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【マンガ原作】『ヨコハマ・トレンチタウンロック』第2話「チャーシューワンタンメン」②

あらすじ

みなと街ヨコハマ。ショッピングストリート・元町の川の向こう側…ハマのディープゾーン"トレンチタウン"の古びた雑居ビル『川向(かわむかい)探偵社』。川を渡りやって来る依頼者の奇妙な依頼の数々…。

今回は、トレンチタウンに事務所を構える反社組織の組員から、間もなく出所する兄貴分のために、思い出のラーメン屋を探して欲しい…との依頼。

“トレンチタウン”に、レゲエ・ビートが鳴り響く…!!

登場人物

所長…川向探偵社・所長

村木…川向探偵社・調査員

メグミ…川向探偵社・バイト受付嬢兼事務員

ママ…BAR《KURONEKO》のベテランママ。故・都家かつ江似

GM…トレンチタウンの住人。つねに横浜ベイスターズの帽子を被りGMを自称するほどのファン。トレンチタウン住人の情報に詳しい

舎弟…依頼者。反社組織の一員。格闘家でプロレスラーの村上和成選手のような風貌

兄貴…依頼者の兄貴分。現在服役中だが間もなく出所する。プロレスラーの藤原喜明選手のような風貌

ーーーーー

※トビラ画面
道路沿い。空き家の前に立つ村木。空き家には古びた看板「ラーメン味西」。

タイトル、字幕かぶせて。
タイトル『ヨコハマ・トレンチタウンロック』   
    『第2話「チャーシューワンタンメン」②』

字幕⦅あの、チャーシューワンタンメンを探し求めて…⦆

ーーー

K県O市・K駅―
ホーム、目前に海が見える。停車する列車から村木が降りてくる。
海を眺める村木。
村木「…」

(村木の回想)
川向探偵社・事務所内ー
所長、村木とメグミ。
所長「まあ…それほど難しい仕事ではねえだろう」
  「ちょこっとネットで検索して…」
  「店があった辺りを聞き込みすればすぐ判明するだろう」
村木「…」
所長「自分で探すことも可能だろうが…」 
  「…今はオレや依頼者のような風貌の人間が」
  「うろちょろと聞き込みするだけで、さらされる世の中だ」
村木「それで、ウチに依頼してきたと」
所長「まあ…そんなとこだろう」
メグミ、PCを操作しながら。
メグミ「たしかに…その店は閉店したみたいだけど」
   「周辺には系列店がいくつかある」
村木「…」
メグミ「大きなワンタン、平打ちピロピロ麺…」
   「城下町系の元祖と言われる老舗みたいね」     
   「…どこかの支店に移っただけじゃないかしら」
所長「城下町…?」
突然歌い出す所長。
所長「〽私の城下町~ってか…がはは」
  「おい村木…そーいやあ小柳ルミ子は元気なのか」
村木「はあ…今でも、お元気のようです」
(回想終わる)

K駅・駅前ロータリー―
路線バスに乗り込む村木。
発進するバス。
O市・国道ー
松並木のすき間から、海が見える。
車窓を眺める村木。
村木「…」
道路沿いに停車するバス。
バス停。バスが発進すると村木が立っている。
N・村木の声(依頼者によると、その“店”はこのあたりにあるという)
道路沿い。空き家の前に立つ村木。敷地内に小さな駐車場。
村木「…」
N・村木の声(そして…依頼者の言う通り、店は無くなっていた)
古びた看板「ラーメン味西」。
N・村木の声(だが…看板はそのままで、売りに出されているのでも)
      (貸店舗になっているわけでもなく)
      (持ち主が変わった様子はなかった)
道路沿いを進む村木。
「魚屋」の看板。
魚屋に入っていく村木。
N・村木の声(聞き込みは、昔ながらの商店から…のセオリーは今でも変わらない)
魚屋の主人に名刺を差し出す村木。
N・村木の声(だが、かつてタンテイの必需品だったニセ名刺は、もはや通用しない)
名刺を受け取る主人。
村木が渡した名刺。《川向探偵社 調査員 村木たけし》の文字。
N・村木の声(最近は、むしろ正確な身分を明かし)
      (調査目的を伝える正攻法が、最短最速である)
魚屋の主人、名刺を見て。
主人「…探偵さん!?」
村木「はあ…そこの“味西さん”の調査をしてまして」
主人「“味西”…?」
  「ああ…裁判ね」
村木「…?」
N・村木の声(裁判!?)
村木「そ、そうです、そうです…裁判の関係で」
乗り気で語りだす主人。
主人「ここだけの話だけどさ…」
N・村木の声(ニセ占い師のごとく…ヒット&ウェイを駆使して)
主人の話に頷く村木。
村木「…」
N・村木の声(相手の話を引き出す技術は、今も有効である)
村木「で、今はどちらに」
主人「本店だよ…隣町の」
  「親父さんは、とっくに亡くなっちまったけどね」
魚屋から出てくる村木。

O市・国道沿いー
スマホを手にする村木。
川向探偵社・事務所ー
電話で会話する所長。
PCを操作するメグミ。
N・村木の声(そして聞き込みより、ネットの口コミや書き込みから)
      (有益な情報が得られることが多くなった)
メグミのPCの画面…食べログのようなグルメサイト。
隣からPCを覗き込む所長。
N・村木の声(だが望むと望まざるとにかかわらず、多くの情報が流れ込んでくる現在…)
O駅・ホームー
列車に乗り込む村木。
N・村木の声(自らの意志とセンスで、必要な情報のみ取捨選択する自由もある)
海辺を走る列車。
隣町・Y駅ー
改札口から出てくる村木。
N・村木の声(そして…)
商店街・ラーメン味西本店前ー
店に入っていく村木。
N・村木の声(口コミから、"悪意"を除外したとて)
疲れた様子で、ぐったりして出て来る村木。
村木「…」
N・村木の声(その店について書かれているそれは…)
      (…ほぼ事実に近いものであった)

横浜・中村川ー
古びた雑居ビル。看板⦅川向探偵社⦆
川向探偵社・事務所内ー
所長と村木、メグミ。
所長「間違いねえんだな」
村木「はあ…オヤジさんは亡くなっていたものの」
  「依頼者…兄弟分の方が探している店で」
  「間違いはないですが…」
所長「なんでえ…歯切れが悪いな、村木」
村木「それがその…」

『ヨコハマ・トレンチタウンロック』第2話「チャーシューワンタンメン」②END
次回・最終話につづく

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https://twitter.com/ukon_gondo

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