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月面基地

新栄APOLLO BASEはkurageにとって、自分にとって、とても大切な場所だった。

2019年9月11日 大学で組んでたバンドで初めてアポロの学生イベントに出演した。高校生の時からライブを見に行ってた場所で自分がライブをすること、綺麗な楽屋、他のライブハウスとは違った独特の緊張感。全部にワクワクして、ド下手でクオリティも最悪なライブだけどめちゃめちゃ楽しくて気持ちよかった。
実は、その時の対バンでドラムを叩いてたのがkurageのドラムのタレオだった。同じ大学の違う軽音団体に所属してて、その時初めて同じライブに出て、まさか一緒にバンドをやるなんて思ってもいなかった。多分その時に人生で初めてタレオと喋った、気がする。
ちなみにkurageの元ベース(初期メンバー)もそのライブに出てた。
そう考えるとアポロはkurageにとっての始まりの場所であり、何年経ってもこうやって話題に出る場所なんだろうな、と思う。

そんなアポロが無くなると知ったとき、悲しさとか寂しさというより、漠然とした不安を感じた。発表された当時はライブ自体は決まっていたけどまだ1回もkurageとしてアポロに出演はしていなくて、もしかしたら最初で最後のアポロになるんじゃないかと思った。
勝手にこれから何十回も出るものだと思い込んでたしアポロのフロアをパンパンに埋めてライブしてるところも勝手に想像してたから、それが成し遂げられないと決まってしまったみたいで辛くなった。

 いざ4月8日に初めて出演してからは思っていたより誘ってもらえて、想像していたよりは多く出演できた。ライブが決まる度に安心したし、これで最後かもしれないと毎回気が引き締まった。

そして、何回か出演して、アポロ閉店までどんどん時間が迫ってきて、普段お世話になってるRADSEVENの最後のアポロでの企画がkurageのラストアポロになることが確定した。誘ってもらえて本当に良かった。長尾さんありがとうございます。
対バンも大好きな友達ばかりで、みんなのライブをアポロで見れることはほとんど無かったからとても楽しみだった。

2022年2月16日 新栄、終わらない夜


人生最後のAPOLLO BASEでのライブ、迎えた実感は想像よりあった。ライブを終えて、予想通りに忘れられない日になってしまったというのが率直な感想だった。毎回行き届かなくて、毎回何か大きいものに気付かされて、毎回悔しくて落ち込んで、アポロは出る度にその繰り返しだった。今回もそう。

他のライブハウスがどう、とかいうわけではないけどアポロでのライブはいつもより少し気が引き締まって、緊張感があって、半端なライブはできないと思って臨んでた(つもりだった)。
そうなる要因はいくつかあるんだけど、個人的に1番大きかったのが木田さんの存在だった。毎回ライブ後に核心を突いたダメ出しをされて、落ち込んで、絶対次同じことを言われないように考えてライブして、またぶつかって。
その時間がどれだけ大切で有意義だったか、今回のライブで改めて痛感した。また大きな壁に出会ったし、これからはアポロの手を借りずにそれを越えなければいけない。やらなきゃな〜〜。

11月にアポロに出たとき木田さんに、お前が曲作るの遅すぎるせいでkurageは売れないんだよ(的なニュアンス、でもそんくらいの口調だった気がする)と言われたのでそこから悩んで悩んで頑張って曲を書いて、どうすればいい曲をたくさん書けるのか考えた。
その結果、最近になってやっと自分が好きだと思える歌詞を書けることが少しずつ増えてきた。木田さんありがとうございます。

アポロでのラストライブに向けて準備していく上で、どうしても 新栄APOLLO BASE という場所を形にして残したくて、アポロの曲を書いた。
それが2月16日に初めてやった"月面基地"という曲。正直今までの中だと飛び抜けて自分が気に入る歌詞が書けた。
新栄APOLLO BASE という「場所」はなくなるけど、新栄APOLLO BASE 自体はたくさんの人の心の中と、この曲の中で残り続けるんだ、っていう曲。ライブで頻繁にやるかは分からないけど、いつ音源化するかは分からないけど、聴く機会があったら新栄APOLLO BASEを思い出して聴いてほしい。


歌詞載せとくので見たい人は見てね。


月面基地

ヘッドライトの光は月まで届かない
遊泳する星座 繰り返す毎日
助手席の君が好きだった
歌を一人聴きながら

ムーンライト 君が教えてくれた言葉
月面のうさぎに手を振って
ムーンライト 見上げたダイアモンドまで
届きますように

風がガラスを揺らす音
確か今日は立待月が出てる
逆さに走る車の影にまた
詩を書き留める

6,300万秒をせーのでロケットに乗せて
1番遠くへ響かせよう
世界の果てで弾け飛べば
いつまでも僕らの秘密基地だ

ムーンライト 君が教えてくれた言葉
月面のうさぎに背を向けて
ムーンライト 見上げたダイアモンドまで
届きますように

ムーンライト君が教えてくれた言葉
ムーンライト 君がこの歌の中に
残り続けるように



いつか見上げたダイアモンドまで届きますように。

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