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元企業英語講師、農家になる⑤ <経験を活かさないと、の呪縛からの解放>

「日本での経験を何に活かしたいですか?」
コロナ前、那須高原にまだノンジャパ旅行者さんが長期滞在していた時。
なす英語倶楽部で冬だけノンジャパ旅行者さんと交流しながら英会話をしていた時、インタビューをする練習をするとよく出た質問。
この質問に対する多くのノンジャパさんの回答は"No idea!"(笑)
何もない人がほとんど。彼らは日本での毎日をただ楽しんでいる。
そう、日本人って何か学んだり、長期の体験をすると
「これは何のため?何の役に立つ?」
「経験したんだから、何かに活かそう」
ってすぐ考えちゃう。
私もかつてはそうだった。

先日、音声メディアのVoicy FES で Oishi Haruさんと荒木博行さんの「大人の学びに限界はあるか」を聞いていて、「そういえば!」と思い出したこと。
↓Voicy FES とは。

コロナ前、那須高原に1ヶ月〜3ヶ月の長期滞在のノンジャパ旅行客の皆さんに、冬だけ英語トレーニングを手伝ってもらっていた。(夏は農作業を手伝ってもらってた)
仕事を辞めて世界を旅行している人、日本にワーキングホリデーに来ている人、大学に入る前の1年間に何ヵ国か旅行している人。
日本人の英語学習者はつい聞いてしまう。
「帰ったら仕事どうするんですか?」
「日本語を学んで、次の仕事に活かすんですか?」

1年間も仕事や学校、母国から離れているんだから、それなりに何かを学ばないといけないんじゃないの?

多くの日本人はきっとそう思ってしまうんだろうな。

質問を受けて、ニコニコしながら
「今は日本にいるから、ここでの生活を楽しむんだよ」
「仕事のことは、帰ってからまた考えるよ」
そう答えるノンジャパさんたちからは、「何かを学ぼう」なんていう気負いは感じられず、ただ未知の国の毎日を楽しんで過ごしていた。
そうね、それでいいよね。

目的が無くても、やってみたいから、楽しいからやってみる。
終わってから、何か学んだことに気がつくかも。
そんな時間も大切。

かつての私は、企業英語講師として「TOEICスコア600点!」「海外勤務ができる英語レベルを目指して!」英語を教えることが仕事だった。
常に「目的」があり、それを目指していくこと、みんなを目標まで導くことが仕事。

那須高原に移住して、東日本大震災を経て、英語を教えることを再開した
10数年前からしばらくの間、私は「目的・目標」に縛られすぎていた。
それは「企業英語講師としての経験」を活かさなくちゃ、という呪縛だった。「目的・目標」を設定して、それに向かって学んでいくのが英語学習である、って思っていた。

今回のVoicy FESの対談を聞いて、「大人の学びに限界はあるか」という問いに、以前知り合ったノンジャパ旅行者のヨーロッパ人やアジア人、メキシコ人とか英語が第2外国語のみんなの、はちゃめちゃな英語を思い出した。
彼らは、どんな英語でも自分の意見をしっかり伝え、英語の苦手な日本人たちとも楽しく語らい、人生を楽しんでいた。
特に目的もなく日本に来た人もいるかもしれないけど、いろんな経験をしてきっと色々学んだに違いない。
いろんな国の人たちと英語で交流できたコロナ前の数年間は、たとえそれが TOEICスコアUPに繋がらなくても、多くの受講生にとって楽しい大人の学びだったと思う。

「元英語講師の経験なんて、農業にも冬の英語倶楽部にも活かさなくってもいいじゃん」
と思えたら、今シーズンの<冬季限定なす英語倶楽部>はまた違う取り組みができるかも。
さて、12月中旬開講目指して急いで企画しないと。





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