「数学者たちの楽園」

「数学者たちの楽園」
サイモン・シン

フェルマーの最終定理、宇宙創成、暗号解読などで有名なサイモン・シンが明かす、超人気アニメ「シンプソンズ」に練り込まれた数学思考。

隠し味程度に数学ネタが使われているのかと思いきやさにあらず。シンプソンズはそもそもその成り立ちから数学者たち(それも一流の)が関わっており、脚本作りの種に「いかに数学ジョークをさりげなくバカバカしく折り込むか」が据えられているのだ。

ときにそれはナンセンスギャグとして流され、
ときにそれはほんの一部の数学オタクたちをニヤリとさせ、
ときにそれはフェルマーの最終定理を覆す解を示して数学オタク達を大混乱させ(種明かしは、10桁の家庭用電卓で計算すると成り立つはずのない等号が成り立ってしまう、というもの。)、
ときにそれは史上初めてシットコムから数学定理が生まれるきっかけとなり、
ときにそれは元研究者で現脚本家達の数学への複雑な思いと影響を形として残す希望となり、
天才達をして「生まれてきた意味がある!」と叫ばせる。
奇しくもそれは、数年前のキングオブコント優勝者の叫と一致する。

数学が苦手でも、一つ一つのエピソードがユーモアたっぷりに語られているので、若干ドン引きしながら興味深く読めます(笑)


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