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電子ピアノの鍵盤の設計はその時のプロセッサ性能に依存しているので設計の古い鍵盤はだめ

GHS鍵盤の元となるGH鍵盤は四半世紀以上前に設計された鍵盤である。
物理的な鍵盤構造は古くても部品やプロセッサが進化すれば問題ないじゃないと思う人がいるかもしれない。
私はそう思わない。
何故なら前に書いたように電子ピアノの表現力は「速度センサー」にかかっている。
そしてのそのセンサーの位置はソフトウェアのように簡単に変えられないものだと思う。
そしてそのセンサーの場所は、その鍵盤が設計された時代のプロセッサの性能に大きく依存すると考えるからだ。
電子ピアノはセンサーで検知した数値をもとに複雑の計算をして音を出す。
じゃあ、その検知と計算をいつやってんの?
鍵盤が完全に降りた時?
それじゃ間に合わないはずだ。
すなわち鍵盤が押され始めて完全に降りるまでの間のどっかで検知して計算して音を出す。
試しに私の所有するGHS鍵盤で試してみると「ゆっくりと中ほどまで鍵盤を下げて一気に力を入れて押し込む」こうするとどうなるか?
そうすると「音がならない」
本物のピアノでありえないことだ
今度は、鍵盤を下がらない高さで高速で弾くとどうなるか?
「大きな音がでる」
まあグランドピアノと全く反対だ。
だからこういう電子ピアノでいくら高速トリルが弾けてもグランドピアノでは弾けないのだ。
想像するにGH鍵盤やGHS鍵盤のセンサーは相当高い位置についていて、そこで収集した情報から複雑な計算を行い、鍵盤を押し下げたタイミングを予想して発音する仕組みになっているのではないかと想像する。
(これはあくまでも個人の想像です)
プロセッサの性能はいまより低い四半世紀前の事である。
まあ、そのようになっても仕方ないだろう。
そのあたりはヤマハも問題ととらえており、高速連打用にセンサーを増設した。それが2002年に出たGH3である。
ただし根本的な構造にはまだ問題があったために一から設計し直して2017年にグランドタッチ鍵盤を出した。
さて電子ピアノについてはハード部分よりもプロセッサの中の膨大なプログラムの作成や修正のほうが大変に思える。
それらの多くはプロセッサ用の専用言語であったり高級言語でなく非常にスキルの高い技術者が数多く必要だ。
かつてはパソコンも手掛けて、自社製品のための半導体製造を手掛けており優秀な技術者を多数抱えていたヤマハも、2000年前後を境に半導体事業から撤退。
結果、相当数の技術者や知見が失われていったものを想像難くない。
GH鍵盤という古いテクノロジーから脱するのに20年も要するわけである。

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