「プロレスって何が面白いんですか?」にあえてまじめに答えようとした時の話:「勝ち負けって決まってるんですよね?」〜受け身編〜

初回のテーマは
「勝ち負けって決まってるんですよね?」
に対する受け身を提案する

これを読んでる人は「はいはいそれね」と思うかもしれない。なぜならこのテーマはプロレスファンの間では何十年と議論されてきたし、何通りもの答え方があるだろう。

そして、この質問ははタブーになっている。質問する側も「なんか聞いちゃいけない」雰囲気を感じている。夢を壊すようなことを言いたくない、傷つけたくない、変な空気にしたくないと思いみんな聞くに聞けないのだろう。そして、同時に自分も夢の中にいたいからだ。

しかし、だからと言ってその疑問を投げかけないのは全くプロレス的でない展開だ。納得するまで聞けばいいんだよ。そして、プロレスファンはプロレスから学んだ「受けの美学」によって自身も傷つかず、かつ夢を壊すことない美しい受け方を練習すべきだと考える。

質問した彼は大したもんだよ。

そして、彼に伝えたい
「勝敗は関係ないってカッコつけてるけど、プロレスファン同士は何故かめっちゃ勝敗の話で盛り上がるんだよ」
と。

そしてまず受け身編として、
プロレスを見て楽しいと思う感情は正当な感情なのかについて検証し、まず気持ちを落ち着けるところから始めよう。そして、プロレスという競技において最も重要な「観客」という概念について述べ、競技としての比較対象として「フリースタイルラップバトル」を取り上げる。最終的にプロレスという競技における勝敗の位置付けを説明する事を試み、プロレスにおける「競技性」とは何かについて考えてみる。

そもそも古代の歴史を見ても「二人の人間のどちらが強いかを競うことを楽しみ、その勝者は神聖な者である」という文化は何を示し合わせたか世界各地で発生している。古代ギリシャのオリンピックにはボクシング、レスリング、パンクラチオン(総合格闘技)がありその勝者はゼウスの宿る肉体とされた。日本書紀にも古代相撲として「力比べ」が存在しその興行自体が奉納するものとして扱われている。つまりは、決められた檻の中でどちらが強いかを見て昂る(滾る)感情は人間にとって原始的な感情なのである。

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