きゃわいい!スマホ・ストラップの衝撃
去年の12月頃だったと思うけど、屋外でポケモンGOをプレイしていたら、手を滑らせてスマホをアスファルトの上にド派手に落としてしまった。あっ、と思うと同時にスマホの液晶画面が下向きになっていることに気がついたけど、気がついたとてどうにかできるものでもない。
うつ伏せになって地球と仲良ししているスマホを見つめてから、意を決して拾い上げた僕の目に映ったのは、画面の半分以上に及ぶ亀裂が入り、目を凝らしても何のポケモンなのか判別することもできないほどバキバキに割れた液晶画面だった。(写真を撮っておけば良かったな…)
修理から帰ってきたスマホ(正確には同じ機種のリユース品と交換)をみて、僕は決心した。
もう二度と君を離したりはしないよ、と。
だが、人間の決意や決心というものがいかに儚く頼りないものであるかについて、僕は知りすぎるくらいに知っているつもりだ。特に男に関しては、二度と浮気はしないと誓っておいて、次の日には浮気をしているくらい意志の弱い生き物なのだ。
僕は思うのだけど、「以後注意します」とか、「二度と同じことをしないよう心がけます」、みたいな言葉を平気で言う人間はほぼ必ず同じ失敗をやらかすので、絶対に信じない方がいい。具体的な解決策を提示せずに、意思表明だけしても信用ならない。
考えてみてほしい。ミスをしようと思ってミスをする人間などいない。ミスをしないように気をつけているのに、それでも人間はミスをしてしまう。これをヒューマン・エラー不可避の原則と呼ぶ。僕が勝手に呼んでいるだけだけど、ピタゴラスの定理と同等のレベルで信用できる真理だと確信している。
そう、問題は、心がけとか意識の持ちようとか、そんな感情的なことではないのだ。絶対に落とさないぞと、24時間絶え間なく考え続けるなど不可能である。問題解決において重要なのは、いかに人間の意思や行為に頼らないシステムを構築するか、という一点にある。言い換えれば、そもそも人間がミスをする機会が生まれないように、あるいは仮に人間がミスしても大事に至らないように、制度化することこそが真の意味における問題解決なのだ。
そういうわけで、僕がまず最初にしたことは、スマホを落としたことを友人たちに報告して、どうすればスマホの画面を割るという悲劇を繰り返さないで済むか、アイデアを募ることだった。
僕「みんながスマホの画面を割らないために実践している方法を募集」
僕の友人たちは優しいので、スマホを落としたことを馬鹿にしたりするどころか、すぐに対策方法を提案してくれた。
A「分厚い保護シートつけてるよ」
B「折りたたみケースに入れてる」
C「俺も液晶シートやな」
ふむふむ。分厚めの液晶シートは手軽にできて良さそうである。僕は早速インターネットで評判の良い液晶シートを調べ、Amazonのアプリをぽちぽちして購入した。
さて、次はスマホケースであるが、これがなかなか好みに合致したものが見つからない。僕が使用しているのはiPhone XRで、グレイシアのデザインのケースはほとんどiPhone13以降にしか対応しておらず、しかも折りたたみ式ではないのだ。これには困った。
こうして僕が困り果てていると、衝撃の解決策を提示してきた猛者が現れる。
(崎陽軒の)シュウマイくん「首からぶら下げとけよ」
ケータイを首からぶら下げる? それじゃ、まるで小学生みたいじゃないか。いくらなんでも、成人男性がスマホを落とさないように首から下げて街中を歩くなんて、恥ずかしいにも程があるんじゃないだろうか。うむ、これは名案だ。
たまたま近い日に、当の名案を出してくれたシュウマイくんとポケモンセンター渋谷に行くことになった。シュウマイくんは美容院に行ってから来ると連絡があったので、僕はひと足さきに一人でブラブラと店内を見物していた。すると、僕は発見してしまったのだ。
エーフィとブラッキーのスマホストラップがある!
きゃあああああああわわわわわいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
他にもピカチュウやメタモンのデザインもあったけど、グレイシアの次はブラッキーとエーフィが好きなポケモンコロシアム世代(懐かし)の僕は即決で購入することにした。価格は2000円ちょっと。安くはないけれど、エーフィ&ブラッキー(きゃわいい!)のために払う実益を兼ねた2000円なら、液晶画面を割って1万円以上払うよりは断然マシだ。この時の僕は、スマホの修理代ほど虚しい支払いは他にないことを知ってしまっていたから。
やがて僕はシュウマイくんと合流して、スマホストラップを購入することをウッキウキで伝えた。するとシュウマイくんは驚いた顔で「え、まじで首からぶら下げんのwwww」と笑った。いや、お前が言ったんやろがい。
僕はついでに渋谷店限定のグレイシアのオリジナルTシャツを作ってから、レジでスマホストラップを購入した。そしてシュウマイくんと近くのガストに入り、早速装着してみることにした。
僕「ん、これ紐が長いな」
シュウマイ「そこで調節しろよ」
僕「(首から下げてみて)なんかぶらぶらするな」
シュウマイ「斜めがけにすれば?」
僕「?!?!?!(その発想があったか!)」
そういうわけで、僕はスマホを肩に斜めがけデビューを果たした。
あれから半年以上にわたってスマホを首からぶら下げているけど、これは本当に買って良かった商品だった。おかげさまでアスファルトはもちろん、トイレや洗面台で水にドボンする危険も無くなった。
さらに、「(家の中で)あれ、スマホどこにおいたっけ?」病も、「やっべ、スマホ電車に忘れてきた」病も、「え、え、え? ポケットに入れてたのに、いつの間にか滑り落ちてた…」病も、スマホにまつわるありとあらゆる病気を治療することに成功した。そう、玄関にランドセルを忘れて通学しようとした間抜けな少年もついに、スマホを持つことで付きまとう多種多様なバリエーションの紛失の危険と袂を分つことができたのだ。
これだけだと、忘れ物癖のない一般の方々には、スマホストラップを装着するメリットとしては弱いかもしれない。でも、僕はただ事故防止のお守りとしてだけではなく、ファッション感覚でもスマホストラップをお勧めしたいと思う。
僕はポケモンセンターや駿河屋で小物やキーホルダーを集めるのが好きなのだけど、付ける場所がなくて家で飾るしかなかった。それはそれで嫌いではないけど、僕はあまりグッズの鑑賞には興味がなくて、どちらかといえば身につけて外を歩きたいタイプである。
ある時、ふと思いついてスマホストラップにアクセサリーをつけてみたら、意外といい感じだった。こうしておけば、「あ、あのキーホルダーいいな」と目線をそちらに移すことができ、「あの人はスマホを落とさないためにぶら下げてるんだ」と思われずに済む。いくつかのアクセサリーをその日の気分で付け替えることができるので、個人的にはとても満足している。
スマホストラップで気をつけることは、定期的にストラップの付け根が消耗していないか確認することと、ぶらぶらさせているうちにどこかにぶつけないようにすることくらいだ。装着後にも何度も手を滑らせてスマホを落としそうになったけど、その度にストラップに救われることになった。
本当は折りたたみケースまで装備すれば完璧なのだろうけど、流石にやりすぎかと思うのと、グレイシアのポケカ(シュウマイくんがくれた)を入れるために、デフォルトのアクリルケースのままにしている。
ところが街を歩いていても、男性でスマホストラップを使っている人は見たことが無い。一方で、女性は斜めがけしている人を見かけることがけっこうあるけど、キーホルダーや小物を付けている人はいないようだ。まだまだ市民権を獲得しているとは言い難い状況なのかもしれないけど、僕としてはスマホストラップは本当に買ってよかった商品だと思うので、使用者がもう少し増えてくれれば嬉しい。
というか、もっと男性もスマホストラップを使うようになってくれれば、いちいち僕のことを「落とさないように首から下げるなんて小学生かよ」と視線を送ってくる人がいなくなると期待している。え、だれも気にしてないって?あーはん。
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