見出し画像

平家物語の美しさ

最近平家物語のアニメを見直している。
見ていると、平家の美しさに胸が痛む。
平家は平清盛が全盛を築き、清盛が死に瞬く間に没落していく。平家は朝廷に登っていく中で、武士の荒々しさが抜け、優雅な貴族的価値観を育んでいく。
けれど彼らは武士である、優雅さなど武士の世界では不要なものだ。温室で育てられた美しい魚はきっと、荒々しい海では生きていけない。
それでも必死にもがき、生きようとする姿は見る人に感動を与える。
そして花がいつか散ってしまうからこそ、有限であるからこそ美しいように。
平家も悲劇的に滅んでいくからこそ美しい。

平家の時代は決して長くはないけれど、短い間に物語が凝縮されている。
どこまでも高くあがり、そしてあがった分落ちる時の痛みは強い。
船に穴が空いている、その穴はどんどんと大きくなっていく、それを必死に止めようとするが、それは叶わない、ああ、船は沈んでいく沈んでいく。

平家は海上貿易によって富を得て、そして源平合戦で敗れ、入水して果てるのである。
これは物語なのかもしれない、けれどなんと美しい物語だろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?