」

名前も知らない女の子。僕のハンカチを拾ってくれたらしい。

〇〇「あぁ。ごめんなさい。ありがとう。」

??「んー、、、なんか元気ないですね?」

〇〇「いや。いつもこんな感じのローテンションなんで気にしないでください。」

??「へー。人生は上がる方が楽しいですよ!私みたいに!」

なんだこの子は。今までに関わったことのない人種だ。

〇〇「、、、きみ名前は?」

天「山崎天って言います!2年生です!」

小学生みたいな自己紹介。そう思って少し笑ってしまった。

天「あ!いま笑いましたね!やっぱそっちの方がかっこいいじゃないですかー!」

〇〇「笑ってないしそんなことないよ。」

天「またまたー。、、、えーこの後はお時間ありますか?」

〇〇「え?まぁ、、、暇だけど。」

天「ですよね!そう思ってました!」

、、、普通に傷つく。なんだ"ですよね!"って。
こんなやつ予定も友達も彼女いないとでも思ってるのか。

天「私お昼ご飯まだなんですよ!ちょっと付き合ってください!」

〇〇「そういえば僕もまだ食べてないな、、、いいよ。」

天「やった!じゃあ行きましょう!」

これが僕たちの始まり。

第一印象は礼儀知らずだけど礼儀正しい。

喋る内容は僕を馬鹿にしたものが多いが敬語は崩さない。

なかなか頭にくるタイプ、、、、、だった。


2023.06.2
あの日から僕と天はどんどん親密になっていった。
いつからか昼食は2人。

帰るのも2人。

特に理由はない。

ただ、居心地は今まで関わった人の誰よりも良かった。

そしてこの日。

僕たちは一般的に"デート"と呼ばれるものをすることになった。

、、、こんな言い回しをして分かるように僕は女の子とデートしたこともない。

もちろん付き合ったこともない。

天「やっぱりそうですよねー。」

〇〇「やっぱりって言うな。傷つくわ。」

天「だって〇〇さん感情が見えないんですもん。言ってしまえば結構怖い!」

若干のドヤ顔で話す天にイラつきはするがもう慣れたものだ。

〇〇「で、今日はどこ行くの?」

天「お!よく聞いてくれましたね!」

〇〇「そりゃ聞くわ。朝から何回聞いたと思ってんだ。その度に無視するし。」

僕たちは電車に揺られて今日のデート場所に向かっている、、、らしい。何故か天は僕に行き先を伝えない。

天「えへへ。では発表します!」

そう言って天は下手くそなセルフドラムロールを始めた。

天「ドゥルルル、、、ジャン!USJです!」

そう言って天は私物のカチューシャを僕につけた。

、、、、やられた。僕は以前から人混みが苦手だ。この事を天は知っているはずである。

〇〇「、、、はめやがったな。」

天「もー!人聞き悪いですよ!USJの楽しさを知らずに死んでいくのはあまりにも可哀想なので〇〇さんを連れてきたんです!かっこいいキャラクターもいますよ!スパイダーマンって知ってます?このキャラは、、、」

天のスイッチが入ってしまったようだ。

天はスイッチが入ると満足するまで喋るのをやめない。

しかし、こう言うのも悪くないな、、、


そうして僕たちはUSJを楽しんだ。

思ったよりもたのしかった。かなり。

天も僕も子供のようにはしゃいでしまった。


帰りの電車。2人並んで電車の揺れに身を任せる。 

しかし、疲れからか僕は寝てしまった。

天の肩に寄りかかりながら。

帰りの駅に着くころ、天に起こしてもらった。

そのちょっと前、、、

天「、、、〇〇さん。起きてます?もう着きますよ?」

〇〇「、、、、スゥ」

天「もう、、、全然起きないなぁ、、、」

天は周りを見渡す。乗客は1人もいない。

天「、、、スゥ、、、ハァ、、、」

天は深呼吸をした。

天「、、、、好きです。〇〇さんのことが//」

〇〇「、、、、俺も好きだよ。」

天「え!!起きてる、、、!!」

〇〇「うん。起きてる。」

天「なんでですか!言ってくれればいいのに!」

〇〇「天が何か言いそうだったから。」

天「うぅ、、ひどいです、、、」

天は恥ずかしさからか俯いてしまう。

〇〇「天?あのさ、ちょっと聞いてくれる?」

天「はい、、、なんですか、、」

俯いてる間に天の顔は真っ赤になっている。

よほどの勇気を出してくれたらしい。

〇〇「僕はまだ人と付き合ったことがないんだ。」

天「はい、、、そんな分かりきったことを、、」

〇〇「おいこら。話聞きなさい。」

こんな時でも軽口を叩く天。

こんな天がいつしか愛おしくなっていた。

〇〇「天はさ。僕と話してくれる時にちゃんと目を見てくれるよね。」

天「え?確かにそうですけど、、、」

〇〇「僕はその目が大好き。天の光ってる目を見るとなんだか勇気が出る。なんでもできる気がするんだ。だから好き。」

天「、、、目だけなんですか?」

〇〇「え?」

天「私の好きなところです!!」

天は恥をどこかに投げ捨て、大声で尋ねる。

〇〇「、、、軽口をよく叩くくせに言い返されたらすぐ顔赤くするとこ。僕が好きだって言った料理を練習して僕に作ってくれるとこ。めっちゃドヤ顔でね。それに楽観的に見えるけど実はすごい寂しがりやなとこ。すぐ俺の家に来ようとするし。あとは、、、」

天「、、、〇〇さん//」

〇〇「ん?どした?」

天「もうやめて、、、」

天の顔を見ると今までに見た事ないほど赤く、涙目になっている。

〇〇「その顔も好きだよ。」

天「もう!〇〇さんなんて嫌いです!!」

〇〇「ほんとに?」

天「、、、、うそです....大好きです///」

泣きながら笑う天の表情は今までよりも魅力的で、美しくて、、、

とにかく僕は天を抱きしめたくなった。

天「ちょ!ちょっと!まだ電車の中//」

〇〇「誰もいないでしょ。だから僕に好きって言ったんでしょ?」

天「うぅ、、、いじわるです、、、」

天はそう言いながらもしっかりと僕の背中に手を回した。

最寄りの駅が近づいてくる。

僕は抱き寄せた天を引き離そうとした。

しかし、、、

天「〇〇さん、、、あと5秒、、、」

これを5回。

そうしてやっと天は離れた。

この日から僕たちは恋人になった。

僕の初恋の人。

その人と付き合えた。

そう思っただけで顔がにやけてしまう。


そうして僕と天は恋人となった。

この時の感情と言えば"幸せ"としか言いようがなかった。

この時は、、、

I to U (前編)

the end... and to be continued.

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