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映画の心

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Amazon Prime Videoで見れる文芸映画を中心に映画が訴えていることを映画の評論ではなく、作品論として独自の視点で捉え、思ったこと、感じたことを綴っています。取り上げ…
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#石原裕次郎

『あいつと私』(原作:石坂洋次郎 主演:石原裕次郎 1961年9月10日公開)個人の感想です

吉永小百合が写真に写っていたので、観てみるか、という程度で観始めた映画であったが、コミカルな中にもこの時代の変化をてんこ盛りにしたとても面白い映画だった。リリカルとかニヒリスティックと評されていたけど、そんな感じではなく、十分に世相を反映していて、とても面白かった。ちなみに吉永小百合は、主演女優芦川いずみ(藤竜也の妻)の妹役にすぎなかった。ドテッ! 時代は、1960年、戦後15年、安保闘争の時代、まさに学生運動の始まりのころである。登場人物の年代も恐らく明治、昭和一桁、戦中

『乳母車』(原作:石坂洋次郎 主演:石原裕次郎 芦川いづみ 1956年11月14日公開)個人の感想です

石坂洋次郎作品『陽の当たる坂道』に続いて3本目の『乳母車』を観てみた。私は、映画を観るとき、予め調べはしない、あらすじが分かったり、専門家の評論でバイアスをさけるためだ。今回も、どんなメッセージを届けようとしているのか、そして自分はどのように解釈して結論付けるのか楽しむことにした。 文学とはは、その当時の文学者が前衛的な感性を持って社会にメッセージを投げ込み、そのメッセージが庶民の心に刺さり、そして社会に影響を与えていくということだろうと理解している(様々な考え方はあると思

『太陽の季節』(原作:石原慎太郎 端役:石原裕次郎  主演:長門裕之 南田洋子 1956年5月17日公開)個人の感想です

言わずと知れた石原慎太郎の短編小説を題材にした映画で、石原裕次郎が端役としてデビューした作品。私は石原慎太郎の小説を読んだことはないけど、歯に衣着せぬ、いかにも政治家石原慎太郎の作品だなと思った。主演は長門裕之だが、今や、石原裕次郎デビュー作扱い、その当時はどうかわからないけど、裕次郎が出てくるとどうしても裕次郎を目が追いかけてしまう。致し方ないことか。 この作品は、文學会新人賞を受賞、芥川賞を受賞した作品なので、著名な方々の様々な評価がググってみるとあるようだが、文学音痴