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プロンプトエンジニアリング大全 2.4 プロンプトの要素


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命令

言語モデルやAI技術を活用する際には、ユーザーが特定のタスクをモデルに依頼することが一般的です。この依頼や要求の具体的な内容や方向性を示す部分を「命令」と呼びます。命令は、AIモデルに対するインターフェースの中でも非常に重要な役割を果たします。この命令の精度や明確さが、モデルが生成する結果の品質や適切さに直接的に影響を与えるからです。

例えば、ある文章や段落を短く要約するタスクを考えてみましょう。この場合、ユーザーはモデルに対して「文章を要約してください」という命令を与えることが考えられます。この命令は、モデルが行うべきタスクの種類や方向性を明確に示しており、モデルはこの命令に基づいて文章の要約を行います。同様に、英語の文章を日本語に翻訳するタスクの場合、「以下の英文を日本語に翻訳してください」という命令が適切となります。

命令の内容や形式は、モデルの能力や特性、ユーザーのニーズや期待に応じて変わることが考えられます。例えば、あるモデルが詩の生成に特化している場合、ユーザーは「恋についての詩を書いてください」という命令を与えることが考えられます。また、他のモデルがビジネスレポートの作成を得意としている場合、ユーザーは「第2四半期の販売データに基づく分析レポートを作成してください」という命令を与えることができるでしょう。


文脈

命令だけでは、AIモデルが正確かつ適切な出力を生成することは難しいことが多いです。これは、命令の内容や形式が非常に一般的であり、モデルがどのような背景や文脈の中でその命令を解釈すべきかが不明確であるためです。このような場合、モデルの解釈や出力の質を向上させるためには、プロンプトに「文脈」という要素を追加することが必要となります。

文脈は、モデルに与えられるプロンプトがどのような背景や状況の中で発生しているか、またはどのような目的や意図のもとで与えられているかを示す情報や指示です。この文脈を提供することで、モデルは命令の内容や意味をより正確に捉え、より適切な出力を生成することができるようになります。

たとえば、ある企業の製品に関するレビュー文章を分析するタスクを考えてみましょう。ユーザーはモデルに対して「このレビューを分析してください」という命令を与えるかもしれません。しかし、この命令だけでは、モデルはどのような観点や基準でレビューを分析すべきかが不明確です。この場合、ユーザーは「この製品は最近リリースされた新製品であり、競合他社の製品との比較が重要」という文脈を追加することで、モデルにより具体的な分析の方向性を示すことができるでしょう。

このように、命令と文脈は、AIモデルに対するインターフェースの中で互いに補完し合う関係にあります。命令はモデルが行うべきタスクの種類や方向性を示し、文脈はそのタスクをより具体的かつ適切に行うための背景や状況を提供します。これらの要素を適切に組み合わせることで、ユーザーはAIモデルをより効果的に活用することができるようになります。


入力データ

デジタル時代において、情報は多岐にわたるフォーマットや形式で存在し、それぞれが特定の目的やタスクのために使用されることが多いです。言語モデルやAI技術を利用する際にも、これらの情報は入力として供給され、モデルが処理を行うための基盤として機能します。この情報のことを「入力データ」と呼びます。

入力データは、言語モデルやAIの動作において中心的な役割を果たします。これは、モデルが生成する出力は、この入力データに基づいて決定されるからです。入力データの内容や品質が変われば、モデルの出力もそれに応じて変わることが期待されます。

例として、ある長文のテキストを要約するタスクを考えてみましょう。この場合、ユーザーがモデルに提供する「具体的なテキスト」が入力データとなります。そして、このテキストの内容や構造、文体などの要素が、モデルが生成する要約の質やスタイルに影響を与えることとなります。同様に、数値データを解析するタスクの場合、ユーザーが提供する数字や統計情報が入力データとして機能します。

入力データは、テキストだけでなく、数字、リスト、画像、音声など、多岐にわたるフォーマットや形式で存在することがあります。これらのデータは、モデルの能力や特性、ユーザーのニーズや期待に応じて選択され、適切な形式で提供されることが求められます。また、入力データの内容や品質が出力の品質に直接的に影響を与えるため、ユーザーはデータの選択や整理、前処理などの工程に注意を払う必要があります。


出力指示子

AI技術や言語モデルの進化により、現代のモデルは多岐にわたるタスクや要求に対応することが可能となりました。しかし、これらのモデルがどのような形式やスタイルで回答を返すかは、ユーザーの指示や要求に応じて変わることが多いです。この指示や要求の部分を「出力指示子」と呼びます。

出力指示子は、モデルの出力の形式やスタイル、範囲などの要素を明確に指定することを目的としています。これにより、ユーザーはモデルからの出力をより具体的かつ適切な形で受け取ることができるようになります。

たとえば、ある情報をリスト形式で提供するタスクを考えてみましょう。この場合、ユーザーはモデルに対して「リスト形式で答えてください」という出力指示子を与えることが考えられます。これにより、モデルは指定された形式に従って情報を整理し、リストとして出力することが期待されます。同様に、特定の情報を3つのポイントでまとめるタスクの場合、「3つのポイントでまとめてください」という出力指示子が適切となります。

出力指示子の内容や形式は、モデルの能力や特性、ユーザーのニーズや期待に応じて変わることが考えられます。また、出力指示子を適切に設定することで、モデルの出力の質や適切さを向上させることが可能となります。これは、モデルがユーザーの要求をより正確に捉え、それに応じた出力を生成することができるからです。

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