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金沢旅日記①: ラブストーリー
金沢の夏は暑かった。
ひとり気ままにひがし茶屋街を歩いていると、シンプルで美しい看板が目に留まった。ニッコーテーブルウェアの店『白磁』。閉店時間まであと30分だが私は迷うことなく扉を開けた。すると、店に入るなり正面に見覚えのあるピンクの美しい珈琲カップ&ソーサーが目に入ってきた。
あー、懐かしい。。。
それは亡き父のお気に入りだった珈琲カップだ。
このカップを見るのは実に何年ぶりだろう?
私が子供の頃、父が家族を連れて行ってくれた洋食屋で出される珈琲とこのカップを父はとても気に入っていた。
『白磁』には立派な木のカウンターがあり、私はそこに座って珈琲を注文した。
店の方に亡き父とそのカップのことを話すと、いまや非売品になっているその美しいカップに珈琲を入れてくれた。
私は初めてカップの絵柄をじっくりと眺めてみた。
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お店の方によると、その絵柄は中国に伝わるラブストーリーがモチーフになっているそうだ。そのストーリーを耳にして私は思わず胸が熱くなった。
『富豪の娘と使用人の若者が許されぬ恋に落ち、駆け落ちをするが捕まってしまう。現世で結ばれなかった二人は、やがて二羽の鳥となって永遠の愛を誓う。この絵は「比翼連理(ひよくれんり)」といい男女の仲睦まじさの象徴です。』
![](https://assets.st-note.com/img/1679578176167-IZCqf0iYH2.jpg?width=800)
私の父と母は親に反対され、半ば駆け落ち状態で結婚したのだ。父がこのカップの絵柄のストーリーを知っていたとは思えないけれど、父にはこの美しいカップにどこか惹かれるところがあったのだろう。
また金沢を訪れた時には『白磁』を訪ねてみたいな。
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注)『山水』は現在、純白のファインボーンチャイナに絵付けされたものが、新たに『SANSUI』として発売されているそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1679578383868-5KbPY9FJEB.jpg?width=800)
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