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プロンプトエンジニアリング大全 2.3 LLMの設定


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Temperature

定義と概要

Temperatureは、近年のAI言語モデル、特にLLMなどの高度なモデルにおいて、生成されるテキストのランダム性や多様性を制御するための重要なパラメータとして導入されました。このパラメータの存在は、AIモデルの出力を特定のシチュエーションやニーズに合わせてカスタマイズすることを可能にしており、多くの研究者や開発者にとって非常に有用なツールとなっています。

Temperatureは、モデルが生成する回答の一貫性や独自性、そして信頼性に直接影響を与えます。たとえば、新しい情報やクリエイティブな答えを求める場合、高いTemperature設定を選択することで、モデルからの多様な回答を期待することができます。逆に、確かで一貫した答えが求められる場合、低いTemperature設定を選択することで、モデルはその要求に応じた回答を提供する可能性が高まります。


値の範囲と影響

Temperatureの設定値は0から1の間で調整することができます。この範囲内での設定値がモデルの出力にどのような影響を与えるのかを理解することは、適切な結果を得るための鍵となります。

0に近い値を設定すると、モデルはより保守的で、以前に学習したデータや情報に基づいて、確信度の高い回答を優先して生成する傾向が強まります。これは、公式や一般的な知識に基づく質問に対する回答や、誤解を招くことなく情報を提供する必要がある場面で特に有用です。

一方、Temperatureの値が1に近づくにつれて、モデルの出力はよりランダム性や多様性を持つようになります。これにより、モデルは標準的な答えや保守的な答えから外れた、予測困難な回答を提供することが増えます。このような設定は、クリエイティブな思考や新しい視点を求める場面での使用に適しています。


デフォルトの設定

多くのモデル、特にLLMのような高度な言語モデルでは、デフォルトのTemperature設定として0.7が採用されています。この値は、モデルの出力の一貫性と独自性の間の適切なバランスを提供することを目的としています。

0.7という中間的な値は、多くの一般的なシチュエーションやニーズに対応するためのバランスを取りつつ、ある程度の多様性や新しい視点を提供することができるため、デフォルトとしてこの値が採用されています。

使用例
Temperatureの値による具体的な影響を理解するための例として、簡単な算数の問題「1 + 1」を取り上げてみましょう。Temperatureを0に設定した場合、モデルは学習データに基づき、最も確信度が高いと判断される「2」という答えを返すでしょう。このような設定は、正確性や信頼性が最も重要とされる場面での使用に向いています。

一方、Temperatureを1に設定すると、モデルの回答は非常に予測困難になります。たとえば、「1 + 1」の問題に対して「123456」といった独自性の高い、かつ実際の答えからはかけ離れた回答が返される可能性があります。このような設定は、通常の使用には向かないかもしれませんが、クリエイティブな思考を刺激するためや、モデルの出力の多様性をテストする場面などでの使用に適しています。




Top_p

定義と概要

Top-pは、近年の進化したAI言語モデルの出力を制御するための特定のパラメータとして導入されました。このパラメータは、モデルが次に生成する単語や文字の選択範囲を狭めるためのものであり、これによりモデルの回答の一貫性や適切さが向上することが期待されます。

具体的には、Top-pはモデルが生成プロセス中に次の単語の選択肢をどれだけの範囲で考慮するかを指定する値として機能します。例えば、モデルが特定の文脈で次の単語として「猫」と「犬」の2つの選択肢を考慮しているとしましょう。Top-pの値によって、これらの選択肢のうちどれを考慮するか、あるいはどれを無視するかが決まります。


Temperatureとの違い

TemperatureとTop-pは、どちらも言語モデルの出力の品質や形状を調整するためのパラメータであり、一見似ているように思えるかもしれません。しかし、これら2つのパラメータがモデルの動作に与える影響は根本的に異なります。

Temperatureは、モデルが持っている確信度や自信の度合いを全体的に調整する役割を果たします。低いTemperature値では、モデルは学習データに基づいて最も確信度が高いと考えられる答えを選択する傾向が強まります。一方、高いTemperature値では、モデルの出力は多様で予測困難なものとなる可能性が高まります。

一方、Top-pはモデルの出力における確率的な分布そのものを調整する役割を果たします。これにより、モデルは特定の確率値以上の選択肢のみを考慮し、それ以下の選択肢は無視することができます。


値の範囲と影響

Top-pの設定値は0から1の間で変動します。この範囲内での設定値がどのようにモデルの動作に影響を及ぼすかを理解することは、モデルの出力の品質や形状を調整するための鍵となります。

0に近いTop-pの値を設定することで、モデルはその文脈で確率的に最も高い単語や文字の選択を優先します。この結果、モデルの出力は文脈に密着したものとなり、一貫性や信頼性が向上することが期待されます。一方、Top-pの値が1に近くなると、モデルは多くの異なる選択肢を考慮するようになります。これにより、モデルの出力は多様で予測困難なものとなる可能性が高まります。

使用例
Top-pの動作を具体的に理解するための例として、典型的な物語の始まり「昔々あるところに」という文を考えてみましょう。Top-pの値を0に近く設定した場合、モデルはこの文の続きとして最も一般的で予測される「おじいさんとおばあさんが」というフレーズを選択する可能性が高まります。これは、多くの物語や童話でこのようなフレーズが使われているためです。

一方、Top-pの値を1に近く設定すると、モデルの回答は予測困難なものとなる可能性があります。たとえば、「宇宙人と大統領が」といった予期しないフレーズが選択される可能性が考えられます。これは、高いTop-pの値がモデルに多様な回答を生成するよう促すためです。

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