いつかの猫は

夏っぽくなってきた。というか7月になった。

昔は夏が好きだったのに、今はそうでもないような気がしてきている。
エアコンが苦手だ。冷え症だから風があたれば腕が冷え、かといって気温を上げれば汗ばむ。室内は過ごしづらい。外でテニスをしている時が一番マシかもしれない。熱中症で死にかけるけれども。

賞与が出た。
職場の業績が良かったから支給月数が多くて、あまり見たことのない額が預金に入っていた。だからどうってことはない。お金で解決できるような悩みは、今のところ持っていないし。特に欲しいものもないし。

6月が終わった。
上半期が終わったということ、そしてもうすぐ誕生日を迎えるということが、1日1日の意味を考えさせる。
この半年、自分は一体何をしていたのだろう。まあ楽しくやっていたのかな。結末に目を背けさえすれば。

終わってしまった瞬間から、梢を離れた葉が水分を失っていくように、全てが虚しくなっていく。今さら悩む心の動きではない。何回も経験してきたことだ。それにしても、「自分は一体何をしていたのだろう」と呆然と振り返ることをやめられない。

ピロウズのストレンジ カメレオンを口ずさむ時、いつも一つのフレーズを思い浮かべる。

「いつか慣ついていた猫は お腹空かしていただけで」

なんてことない、いつものことさ。「つじつま合わせ」だよ。
そんな強がりみたいなことを独り心の中で念じながら、込み上げるものがあることくらいは自覚している。また写真は消せなかった。

そんな上半期だった。いつまでもどこにも行けていないのに、時間だけは過ぎてくね。
支離滅裂な映画の中の景色を、時々思い出すよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?