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主任さんが課長さんに年賀状を出す話

【主任】課長 明けましておめでとうございます。

【課長】あ〜主任さん おめでとう。今年もよろしくね。

今年はいい年になるといいですねぇ。

毎年、年始にはそんなこと言ってるけど、どんどん悪くなってる気がするよねぇ

ところで、私の年賀状は届きましたでしょうか?

どうだったかな〜 たしか届いてたと思うよ。

じゃあ 年賀状に書いてあった問題は解けましたか?

な、なにが〜?

年賀状にとても気の利いたクイズを書いたんですけど ・・・

なんで、正月からそんなややこしい年賀状の相手をしなきゃいけないんだよ!

まぁそれは受け手の自由ですからいいんですけど、それより問題なのは、課長の年賀状が届いてないことなんです。いつ郵便局に問い合わせるべきか悩んでいるところです。

あ〜 今年から 年賀状ほとんど書いてないから 主任さんには届かないと思うよ。

なっ 何ですって?

なに芝居がかった驚きかたしてんだよ!

ほとんどって言うところが特に気になるんですが ・・・ 書いた人もいるんですよね?

あ〜 書く理由がある人には書いたよ。

私には年賀状の一枚も書く理由がないと、おっしゃるわけですね?

そんな言い方されると何だけど ・・・ まぁ面倒臭くなったんだよ。会社の人には誰にも書いてないよ。

・・・ 課長さん ・・・ 社会人としてその態度はいかがなもんでしょう?

いいんだよ。形だけやったって仕方ないんだから ・・・ そんなことよりGK事業に関するプロジェクトが始まるの知ってる?

さっき聞きました。GK事業が3年連続で赤字だからって聞きましたけど ・・・ 具体的にはどういうことなんですか?

会社の事業継続に関するルールだよ。3年連続赤字の事業は全社を挙げて無理から再生させるんだって。

全社的な支援が得られるなら事業部長としてはラッキーなんじゃないんですか?

その代わり管理ポストみたいな位置づけになって徹底的に見える化して重箱の隅々までオープンになった状態で経営させられるから、推進する事業部長は物凄く辛いらしいよ。

それはまたえげつない仕打ちですね。

2年前にこのプロジェクトの対象になったBF事業部の事業部長は ・・・ そのときできた円形脱毛症の痕がいまだに残っているらしいよ。

ミステリーサークルって呼ばれてる事業部長さんですよねぇ? ・・・ 辛いですねぇ。

でも辛いのは事業部長だけじゃなくて、商品部長や製造部長も同じようなストレスを感じるらしいよ。それに、ラインだけじゃなくてスタッフも結構辛いんだよね ・・・

スタッフって我々のことですか?

そうだよ。

なんで我々が辛い立場になるんですか?

事業部の状況を何から何まで見える化していくのがスタッフの役目なんだけどねぇ ・・・

いや〜な感じしかしません ・・・

事業をやってると、製造回り、営業回りで、過去からずっと表に出せないようなことが一つや二つはあるんだよねぇ。そんなのも全部白日の下に晒さないといけないんだよ ・・・ 恨まれるよ ・・・

恐いこと言わないでくださいよ ・・・ でも、事業継続に関するルールとかアクションとかでこんなことやる会社は珍しいですよね?

社外の知合いに聞いてみたことがあるけど、まぁ〜 普通じゃないよね。

普通はどんなんですか?

そもそも規模が小さい会社であれば、画一的なルールなんかじゃなくて、経営者の感覚で判断して、それこそ経営者自らが腕まくりをして立て直しにかかると思うんだけど ・・・

規模が大きな会社は違うと ・・・ ?

会社の規模が大きくなっていろんな種類の事業をやっていると、何期連続の赤字で事業部長の交代だとか、改善命令が出たりとか、極端な場合事業撤退だとかのルールによって事業継続のマネージメントを行うことが多くなるよ。だいたいは本社が事業部にプレッシャーをかける形になってるとは思うけど。

改善命令出されたってねぇ ・・・ できるんだったらやってるだろうし、事業部長を次々変えられるほど人材が豊富にいるわけじゃないですからねぇ。

GEみたいに経営者が山ほどいれば、有効な方法だとは思うんだけど、うちのような会社の場合、商品部長や営業部長が経営者としての経験を積むことくなく、突然事業部長になるケースが多いからねぇ ・・・ 大きな失敗がなければOKだった右肩上がりのころのスキームがそのまま残ってるんだろうけど。

そんなこんなで、公開処刑みたいな感じになってるわけですか?

そこだけみれば残酷なんだけど、縮小する国内事業からキャッシュを得ようと思うなら、全社一丸となって事業を再生する必要はあると思うよ。それにオープン化することによって他の事業部長や次世代の事業部長候補にとってはケーススタディになるしね。

・・・ メリットはあるにしても辛い思いをする人が多いですよね。

駄目になった事業を再生するって言うのは、そのぐらい厳しいことなんだと思うよ ・・・ 物凄く辛いとは思うけど、若いうちにそういう経験をすることは飛躍的な成長につながることが多いから、前向きに頑張るべきだと思うよ。それに ・・・

ちょっ ちょっと待ってくださいっ! 僕はプロジェクトのメンバーなんですかっ!?

あれ、聞いてないの?

聞いてないですよ〜っ! あ〜ぁ〜嫌だ〜みんなに恨まれる〜。みんなに愛されるスタッフを目指してたのに〜。

スタッフが愛されたらだめだよ〜 嫌われてるけど信頼されてる存在にならなくちゃ〜。

じゃあ 変わってください。

いやだ! 絶対っ!

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