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ネコ脱出「コメディNo.1」

人を笑顔にできる、笑わせられるって、やっぱりとんでもないこっちゃなぁ。


"自分を否定し過ぎると、笑うって感情がわからなくなる。"

そんなニュアンスのセリフだった。数時間前に観た舞台で物語も佳境に入った時、ヒロインが放ったその言葉が、数メートル程の距離に座っていた私に飛び込んで来た。

物語の冒頭。同じくヒロインがこう観客に問いかける。「あなたは、ここに来る前に本気で笑ったのはいつですか?」すぐには思い出せなかった。それが、寂しかった。

SNSの書き込みで「(笑)」だの「w」だのつけていても、それは本当に笑っている訳ではなく、空気を読んだ文字だけのやりとり。音のない笑い。感情の乗っていない笑い。

腹を抱え、涙を流し、肩を叩き合う。そんな場面がどうにも思い出せない。ゼロではない。けれど、最後はいつだったろうか。

そんな、若干、落ち込んだ気持ちでの観劇スタートとなった舞台の名前は、

「コメディNo.1」
〜咲かせ心に笑いの花を〜

高倉良文さん主宰 ネコ脱出さんの#35公演

今夏、初めて拝見させていただいて、笑いと涙のツボが心地よくハマった。そのハマりっぷりがどのくらいかというと、夏公演のオマージュポートレートを小名木美里さんにお願いして撮ったほど。

写真、見て欲しいから載せちゃう。




さて。

今回のコメディNo.1は、本当の笑い方を知らないヒロインが本当の笑顔を取り戻すまでの話。

ストーリー云々とか、そんな話は講評が趣味の評論家かぶれの人達に任せるとして、私は改めて「笑い」の力を思い知った。

台本?アドリブ?と思わせる場面が随所に散りばめられ、そういうのが大好きな私は声を上げて笑った。壁を向き、肩を震わせる主宰。単純なキャッチボールの演技があんなに面白くなるか?


普通に怖い話をすると見せかけて、ほんまに怖い話を結構、たっぷり時間使ったり。日替わりゲストの劇団員さんの漫談(笑)にも、それこそ中堅芸人の漫才一本分ぐらいの尺を使う。え?ストーリー薄くならん?なんて恐れ多くも思ったんやけど、杞憂でした。

そこから怒涛の展開。冒頭のセリフの場面ではしっかり涙がポロリ。

夏に高倉さんとお話させていただいた時に「新喜劇のような舞台を目指している。」ということをおっしゃっていた。今回はまさに新喜劇の空気があちらこちらに漂っていた。ヒロインがどぎつい関西弁でまくしたてた後のあのセリフなんてまさに。土曜日、半ドンで学校から帰り、昼ごはん食べながらテレビを見ていたあの頃を思い出した。


はぁ、大阪に生まれてほんまに良かったな。それだけは自信持って言える。あまり、自分の手の中にあるものには自信を持てない私だけれど。


それが私の花かも知れない。いつどんな時でも枯れない笑いの花。笑いの町で生まれ育った私の花。そんな思いにたった今、気付いた。

ここ数日、思い通りにいかないこと、うまくいかないこと続きで、腐りかけていたところだった。今、観る事が出来て良かった。


それにしても、鬼滅の刃ネタ放り込みすぎ(笑)

なんですと!?お気持ち感謝します!!