【日本音楽集団】今日行ったコンサートの感想:令和04年(2022年)01月19日(水)【話題の弦楽4重奏と多様な邦楽器群による、極彩色の音変化】

Donald Reid Womack『太刀花』2008年(編曲2010年)
 世界で日本人を超えて邦楽器の使い方が一番上手い作曲家。尺八二重奏の曲を今回は尺八とヴァイオリンで。楽想、楽器法、緊張感、申し分無し。ヴァイオリンの重音奏法が光る。

相澤洋正『Earth Spectrum』2013年
 絃楽三重奏と尺八・三絃・箏という編成。全3楽章でそれぞれ「領域」「侵略」「共生」という表題が付いているが、「侵略」が余りにも恰好良い為、悪いことを表現しているように聞こえない。英雄的、悲壮、戦い、この楽想が勝利して欲しいと思ってしまった。「領域」「共生」は感傷的でロマンチックな音楽だった。洋楽器の面目躍如たる楽想だった。絃楽器3挺だけでも結構シンフォニックだなと思ったのだけど、もっと編成を拡大して、絃楽アンサンブルと独奏邦楽器群の合奏協奏曲にしたら良いのではないかと思った。

福嶋頼秀『和洋を結べ! ~凛々しき日本の旋律たち~』委嘱初演
 絃楽四重奏と邦楽アンサンブルという編成。「越天楽」はどのあたりが越天楽なのか分からなかった。三調のどれでもなかったような。「さくらさくら」は分かりやすかった。「てぃんさぐの花」はオキナワーニャでした。「八木節」は外山雄三の『ラプソディ』でお馴染みの旋律だった。元の生の民謡を聞いたことが無い。

和田薫『鹿鳴新響 日本の尺八とチェロ、打楽器のための』2007年
 尺八の古典本曲『鹿の遠音』を元にした音楽。原曲部分が出て来ると安心する。打楽器は70年代の香りがしました。編鐘は撥を色々持ち替えて音色の変化を追求していました。弓でも弾いていました。チャイニーズ・シンバルをパシャーンと叩くのはどうもコミカルに聞こえてしまう。チェロの部分は重音奏法が恰好良い。弓で弾きながら左手でピッツィカートしていたぞ! そんなことして良いんだ! 全体的に無拍子の音楽だったと思うけど、ビートを刻むことの大切さを教えてくれました。

秋岸寛久『カウンター・ポジション』委嘱初演
 絃楽四重奏と邦楽アンサンブルという編成。指揮者もいるぞ。幕間のトークで言っていたが、凄く「カオス」な音楽。コスモスの部分が次に続くかと思うとそんなことはない。曲が始まって、「ミーコが『権太夫が好きそう』って言いそう」と思いました。その通り無調的で私好みの音楽でした。笙はどうしても雅楽の神聖な雰囲気を帯びてしまうものですが、今回はかなり禍々しく降臨していました。篳篥はあんまり聞こえなかったな。