10月14日
やっと、待ちに待った朝が来た!
蛍光灯がついた瞬間そう思った。
私の人生の中でも1位2位を争う程の長い夜だった。
夜中辛くて何度もナースコールをした。
寝返りが打てない。
そのうちに無性に起き上がりたい衝動に駆られるようになる。
もちろんそんな事は許されない。
少しバイタルがおかしくなるとすぐにブザーがなる。
大抵上手く測れなくなった、という感じなのだが、これが結構うるさい。
隣でおそらく脳腫瘍を取ったおじさまはかなりえづいていて辛そうだった。
これを聞いている事も相当辛い。
何とも言えない経験だった。
「戻したら教えて下さいね」
とイケメンナースに言われたが、結局えづく事もなく、私は薬で乗り切る事ができた。
しかし退院後、医療ドラマなどであのブザー音を聞くと、この術後24時間が思い起こされて嫌な気分になるようになった。
完全にトラウマだ。
医療ドラマ、見られなくなるかもしれないなあ。
午前8時担当の看護師さんがベッドを上げてくれた。
ああ!やっと頭を起こせた!
何とも言えない快感だ。
そしてそのまま朝ごはん。食べる気力はなかったが、まさかの常食。
オペ後約20時間後、食べられるかい?!
と無言で叫ぶ私。
結局ほぼ食べず。
午前のいつだったか知らないが、T先生が回診に来た。
熱が出てしんどい、と伝えると「そりゃ術後1日だもの」と、サラッと言う。
ああ、そうか。手術後の発熱は当たり前なのね。
なんでそこ術前に言わないのか?
言ってくれてたら、まあ多少熱高くても不安じゃなかったのに。
ついでにぐるぐる巻きにしていた包帯なのか、ヘアバンドみたいなものを取ってくれた。
「ここ、この繋ぎ目付近になってた所が痛かったんです」と私。
「そうか、でもねこれが大事なんだよー。これをちゃんとしないと血が溜まってえらい事になるんだわ」
うーん、なるほど。
しかし、異常なくらいの力で締められていたせいで、顔が痺れている。
このせいなのか、術後の痺れなのか、どちらか分からない!
一番痛い後頭部はヘアバンドの跡がついて凹んだまま。
正直傷はほぼ無痛だ。そんな事より止血のために締められていた後頭部や側頭部の方が痛い。
この時学んだ事は、頭蓋骨は自分が思っているより強いのだ、と言う事。
午前中にSCUから帰る。
心電図モニタが外され、部屋に戻ってからは、尿道カテーテルも外してもらった。
この2つの「管」が取れただけでスッキリだ。
その後、体を拭いてもらい自分のパジャマに着替えてひと段落。
が、顔を拭いていて、感じる。いつものヤツ。
「痛い」
変わっとらん!
そして、どんどん痛くなる点滴。
ただ、まともにお昼ごはんも食べていないので、外すのをためらわれる・・・
もう少し触られるだけでも痛い。
うなっていると、タイミングよくT先生が現れる。
思わず点滴が痛い。と愚痴をこぼす。
いや、ここでの出会いがラッキーだった。
私の腕を見るなり
「ああ、漏れてるわ。これは痛いでしょう。もうやめよう」
とあっさり点滴を外す事に成功。
いやしかし、見ただけで分かるんだなあ、と。
とてもおかしいようには見えなかったが、その後数日経って先生の言葉があっていた、と分かる状態になっていった。
その日の夜。
ごはんは、気長に私の食べられそうなものを聞き込んでくれた看護師さんのおかげでお粥プラスゼリーに。
ああ、やっとちょっと胃に入る気がする。
そうか、看護師さんはただ経過診るだけではないんだよなあ、と実感。
術前からついてもらった彼女にはこういう面でものすごく助けられた。
禁止している病院が多いが、先生や看護師さんに退院後菓子折りを持ってくる人の気持ちがすごく分かった。
ただ、後頭部の痛みと熱で、あまり熟睡できず、何度もナースコールを押す。
とりあえずロルカムをもらうが、なんだかあまり効かないような・・・
術後2日目の夜もそれなりにしんどい状態だった。
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