「弓と禅」

ドイツ人哲学者ヘリゲルが、
弓道を学び修めていく中で禅の真髄に迫っていく過程を丁寧に綴った体験記であり研究書。

ほんの一握りの天才しかなし得ぬ禅の悟り、その真の経験に通ずる予備門として「道」があるとヘリゲルは喝破します。
技で掴み、把握できぬもの(悟り)へ移行する諸道。
自己から離れる沈潜は無限の充実を生み、
呼吸と礼儀によって感覚の戸を閉じ、内的な手がかりを得て返って開かれる、
これまでにない容易さと幸せな確かさ。
師から弟子へ、ろうそくや松明の灯火を移すように伝えられていく高次元な学び。
徹底的な経験至上。
言葉にすると本質で無くなる非思弁的な経験。

学びの本質と身体性の究極が垣間見える一冊。

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