見出し画像

石丸市長VS清志会論争(?)の深淵

議場内に響くいびきをかきながら居眠りをする市議会議員(最大会派・清志会所属)を見かねた市長がたしなめたことに端を発する一部市議対市長の対立で注目を集めた広島県安芸高田市。その石丸市長が東京都知事選に出るということでさらに注目が集まりました。

勝てないことは分かっていて立候補するのは、ほぼ全国的に注目される東京都知事選挙で認知度を高め、いずれ行われる国政選挙で優位に立つのが狙いだろう、とか言われておりますが、東京一極集中が問題だと言っている候補に東京都民が支持するとも考えにくいので、自身の名前と政策方針を知らしめる好機として出馬したと見るのは素直な解釈と言えるでしょう。

さて、参議院選挙に絡む選挙違反(現金収受)で先代の児玉浩市長が辞職したことを受けた市長選に立候補した石丸氏は、児玉市長の下で副市長だった竹本氏に3千票近い差を付けて当選。この経緯から既成勢力との抗争は目に見えていました。いろいろと対立してきた中で、「道の駅・三ツ矢の里あきたかた」に無印良品を出店させる計画で調査費の予算を否決され、この計画は頓挫しました。

最大会派・清志会の言い分は、調査費の執行を専決処分しようとしたことが許されないというもので、これは確かに緊急事態に対する制度である市長専決権を道の駅の改造事業に行使するのはマズイだろうと思います。ただ、それだけならば、手続きを踏み直せば済む話ですが、政策的に何が問題なのか説明せずに反対を貫いたというのは、市長が言うように無責任な話ですが、違法ではないので次回市議選で市民が判断する問題です。(「改憲はダメ、ダメなものはダメ」と言っていた昔の社会党の代表や、「核武装は議論すら許されない」と明言した野党の代表も居ますので、国政でも理由なき反対は珍しくありません)

道の駅に無印良品(大手流通資本)が出店することは違法ではないものの、制度趣旨からみれば、違和感のある話です。道の駅は、駐車場とトイレ・休憩施設、地域情報の発信機能でワンセット。物販設備などがあるのは、農林水産省事業を活用して自治体の判断で複合化したもので、政府の指導で施設の由来を明確にするようになってます。この場合、「道の駅・三ツ矢の里」が国土交通省の制度で、後ろに付く「あきたかた」が物販などの商業施設の部分(地域振興施設)。おそらくですが、農林水産省辺りの交付金が入っているのではないでしょうか。施設の運営は、第三セクターが指定管理者のケースが多くあります。

ショッピングモールを想定したものではないのですが、集客できなければ経営が維持できないという切実な問題もありますし、千葉県鴨川市が設置した(道の駅ではない)総合交流ターミナル「みんなみの里」は、農産物や地場産品の販売をはじめ、田植え・稲刈りなどの体験イベントの提供、鴨川・南房総地域の情報発信など都市と農村の交流拠点として農林水産省の補助対象事業として整備されましたが、現在の指定管理者は株式会社良品計画という例もあり、政策的に期待された機能があればよいということで、政府の扱いもかなり柔軟になっています。

「道の駅・三ツ矢の里」には、前市長の肝入りで造った田んぼアートを展望する設備があって、これが予算を食うということで、石丸市長が廃止、収益向上のため無印良品を誘致し、地場野菜も扱うので施設の趣旨は変わらんだろう、という発想だったのでしょうが、前市長派からすれば、メモリアルを堂々と否定され消去されるのは我慢ならん!という反感が湧き上がったのでしょう。大義名分は、楽しみにしている人々は大勢いる!気持ちを大事にしろ!

さてさて、「楽しみ」のために使う予算はどこまで許されるのか?論証は難しい話です。一方、元金融マンの関心事は数字でわかる「費用対効果」。これで論争すれば勝敗は明らかで、清志会の議員が繰り出す情感を根拠にする質問・要望は頭の悪いクレイマーにしか見えません。人格批判みたいな攻撃も絡めるので、論理はないが傲慢な地方政治家のテンプレ。これでは、ひろゆき氏のような人気論客は石丸市長を絶賛します。

これはどちらが正しいかと簡単に言えるテーマではないのですが、既得権益に縋り付き議場で居眠りをしている市議会議員VS若き理論派の改革市長という構図に注目が集まったのがサイテーで、清志会の動機は既得権益と気分のよさであったとしても、衰亡傾向にある地域に「楽しいことがあっても良いじゃないか」という願いは無下に出来ないと思います。

ただ、公金を使う以上、判断する指標が必要で、例えば、寄付金の集まり具合で存続を判断するとか、決めておく工夫はあったのではないでしょうか。(ふるさと納税が増えた!と言って自身への評価を誇示しているのは石丸市長・・・ベテラン議員たちが数字に弱いというのは厳しい話です)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?