「スパイのためのハンドブック」

「スパイのためのハンドブック」
ウォルフガング・ロッツ

イスラエル諜報機関モサドで活躍した大物エージェントによるスパイ入門書です。豊富な現場の経験をもとに洒落たユーモアで軽妙に語ります。

選択式のスパイ適性検査で幕を開ける本書。
志願をどこへどのように表明すべきか、自分でできる訓練方法から金銭契約の注意点(ex.スパイの平均稼働年数は3年、ただし二重スパイは長生きしない)から偽装の準備法(己の特性から外れた偽装はするな、準備には年単位の時間をかけろ)と鉄則、賄賂に対拷問尋問(真実の信用を足場に嘘をつけ、相手の根拠が曖昧な時ほど殴られる)、
十分な資金があるのならば腐敗した刑務所ほど居心地が良くなる、などなどすぐにでも役立つスパイの知恵が満載です!\(^-^)/

最もスパイに向かないのは、理想主義者。
理想主義者は目標を手直しして服従しない。
機転が効かずに仕事を打ち壊す、
だそうです。

いや真面目な話、
最良かつ細心の教育でもあなた自身の基礎になるにすぎず(よくて5割)、個性と状況に応じて適応させなくてはならない。
などの下りは生死に関わっているだけに唸ってしまうような説得力があります。

“恒常的な愛への飢えを利用されるな。”

後書きの、引退後のスパイへの言葉には思わずニヤリとさせられます。かなり丁寧にいろんなリタイア後のアドバイスをしておきながら、
それでも仕事も家庭もうまくいかずにどうにもこうにもならなくなってしまう愚かな元スパイができることといえば、
“スパイ業への入門書を書く”

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