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乳がん再発予防治療:放射線治療編


最近、わたしが住む北国でも雪解けが進み、春の訪れを感じる日が増えてきました。冬と雪が大好きなわたしは少し寂しいですが、残り短い冬を存分に楽しみたいと思う、今日この頃です。今日は乳がんの基礎知識を交えながら、乳がん再発予防のための放射線治療を受けた時のわたしの経験をお話しようと思います。

浸潤性乳がん


まず、乳がんはおっぱいの乳管というところに発生するがんです。この乳管の中だけにとどまっている乳がんは、「非浸潤がん(ステージ0)」といわれ、この段階で運良く発見できれば、外科手術だけで薬も使わずに完治が可能です。乳がんの早期発見・治療が叫ばれるのはこのためですが、この段階ではしこりを感じるなどの自己触診で発見するのは難しく、医療機関での検診で偶然判明する場合がほとんどだと思います。

ステージ0以降の乳がんは、がん細胞が乳管を破って乳管の外へ飛び出た「浸潤がん」というもので、この浸潤がんは乳管の外にあるリンパ管や血管の中に入り込み、リンパ液や血液の流れに乗って全身へと飛び散っていきます。乳がんの腫瘍を切除したとしても、すでに全身へ回ってしまったがん細胞を取り除くことはできず、これが後々どこかで増殖し、固形化すると転移がんとなります。比較的生存率が高い乳がんと言えども、原発(乳管)から離れた部位に遠隔転移したがんは治癒が難しく、生存率もぐっと下がります。そのため、術後も継続的な再発予防のための治療が必要となり、乳がんの場合は5~10年という長期で行われるのが一般的です。

放射線治療について


乳がんの再発予防治療は、大きく別けて放射線療法、薬物療法(ホルモン薬)、化学療法(抗がん剤)があり、放射線治療は、おっぱいを丸ごと(全摘)手術で摘出した患者さんは受けませんが、部分切除の温存手術をした患者さんは受けることになっています。放射線治療の目的は、切除した腫瘍があった部分や、その周りに残っているかもしれないがん細胞を照射で消すことです。わたしも部分切除だったため、術後31回、毎日放射線治療に通いました。標準治療で定めている照射回数の基準は25回らしいのですが、年齢が若いと再発率が上がるとの理由で、現在は6回追加照射が推奨されているようです。

わたしの受けた放射線治療は、25回までは乳がんが見つかった右胸全体に、残り6回はがんを切除した部分に集中的に放射線を当てる治療でした。放射線治療は1回5~10分程度と短時間で終わりますが、平日毎日通院しなくてはいけないのと、放射線の副作用として体の疲れやだるさがあり、土日の休みを挟んだ月曜日はいくらか回復して体力が戻りますが、治療最終日の金曜日はひどく疲れてしまうので、金曜日の治療を受けた後は、なるべく早く自宅に戻って休むようにしていました。


このように事前にスケジュールを組んでくれる


放射線治療のその他の副作用としては、放射線を当てた部位が次第に茶色くすんできて、痒みが出たことです。酷い場合は赤くなったり、爛れてしまうこともあるようです。幸いわたしはそこまで酷くならずに済んだのですが、皮膚のくすみが顕著に出始めたのが26回目の照射を終えたあたりで、正直、もうやりたくないなと思いました。体にかかる負担もありましたが、なによりも、やっと傷口がふさがった手術痕の上から放射線をかけて、傷口やそのまわりがどんどん色素沈着を起こしていく様子を見ることに相当な精神的負荷がかかったからです。

放射線治療が終われば、時間の経過と共にある程度沈着した色素は消えていくとは説明されていましたが、どのくらい色素が薄くなるかは人それぞれ。放射線治療中は悩みが尽きず、26回目の治療が終わった後、わたしは遂に放射線治療中断を念頭に主治医に相談しました。主治医もまさかそんなことで患者が治療を止めると言い出すとは思っておらず、びっくりしたと思います。(苦笑)もちろん、治療は強制ではないので、患者がNOと言えばそれ以上続行することはできないのですが、その時は主治医の丁寧な説明や説得もあり、わたしは無事残り5回の照射を最後まで乗り切ることができたのでしたー。👏👏👏

現在の様子


放射線治療から1年以上経過したわたしの今の胸の色素沈着ですが、うっすらとは残っているものの、そこまで気にするほどではなく、今のところレーザー治療なども考えていません。放射線を当てた箇所は今でも乾燥しやすかったり、痒みが出たりするため、治療後も年数回、放射線科で診察+保湿ローションや塗り薬を処方してもらって対処しています。保湿ローションなどはドラッグストアでも購入できるのですが、処方してもらった方が保険がきき経済的です。

この記事が、どなたかのお役に立てれば幸いです。



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