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【QUINTET】POLARISが強さ見せつけ優勝。桜庭率いるHALEOが準優勝。「QUINTET」を振り返る(1)

4月11日、東京・両国国技館で、5対5勝ち抜き戦のグラップリング大会『QUINTET.1ーGrappling Team Survival Match−』が開催された。

「JUDO DreamTeam」「HALEO Dream Team」「POLARIS Dream Team」「SAMBO Dream Team」の4チーム(20選手)が参加した同大会で優勝したのは、英国発のプログラップリング大会『POLARIS』から選抜された「POLARIS Dream Team」だった。

『QUINTET』では『POLARIS』と異なり、ヒールフック禁止のルールとなったが、初来日のクレイグ・ジョーンズやマーチン・ヘルドら新世代のグラップラーたちは、ヒールが無くてもサドルポジションを駆使し、さまざまな足関節やそこからのトランジションを披露した。

また、柔道・サンボ・サブミッションレスリングなど、それぞれのベースを活かした選手たちの動きや極め技、さらに、勝ち抜き戦という独特の試合形式もあり、両国国技館に足を運んだファン、生中継を視聴したファンから大きな反響があった。

下記では、今回の各試合の詳報を掲載した。『QUINTET』で現在進行形のグラップリングに興味を持ったファンには、ぜひ「POLARIS」や「EBI(Eddie Bravo Invitational)」等のグラップリング大会の動画も覗いて見てほしい。グラップリングのスペシャリストたちが繰り広げるノーポイント、サブミッション・オンリーのノーギ柔術では、どんな試合が行われているのか。ヒールフックがOKだったら、どんな動きになるのか。それはMMAとどう異なり、どう繋がるのか──。『QUINTET』は、そんな格闘技の新たな楽しみ方を知るきっかけとなるかもしれない。

なお試合後、配布された資料によると、『QUINTET』各選手は試合毎に計量を行っており、1回戦と決勝では体重が異なっている選手もいる。チーム合計体重430kg以下をキープしながら、決勝戦のマルコス・ソウザvs宇野薫が19.5kg差(20kg差まで500g)で8分の試合になっていることなども分かる。また、組み合わせによっては、重量級と軽量級の試合が続くこともあり、所英男のように1日に2度の失神はダメージも気になるところだ。体重差による試合時間の短縮はされているが、無差別級の下限をどう考えるかも課題といえる。団体戦というチーム戦略・ルール整備は今後、どのように変化していくのかにも注目したい。(Hulu配信試合動画

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◆1回戦 HALEO Dream Team vs JUDO DreamTeam

▼1回戦 第1試合 8分一本勝負
△中村大介(HALEO先鋒/日本/74.65kg)
[時間切れ引き分け]
△小見川道大(JUDO先鋒/日本/73.35kg)

柔道の国際大会で活躍後、戦極、DREAM、UFC、巌流島等で戦ってきた小見川道大。対するはU-STYLE、PRIDE、DEEPではライト級王者にもなっている中村大介、両者による先鋒戦。

引き手をヒジにかけ、中村の左腕を小手に巻いて払い腰で投げる小見川。さらに中村の立ち際にノーアームギロチンを仕掛ける。首を抜いた中村を跳ね上げスイープし上に。中村が足を戻すとスタンドに。引き込んでもクローズドにはしない小見川。下から中村の右足を掴みデラヒーバでバックを狙うが、そこに中村はカウンターのアームロック狙い。

腕を外した小見川はバックから脇をすくい肩固めを狙う。その際で上を取る中村は再び背中を見せてアームロック、肩固めで応戦。小見川は下から腕固めを仕掛ける。右腕を外した中村はいったん上四方に回り、脇を開けさせると腕十字へ。小見川の腕が伸びたところで試合終了のブザーが鳴った。時間切れ引き分けで、先鋒の両者がマットを下りた。

▼1回戦 第2試合 8分一本勝負
△桜庭和志(HALEO次鋒/日本/83.55kg)
[時間切れ引き分け]
△出花崇太郎(JUDO次鋒/日本/77.35kg)

『QUINTET』の創案者である桜庭和志とキャプテン☆アフリカこと出花崇太郎による次鋒戦。出花はガードから桜庭の右手首を掴み一気に腰を上げて腕十字へ。腕を抜きながら後方に倒れた桜庭は出花をまたいで脱出すると、出花はガードワークで勝負。アームドラッグからバック狙い、出花のシングルレッグも桜庭は切る。

下からリストコントロールが強い出花は、両足のシザーススイープで桜庭を崩すとすかさず右腕を取り、再び腕十字へ。これもヒジを抜いた桜庭に対し、出花は下からヒザ十字狙い。桜庭はいったんバックを見せてから振り向き正対する。草刈りから上になる出花。桜庭は下から腕十字狙い。対処して立つ出花。

桜庭の右腕を脇固めで前方に崩すとハーフからパスガード。桜庭もシングルレッグで立ち上がり右で脇差し上に。足を手繰り上になる出花が下から足を効かせる桜庭の足を払いながら連続で外からパスを仕掛け、サイドポジションを奪い、腕・首を狙ったところで試合終了。ともに極めさせず、出花も最後までアタックした。

▼1回戦 第3試合 8分一本勝負
○所 英男(HALEO中堅/日本/69.15kg)
[0分14秒 腕ひしぎ十字固め]
×キム・ヒョンジュ(JUDO中堅/韓国/66.9kg)

RIZINで山本アーセンを腕十字に極め、BellatorではL.C.デイビスを相手にMMAでも回転体を見せている所英男。対するは柔道国際大会で活躍、現在はチーム・ユンに所属するキム・ヒョンジュ。

組手争いからヒョンジュの左手を右手で掴んだ所は、足もとに今成ロールのように潜り左手で足をすくいにいきながらヒョンジュの左手を引き込み、インバーテッドガードから腕十字へ。ヒョンジュを前転させると、一気に腕を極めた。14秒の一本勝ち!

▼1回戦 第4試合 4分一本勝負※体重差が20kg以上の試合時間
○ユン・ドンシク(JUDO副将/韓国/89.15kg)
[0分46秒 エゼキエルチョーク] ※ノーギ袖車絞め
×所 英男(HALEO中堅/日本/69.15kg)

体重差が20kg以上のため、通常の8分ではなく4分一本勝負に。ユンの投げに両脇を差してガードに入れた所。しかし、対格差のあるユンは所に背中を着かせると右腕を枕に巻き、左腕を喉もとに入れて体重をかけてエゼキエルチョーク(ノーギの袖車絞め)。所が失神。ユンが46秒勝利で副将同士の対戦に持ち込んだ。

▼1回戦 第5試合 8分一本勝負
○マルコス・ソウザ(HALEO副将/ブラジル/87.5kg)
[4分18秒 腕ひしぎ十字固め]
×ユン・ドンシク(JUDO副将/韓国/89.15kg)

日系ブラジリアンとして世界の舞台で活躍するボンサイ柔術のマルコス・ソウザと、2001年世界柔道90kg級銅メダル・腕十字の使い手としてPRIDE、HERO'S、DREAM等でも活躍したユン・ドンシクが対戦。

奥襟の首を掴み、引手はヒジを持ち、柔道式の内側に左足をステップし、大外刈を狙うユンの動きにバックをうかがうマルキーニョス。同じ組手から再び左足を踏み込んできたところにマルキーニョスはシングルレッグへ。それをユンが右足をとらえてこらえると、マルキーニョスは後方に引き込み、左足を股下で跳ね上げリバーサルへ。

右足を飛ばして着地するユンにマルキーニョスは後転したまま左足を放さず上に。ヒザをスライスさせてパスガード、サイドへ。腕十字の名手ユンに腕十字を仕掛ける。腕を組むユンにバックへ移行したマルキーニョスは亀になったユンの背後から再び足をかけて腕十字狙い。これを返らず亀で凌いだユン。離れ際のスクランブルから上を取りすぐさまパスしサイド奪うマルキーニョスはマウントに移行するとユンの右腕を流してサイドに回り肩固め。左腕を内側に差し込み耐えるユン。マウントに戻ったマルキーニョスが脇を開けさせて腕十字でタップを奪った。

▼1回戦第6試合 4分一本勝負※体重差が20kg以上の試合時間
△マルコス・ソウザ(HALEO副将/ブラジル/87.5kg)
[時間切れ引き分け]
△石井 慧(JUDO大将/日本/108.5kg)

北京五輪柔道100kg超級金メダリスト。現在はMMAで世界を舞台に戦い続ける石井慧(16勝8敗1分)が1年ぶりの日本マットでグラップリングマッチに登場。対するはワールドプロ柔術2013世界大会優勝、MMAでも6戦無敗のマルキーニョス。

2戦目の副将マルキーニョスと大将・石井の対戦は体重差が20kg以上のため、4分一本勝負に。左でオーバーフックし、大外を狙う石井。離れるマルキーニョスに、石井は左手を奥襟の首に。右手を引手でヒジをつかみ再び大外刈へ。左足を跳ね上げられ、下になったマルキーニョスだがガードポジションへ。

ここからの攻防も見ごたえのあるものに。大外刈で投げながら、まだ足は越えていない石井は得意の噛み付きパスガード! いったんは横に回る石井だが、腰を殺させないマルキーニョスは、左腕をスイッチで差し入れながら、足を戻してガードに。下から果敢にダブルレッグ・シングルレッグを仕掛けるマルキーニョスだががぶる石井。ガードになったマルキーニョスに再び怒涛のパスを仕掛ける石井に対し、マルキーニョスは跳ね上げながら足を完全に超えさせず。時間切れドローに持ち込み、HALEOチームを決勝へ導いた。

※HALEO Dream Teamが決勝戦進出。ジョシュ・バーネット(HALEO大将/米国/112.1kg)残し。

▶もうひとつの1回戦「POLARIS Dream Team vs SAMBO Dream Team」に続く

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