「ウンベルトエーコの世界文明講義」

「ウンベルトエーコの世界文明講義」

知の巨人ウンベルトエーコ氏が、知識、美醜、絶対、嘘、不完全、秘密、、、などの様々なトピックに解説を入れていく講義集です。

・美しさには情熱がなく、距離が必要。それは見る時に感じるものであって、体験の最中に受けるものではない。嫌悪と拒絶を伴った情熱が醜さへの感情。
・内容を持たない玉ねぎの皮のような秘密が最強の秘密。秘密への渇望に地図を与える。
・不完全性は部分においては不要でもかえって全体性をもたらす場合がある。それこそが芸術の本質。

などなど膝を打つような知的洞察が満載の贅沢な一冊です。なかでも傑作なのが、
「巨人の肩に乗って世界を見る」
のロジックについて。
氏はこれを、“父親殺しのために先祖の力を借りる”世代間闘争の方法だと喝破しています。
直前の世代を乗り越える、いつの時代もこれは大きなテーマなのだと。うーむむ。

なお、近年はあらゆる価値観が並行して存在していて、小人と巨人の境目が時に逆転しているので、
「巨人たちはいつでも私たち小人の肩に乗る用意ができている」のだそうです。。。
勘弁してくれよ(笑)

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