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電子ピアノ市場におけるヤマハの戦略

電子ピアノに限らず、ヤマハの音楽産業の基幹にあるものは「市場創出」であり、音楽文化を育てた上で、楽器販売の拡販である。いわく
全国的な音楽教室の展開であったり
ポプコンもしかり
(と言っても今の若者は知らないだろう・・・かつてはヤマハ・ポピュラーコンテストというものがあり、ロックやフォークといった音楽でな名を上げたい若者たちがこぞって応募したコンテストがあった)
そして日本の音楽市場を作ってきたのは自分たちであるという自負がある。
まあ、電子ピアノについては、前述したエントリー層でのシェアを拡大したい気持ちはあまりなく、他社メーカーも含めてユーザーの選択枝が増えて、結果としてピアノ人口は増えればいいのである。
そして初心者を卒業した人たちが、グラビノーバなり生ピアノを買う。
そこで儲ければいいというスタンスだと思う

だからエントリー層でカシオが、コストの安い製品を出して結果的にそれがピアノ人口を増やしてくれるのであれば、ヤマハにとってもむしろ嬉しい。
カシオはヤマハにとってコンペチタでもなんでもないのである。(最近は少し状況が変わってきたが)
もういずれにしても、電子ピアノのついてのヤマハの金のなる木はグラビノーバ。
であれば、グラビノーバの価値を維持するために、エントリークラスであるアリウスの相対的な価値は下げざると得ない。
グラビノーバとアリウスが機能的に大差ないといった状況はあり得ない
具体的な例を示そう。
GH鍵盤というものは、四半世紀前に出た化石的な鍵盤であることは以前説明した。
センサーが2つしかなく連打性が悪い鍵盤だ。
それで2002年にセンサーを3つにしたGH3を出してクラビノーバに搭載した。
では、アリウスのGH3が搭載されたのはいつか?
なんと2016年のYDP-163なのである。
ライバルである河合はレスポンシブ・ハンマー・アクションIIがCN24に搭載されたのは2012年。3センサーでレットオフフィール(河合版のエスケープメント)が搭載されている。
ちなみに最新のアリウスでもエスケープメントがないから、10年前の河合の鍵盤には追い付いていない。
いや、追いつこうと思えば可能だが、わざとそうしていない。
そう考えるのは、クラビノーバのクラスでは河合に対して圧勝できると思っているからである。
さて、対カシオについてはどうか?
エントリークラスで最も売れているのは、PS-X770であり、鍵盤は短いながらも3センサーで自重で動作するタイプ。
3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤IIは2012年にできた鍵盤である。
さてその対抗馬として用意されている最新機種のYDP-145の鍵盤は?
4半世紀前にできたGH鍵盤の長さを短くして鍵盤を軽くして劣化させた2004年に登場したGHS鍵盤である。

この事を見ても、ヤマハはアリウスクラスで他社に勝とうとは思っていないのである。



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