渋谷パルコ外観

渋谷パルコは他の小売とココが違う~5つのキーワードでご紹介~

今話題の渋谷パルコを視察した中で見えてきた、押さえておきたい5つのキーワードをご紹介したいと思います。

渋谷パルコは、非マジョリティカルチャー=サブカルチャーが集積した空間であり、「新しい文化の発信基地」と自負するパルコの真骨頂といえる施設である。

しかし、現代は情報=カルチャーが世の中にあふれており、「文化の発信」のハードルは上がっている。そのような時代の中で、渋谷パルコが「新しい文化発信」の役割を担うために取り組んだと考えられる施策を5つのキーワードで紹介する。

ジェンダーレス

近年の商業施設では、アパレルフロアよりも食を中心としたサービスフロアに売場面積を割く傾向がある。しかし、渋谷パルコではアパレルフロアを広大に取っており、さらには「どこの商業施設にでもあるようなブランド」は鳴りを潜め、サブカルの傾向が強くなっている。

しかもそのアパレルテナントでは、「レディース」「メンズ」とはっきりとしたMD展開をしているブランドは非常に少ない。もちろん、近年のファッショントレンドも影響しているのだが、あえてジェンダーレスの展開にすることで、とっつきにくいサブカルブランドへカップルや仲間同士で入りやすい・入ってみたいと思わせるようにしているのである。

エキスペリエンス

「新しい文化」を伝えるために、何よりも渋谷パルコに来ていただかなければならない。渋谷パルコでしか経験できないこと・体験できないことを施設内に盛り込んでいる。

・施設内には、複数のギャラリーが存在して、目を楽しませている

・キャラクター、アニメをモチーフにした体験型施設を用意する

・B1階の飲食フロアでは、それぞれの店のサイズをあえて小さくして、昆虫食やミックスバーなどが入るなどバラエティ感を持たせている

・エスカレータ等の利用なしで施設の外階段で上層階まで上がれる

・外階段だけからしか入れないお店がある

etc

とにかく館内を周遊していて飽きない、歩いていて楽しい施設となっている。

シームレス

渋谷パルコでは、当然ながら、様々なテクノロジーを活用したツールが用意されていた。

「新しい文化」を伝えていくために、最も効果的なのは、直に「対話」で伝えていくことである。

そのため、渋谷パルコでは、「対話」=「接客」に最も力を割くために、「在庫を確認する」「お客様自身が試着を確認する」といった「接客」以外の業務をオンラインに任せるという視点が強く感じられた。

カスタマイズ

渋谷パルコでは、「カスタマイズ」を謳ったテナントも多く見られた。

「新しい文化」を受け入れた先にあるのは、コスパの意識である。

つまり、「これは私がお金を出す価値があるものなのか?」という最後の一押しである。

そこでは、「カスタマイズ」を活用した”希少性”を表すことが非常に効果的である。

精度の高い「アバター試着」等のテクノロジーを活用して、「あなただけのモノ」を演出している。

RaaS

渋谷パルコでは、Retail as a Service(サービスとしての小売)を体現した、「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」が設置されていた。

商品製造のデジタル化・オンデマンド化等の影響で、構想→商品化の期間は以前に比べて短くなっている。しかし、現代はトレンド・文化の流れが非常に速いので、商品化したモノが「出遅れたモノ」になってしまう可能性がある。

これは、「新しい文化の発信」を使命とするパルコでは見過ごせない事態である。

そこで、まだ商品化に至っていない「試作品」をいち早く展示するスペースを用意することで、「新しい文化」の端緒を感じてもらうとともに、ここで「試作品」を体験されるお客様の行動データを収集・活用することで、商品化へのチューニングを図っているのである。



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