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美術館でのレベル上げはしんどいけど楽しい

美術館で鑑賞行為を最新技術で代行できるかどうか、って考えて膨らませた話。

私はAIとか画像認識とかの分野に明るいわけではないけれど、Google Arts&Cultureの機能向上っぷりは存じ上げている。バーチャルツアーとか。家に作品設置する疑似体験とか。

その中で特に気になったのは、自分の顔にそっくりな肖像画を教えてくれる機能。似てる確率まで表示してくれたりもする。

この機能って、美術館での思考回路に近いものだなーって思うんです。作品の特徴とかぱっと見の印象から過去に観た作品を思い出して、「これ〇〇の作品と似てる」とか「△△と比べると□□だなー」とか。

こういう思考回路の答えあわせを文献から見つけて4000字の文章にしたら、それは出身大学では期末レポートになった。ベタなテーマだと、複数人の《風神雷神図屏風》を比較してそこからわかる変遷とか描き手の特徴を示すみたいな。

私はそれを本物の作品と紙媒体からの情報をつなぎ合わせて数日かけたわけですが、それって顔検索の機能応用したら一瞬でできそう。
数年かけて本物に出会い続けたり沢山の資料を読んできた積み上げを誰もが訓練なく共有できる世界は、書物以上の知識の積み上げを可能にするわけで。

ポケモンやり始めの草むらで地道にレベル上げするのがしんどいように、美術館での経験値稼ぎは時間もお金もかかるしんどい作業だと思う。だからそういうのを技術の力でスマートにできる世界が来たらかなり役立つ気はしている。

でも、そういう技術による進化は可能であっても実現して欲しくないって思う自分がいる。健康寿命と実際の寿命は別物、みたいな。

例えば昔流行ったアハ体験。ちょっとずつ何かが変化する動画で間違い探しして、見つかった時にめちゃくちゃ爽快感得られるあの感じ。

非合理的で途方も無い知識の積み上げとか、美術館でのいわゆるレベル上げって、個人的にはアハ体験する行為だと思っている。少し距離のある覚えたこと同士が、作品の前に立つことで初めて繋がって脳に快感が訪れる、みたいな。

だから、もし知識を積み上げる手間をAIとかで簡略化できる世界が来ても、私は地道にレベル上げして楽しく美術鑑賞したいなーと思った。

以上、仮想と妄想を脳で煮詰めた鑑賞行為の話でした。
画像は、無駄が多いけど続けたいって話に共通すると思ったお茶会=ティーセレモニーの入り口にて。

#美術 #ごんめも

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