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感想

こんにちは、私は小学四年生の西条うららです。今回は私が大学四年生の方のパフォーマンスのスタッフ(照明)として働いて、パフォーマーの方の演技をいくつもみて出てきた感想を書いていきます。

いくつか広告で使われていた写真を使おうかと思ったのですが著作権が怖いのでやめておきます。えらい、小学四年生とは思えない身のこなし。

1.中村音巴   【水を包む】
最初に言っておくと、うららは中村さんのパフォーマンスが全く見えてませんでした。水のように掴みどころのない音が加速したり減速したり、音という観点ではすごく楽しめたのですがカーテンに映していた映像が、私の役割のポジション上全く見えませんでした。ただひとつ言えるのは、仮に私がお客さんだとして、カーテンの奥に表現者がいて、見る側と見られる側をカーテンが区切っている事がポイントだったのかなと思います。インターネットで育ってきた我々は画面の奥にいる存在に激しく希求してしまうものでたった1枚のカーテンがあるだけで、フィジカルには近い距離にいたとしても絶対的な距離を作り出してしまうことの面白さがあったと思います。うう~ほんとに見たかったよ~

2. 菰田遥大 【魚魚魚ー魚・魚ー魚魚】
人間が自分の身体を使ってどこまで魚になりきれるのかを全力で表現した作品でした。中村さんの作品では表現者と鑑賞者を分離していたのですが、菰田さんはその境界を自信が魚となって登場するシーンで境界を破り、実際に境界を無くしてみせました。鑑賞者が緊張感をもった直後に異常なリアリティで釣り人に捉えられお魚ボックスにぶち込まれ、その後脱出し、観客にぶつかったりぶつからなかったりしながら退場していきました。総じて混乱していましたし、魚特有の気持ち悪さが出ていて人間の身体性でここまでできるのかと、面白かったです。

3.佐藤美月 【衝撃デビュー!?】
お嬢、と呼んでいるので佐藤さんの事をお嬢と呼びます。
https://twitter.com/performance022/status/1585281575398187008?s=20&t=HJ3edBlxW2bKnKmQm0uxpQ
お嬢の作品はお嬢のかわいいビジュを見てなんぼなのでリンクを貼っておきます。ぽみゃーら、見てこいよ。お嬢がアイドルデビューを果たすもステージでぶっ倒れるという簡潔な内容でしたが、果てしなく可愛かったです。前提として、モチーフの『アイドルデビュー』と『死』はチープな結びつきをしていると考えていて、そのチープさを十分に活かした作品だと思っています。お世辞にも上手と言えないお嬢の歌と踊りでしたが、そこが核心だと思ってて、自分の技術的な部分に対してアイドルになりたい気持ちが先行してしまっていること、そして上記したアイドルデビューと死のチープな関係性がお嬢が生まれながらに持っている少女性を照射しているんだとかごちゃごちゃ考えながら心のペンライトを振っていました。心の底から見ていて楽しかったです!!

4.三村一梨   【外面】
人が人を見る時に性別を意識してしまうような勢いで少女を想起させる音楽が流れて始まりました。三村さんは目隠しをされた状態で「保護者」に手を取られぷかぷか歩いて、音が途切れると「保護者」は三村さんから遠のいて、保護者と被保護者という関係性が壊れ、少女(三村さん)は大きなアイデンティティを喪失します。不安に駆られて目隠しを取るのですがその時の様子が今生まれた赤ちゃんような鋭敏さを持っていました。少女は目隠しを取ることで外の世界を知ると同時に自分の身体を知覚し、その結果身体を纏う服をべりべり剥がして倒れ込んでしまいました。私は「知覚」と「行為」の間にあるはずの論理、少女の中だけに存在した論理展開の空白性に驚き、長い時間をかけて解いていく様をぼんやりと見ていました。この時の感情は上手く言葉にできていないです。

5.清水朱夏 【da・lia 与え与えられ私は生きて____.】
清水さんの作品は音楽が流れて、踊るというものでした。うららは本気の踊りを見たことがなかったので、もう、ほんっとにかっこよくて、かっけぇ~~!!ぐらいの感想しか出てきません。指の先まで清水さんの血が巡っていることを強く確信したし、時折彫刻のような表情を見せる力強い演技に感動しました。観客にそっと触れるシーンでは観客と表現者の境界が極限まで崩れて、その引き裂く緊張感がその2人だけでなくその周辺へ伝わりました。手で顎をバチコーンするシーンも1つのサビで身体ひとつでとても驚かされてしまいました。顎に手が触れる瞬間は、なんというか今まで見ていた踊りとは全く別種類の表現を受けたような気がしていて、その揺さぶりが私を没入させたのだと思います。観客に触れ、揺さぶる。没入感という点では頭ひとつ抜けてたと思います。

6.森大祐 【vomit】
友人なのでえりおくんと呼びます。えりおくんはセリフを吐きながら観客の回りをぐるぐるまわります。
「彼女の長い髪の毛を掴んで洗面台に何回も叩きつける」何回も、に注目した評をすると、うららは短歌をしている故に言葉のリズム感には敏感になっちゃって、何回も、にものすごい失速感を感じる。リズムを綺麗に落としこむなら「何度も」が適切なんだけれどもあえてそれを無視して「何回も」にするリズムの不快感から妙なリアリティが発生していて、このセリフ本当に好きです。それとえりおくんの声は人に伝わった後自分の体に帰ってきて体を何周もしてしまうような体質の声をしていて、セリフと声質があっている、表現者の色がでた作品を楽しめました。

7.畑中美佳 【UZU おわりはじまりマワリテメクル】
2人がしりとりをしてそれが踊りや笛吹に転じて、焚き木の回りを走り、人が加わり大きな絵の上で踊る、作品です。
言語を用いたコミュニケーションから踊ったり笛を吹いたりする非言語的コミュニケーションにうつり変わっていく様子が美しかったです。人が加わったあとでは2人の時の単線的なコミュニケーションとは異なる私の想像もできない広がりのある新しいコミュニケーションを提示していて夢を見ているような心地がしていて、説明のつく所から説明のつかない所への変化が芸術的だなと感じていました。
あとあの楽器何!?ポンポン叩いて音が綺麗だ事!すごいや!よのなかひろい!最後のパフォーマンスにふさわしい派手な演技でした。

はい、以上で西条うららが感じた感想を終わります。長々と読んでくださりありがとうございました。


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