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精神的童貞の僕とTHE BLUE HEARTS『キスしてほしい』
僕の中学3年生の恋は100%の片想いだったのだが、僕はその女の子からメールが来るとブルーハーツの『キスしてほしい』の着メロが流れるように設定していた。
僕は自他共に認めるマメな男なので、着メロ・着うた文化が死に絶えるその瞬間まで、仲のいい友達ひとりひとりに着メロを振り分けていたのだ。
着メロ、懐かしい響きだ。
剣道部の部長をやっていた彼女もまた少し不思議な女の子で、クラスメイトからも不思議な子認定を受けていた女の子だった。
結局のところ、僕は彼女のうわべしかわからなかったので、彼女が本当に不思議な子だったのかはもはやわからずじまいなのだが、そんな彼女が僕は好きだったのだ。
『キスしてほしい』はやたらめったら聞けるメロディではなかった。
どんなに夢見がちな僕だって、彼女に告白してもOKをもらえるなんて思っていなかったのだけれど、
卒業式の日の夜、クラスのみんなで牛角に行った帰りに、僕は彼女に告白して、見事フラれた。
僕が彼女に告白することは周知の事実だったようで、みんなにさりげなく場を作ってもらったのだけれど、まーかんだった。
なんて言われてフラれたか忘れてしまったのは惜しいと思う。覚えておけばよかった。
それから5年経って、彼女と成人式のクラス会で再び再会した。
彼女は5年経っても不思議な女の子のままで、風邪気味だからとか言ってどてらのようなものを着て出席していた。
「もし今、もう一度告白したらOKもらえます?」と僕はビールジョッキを片手に彼女に尋ねた。
「うーん、ダメだね」と笑って彼女は答えた。
当時、僕は尾崎豊も好きだったので、ヘンな話、着メロを『I LOVE YOU』にしたってよかったはずだったけれど、
でも僕はそれを選ばず、『キスしてほしい』にしていた。
なぜだろうか?
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