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2022年9月

Y先生から紹介された病院へ、まずは検査を受けに行く事になった。
車で約1時間半程。
普段ならひとりでもまったく問題のない距離だ。
しかし、この時の私にはそんな自信はなかった。
心配した両親も行きたがっていたので、結局有給を取ってくれた夫と私の両親、4人連れだ。
えらい大事な人数だ・・・

私が受ける手術は頭蓋内微小血管減圧術。
最初に脳神経内科の先生が「手術はリスクがあるから」と言ったその手術だ。

人生二度目のMRI を撮り、診断を受ける。
やはり右 三叉神経痛。
しかし今回は三叉神経痛専用の検査。
この病院では造影剤を入れてMRIを撮る。
それは、三叉神経を圧迫しているのが動脈なのか静脈なのかを判別するためだ。

2回目のMRI

担当するのはT先生とG先生。
特殊外来、という名の脳神経外科だ。
ここのT先生は腕利きらしく、全国から患者がやって来る。
後から聞いた話だが、テレビにもよく出ている(私はまったく存じ上げなかったが・・・)福島先生という脳外科のドクター系列の先生たちが「腕が良い」と言われているようだ。
T先生もそのひとりらしい。

そして、やや緊張して結果を聞く。
「えーっとね、結論からいうと、
動脈、静脈両方でした」
「え?!」
両方?両方ってどういう事よ?
いや、最初に少ないが静脈が当たっている可能性もあると聞いてはいたが、まさかの両方・・・。
撮ったMRI画像を3D画像にして見せてくれた。
うん、これなら素人でも分かる!
しかも、動脈、静脈それぞれ色分けされている。
右三叉神経に併走するように静脈がべったりくっついている。
そして、そこに動脈がどんと乗っている。

謎の病 三叉神経痛

ここで、三叉神経痛の実情について聞く。
医学のテキストでは、静脈接触の三叉神経痛は存在しないそうだ。
しかし、現実には数は少ないが静脈が当たっている事が原因と思われる三叉神経痛患者が存在する。
そして、それを剥がす事で治る人がいることも確か。
T先生は今までそういった患者を数多く診てきたそうだ。
だから、経験則だけど、と前置きをして話してくれた。

「静脈の人は変わった痛み方をする。
Y先生が非定型の顔面痛と間違えたのはよく分かる。なぜ三叉神経痛が起こるのかも実際にはよく分かっていない部分もある」
と。そして、
「腫瘍が圧迫してる事が原因の人もそうだけど、
何もしていなくても痛くなったり、
痺れたり、長時間続いたりとか・・・」
ここでピンと来た。
「あ、そうです。私はそうです!」
「そうか、だと痛み方からすると静脈だね」
ここへきて、ひとつ謎が解けた。
こんな三叉神経痛あるんだろうか?
と思っていたが、本当にあったのだ。
でも、それは三叉神経痛のまだ解明されていない部分でもあった。

とにかく、静脈がどうのこうのと言う前に動脈も接触している。
どちらにしても手術だ。
と、いう事になった。

頭蓋内微小血管減圧術

微小血管減圧術とは、耳の後ろに五百円玉程の穴を開け、そこから三叉神経にくっついた血管を離す手術だ。
リスクは聴覚異常や顔の痺れ。
近くにある滑車神経という眼の神経に触ると視覚障害も出る。
詳しい話を聞いて、私はすぐに手術の予約をする予定だったが、ここで夫が怖気付いた。
ええー?!そこであんたが怖気付くか?!

そして予約はとりあえず家に帰ってみんなで話してから、という事になった。

まだ、この頃の私は、ひとりで生きている。
そんな感覚でいた。
だからなぜ私の手術をあんたが決めるんだ?!
そう思った。

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