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浜田麻里 40th Anniversary Tour "Soar"@東京に参加して

すっかり秋めいて肌寒い日が続いている10月第2週。待ちに待っていた浜田麻里の東京公演に参加してきたので、感想を書いておこうと思う。

昨年還暦を迎えたメタルゴッド浜田麻里は、今年の40周年という節目に新作アルバム「Soar」を発表。
アルバム「Aestetica」から続く激しいスタイルは今作も継続しており、今作はいつもの激しさに加え、「死生観」を反映したということで、かなり重く、暗い作風になっている。
リリースのたびに激しさを増しているその作風は、
さながら夜空に浮かぶ星、恒星が星の終わりに強烈な輝きを見せる様のようだと思うときがある。
リリースのペースが最近のように4、5年空いてしまうと、新譜を聴くこと、そしてライブを見ることが後どれくらい叶うのだろうと思わないでもない。
だからこそ今、浜田麻里のライブを見て体感することは、とても貴重な機会だと個人的には捉えている。

今回のツアーは全国5箇所を回るが、
最終日は札幌、今回の東京はツアーの中日という、いつもとは違った回り方をしている。
本日の東京公演については、東京ガーデンシアターが会場となる。
個人的には今年1月のBAND-MAIDのライブ以来。
8,000人規模の会場であるが、チケットはソールドアウトである。
というかこのツアーは全公演ソールドアウトとなっている。
本日の会場アナウンスによれば、本日は収録用カメラが入っているとのことで、おそらく半年後ぐらいにライブBlu-rayとして発売されると思われる。

ほぼ定刻18:00にライブはスタート。
セットリストは以下の通り。(なお以下、浜田麻里については「麻里さん」と記載させてもらう)

Dramatica
Diagram
Noblesse Oblige
Prism
Material World
Mirage
Paradox(Acoustic)
Last Leaf
Escape From Freedom
Dancing With Heartache(Extended)
プチDrum Solo〜Tomorrow Never Dies
プチKeyboard solo〜Black Rain
Blue Revolution
Ilinx
River
Zero Gravity
Right On

(EN)
999〜One More Reason〜
Heart and Soul
Return to Myself

(EN2)
Stay Gold


今回は40周年記念ツアーとはいえ、内容的には新作アルバム「Soar」の曲が主軸となって構成されており、その実はリリースツアーに近い。
もっとも前作「Gracia」の時も35周年だったが、日本武道館のセットリストですら、Graciaが中心の構成で、全年代アーカイブのようなものではなかった。
おそらく麻里さんとしては、現在進行形の姿こそ自分のキャリアハイの姿であり、最新作の内容こそが自身の最善・最良のものであるということを体現しているのであり、最新の自分に関する自信が、これらセットリストに現れているということだろう。

ライブの構成自体はここ数年と同様で、
中盤でアコースティックを挟んだ後、Extendedパートを導入した楽器隊演奏中に麻里さんのお色直し、そこからハードな曲で畳み掛けるという構成。
ただいつもバラード曲をExtendedにするのだが、今回は少し変則的で、Dancing With HeartacheがExtendedバージョンとなっていた。
なおParadoxの後のLast Leafは、前半がベースとギターによるアコースティックアレンジになっていた。
そういえば、本編のラストはZero GravityではなくRight Onだったわけだが、この曲は前回のGarciaツアーでは1曲目であり、その対比が興味深いと感じた。
「立ち塞がる壁を越えていけ」
そう呼びかけるこの曲は、前回はどちらかと言えば「みんなで一緒に乗り越えていきましょう」的な柔和なニュアンスだったかと思うが、
コロナ禍という大きな厄災を経て、
麻里さんもMCで口にしていた「生き抜いていくこと」を後押しする訓示のようなもの、「生き抜いていけ」と我々に語りかける強い位置付けに進化したんではないかと個人的に捉えている。

麻里さんの歌唱については、相変わらずのハイトーンとパワフルな歌声を響かせていた。
前半、例えばPrismとかでは、少し喉の調子が良くないのかなとも思ったが、お色直し後から尻上がりに声の調子が良くなって、たどり着いた最後の「Stay Gold」のハイトーンなんかは、まさに絶唱であった。
そういえば今回Soarの曲を改めて聴いて、いつもよりファルセットを駆使している曲が多いのかもなと気付いた。
ライブではそれを完全再現していたところだが、ファルセットが多くなっている理由が少し気になる。
新しい手法を入れて変化をつけようとしているのだと思うが、全てハイトーンでカバーするのがキツくなってきたからという理由でないことを祈りたい。(まあ今日のライブを見ていたら、そんなわけないなとは思ったが笑)

今回バルコニー席で見ていたので、楽器隊の挙動もしっかり見ることができた。全体的に音はかなり良かったと思う。
欲を言えばベースの音がもう少し前に出ていても良かったかなと思ったが、別に埋もれていたわけではない。
惜しむらくは、コーラスの絵里さんのマイク調節が今ひとつだったというところ。
おそらく楽器隊のとき、麻里さんが歌唱しているとき、同期のコーラスも一緒に流しているときで、都度絵里さんのマイク音量を調節していたと見受けられたが、そのバランス調整が今ひとつだった。
Prismでは明らかに絵里さんが歌っている姿が映像で抜かれているのに、コーラスが全く聞こえてこないといったこともあった。麻里・絵里コンビの超絶ハーモニーはライブの醍醐味なのでもっとちゃんとして欲しかったかなと。
あとDrumの原澤秀樹は改めて手数がやばいし、派手なドラマーだなと。
前々からMAHATMAやALHAMBRAなどで叩いている姿を生で見てきたので初めて見るわけではないが、約4年半ぶりに見た原澤秀樹のプレイは、遠くから見ていても釘付けになった。
ハイハットが正面にもある独特なセッティングも顕在。

これだけ複雑な構成をまとめ上げてしまう現在の浜田麻里バンドの能力の高さは、そこらのロックバンドの追随を許さない高次元のクオリティだった思う。

ライブそのものについて、本当素晴らしく、感無量といった感じであった。



さて、ここまで書いてきて何だが、ライブは疑いなく素晴らしいものだったが、正直個人的には不完全燃焼だったと言わざるを得ない。
ライブの中身とは関係ない要因で気持ちを乱されたためだ。

私は第3バルコニーで見ていた。
これまでの麻里さんのライブでも往々にして見られた光景であるが、麻里さんのライブではスタンドの客が立たずに終始座って見ていることがある。ただ、立っている客も相当数いる。

この点、主催者設定の注意事項に、
「スタンドの客は立ってはいけない」とは定められていない。
高階層の1列目は危険があるため禁止されることがあっても、少なくとも2列目以降は、別に禁止されていないのだ。

今回冒頭Dramaticaが始まるタイミングで私は立ち上がろうとしたのだが、その時、横の横の席にいた女が「立ち上がらないでもらえますか?見えないので」と言ってきた。
パッと周りを見ると、少ないながらもバルコニー席で立っている人はちらほら。
「は?お前横だろ?」とは思ったが、「そうなんですか?」と返し、曲が始まってすぐくらいのタイミングでとりあえず座った。

確かに立ち上がる前に、周りを見るとSEがかかっているのに第3バルコニーで立ち上がっている人間は極めて少数だったのは気づいていたので、一瞬躊躇った。
ただ、個人的に一番楽しめる形で参加したかったから、とりあえず立ち上がった。
別に後ろの席について配慮していなかったわけではない。
東京ガーデンシアターは席が工夫されていて、前の同一番号席が少しずつ横にずれており、前の人と被らないよう席配置になっている(東京国際フォーラムと同じような配置といえばわかるかな?)。
これについては前にこの会場に来た時に分かっていたし、前の人が立ち上がっても視界が完全に塞がれてステージが見えなくなるということが起きにくいことは知っていた。
それに当然「後ろの人」が見えにくいといえば、座るつもりでいた。
ところが、横のやつがこれを主張してきたので、全く意味がわからない。

あのな、主催者が禁止事項にしていないのであれば、
「スタンド席は当然座ってゆっくり見る席」
じゃねーんだわ。
勝手に決めるんじゃねーよ。
麻里さんも今日のMCで「こちらからは(ライブ中)こうしてと言わないので、思い思いに楽しんでください」的なこと言ってだろうが。
(実際、第1と第2バルコニーでは立ち上がってる人結構いたし)

あとReturn To Myselfの時に明らかに第3バルコニーで立ち上がった人が増えたし、なんなら注意してきたやつの前の列のやつ立ち上がったけど何も言わなかったよな?
なんで私がダメでこいつらがokなの?
アンコールであと数曲しかないからokとでも?
それこそMCで麻里さんが言ってた「世の中のおかしな不文律、理不尽」だろうが。

おかげさまで、冒頭集中力を削がれ、注意してきたやつが視界に入るところでキャッキャ騒いでるのを見て興醒めしてしまい、終始麻里さんの歌唱にのめり込むということができなくなってしまった。
最悪だ。
麻里さんのライブでは、歌唱にのめり込み、その精神性に触れていくことが醍醐味だと個人的には思っている。4年半前の日本武道館では素晴らしい体験が出来たのに。。。
こんなしょうもない経験、よりによって貴重な麻里さんのライブでしたくなかった。
こんなことになるくらいならバルコニー、スタンドは全員着席厳守にしてくれないかなと思うくらいだ。


江戸の敵を長崎で、的な話ではないけど、
この鬱憤は名古屋で晴らさせてもらうつもり。
ただ、よりによって、名古屋も2階の前の方、、。
もう絶対立ち上がらないでおこうかな。
麻里さんのライブに集中できないことの方がよっぽど辛いしね。

ということで、次、名古屋!

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