塵箱

現実では研究職とかしながら、だいたい休日の1/4はテニスしてます。グミと音楽がちょっと…

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現実では研究職とかしながら、だいたい休日の1/4はテニスしてます。グミと音楽がちょっと好きです。

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2023年 空

    • 外濠の道と空

      日曜。 撮った写真だけぶん投げて、特に何かを書くことはしなかった。今日は少し時間と落ち着きがあった。 仕事中にGoogle Mapを眺めている時、ずっと外濠が気になっていた。都内に流れる川が昔、江戸城の堀の役目を果たしていたということが。何となくその辺を歩いてみたいと常々思っていて、連休で時間もあったので、わざわざ都内まで出て、また当て所ない散歩に繰り出した。 秋葉原まで出て、何も考えずに神田川沿いを歩きだす。9月も半ばだというのに、真夏のような日だった。最近、どうやら自

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        9/15(外濠)

        • 『横浜』

          最後に横浜の姿をアップデートしたのは、いつだっただろう。 学生時代に横浜に住んでいた時にも、西口へ向かう通路は何度も姿を変えた。地上側に急に開ける空間にも見覚えがあったので、多分去年か一昨年には来ていたのだろう。JRの中央改札から相鉄交番へ抜ける時に見える、やたらと黄色い店構えも変わっていないんだなと少し笑った。てっきり、失礼ながら、すぐに違う店に取って代わられるものだと思っていた。 そごうのエスカレーターを上って上って、フロアに広がるロフトと紀伊國屋書店も変わっていなくて

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        2023年 空

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          ここが横浜の夏なのだと思い出した景色

          ここが横浜の夏なのだと思い出した景色

          夜の穴

          この時期は出張が多い。新横浜って意外と来たことがなくて、土地勘のない無機質な街を面白がって散歩している。 就職活動の時ではなく修士一年の秋だったか。当時の第一志望の会社に、不遜にも受け付けてもいないインターンシップを申し込んだら、リクルーターの人が面談してくれたのが新横浜だった。真新しい駅の狭いカフェで、探り探りの話をしたことだけをよく覚えている。 適当に日産スタジアム方面に歩いてゆくと、唐突に街が切れ、秋の虫が鳴く川に出る。2年前、大阪の中之島にもこんな景色があった気が

          今日も死人が日なたを歩いておりますよ、もう夜だけど

          今日も死人が日なたを歩いておりますよ、もう夜だけど

          「100日後に死ぬワニ」が死んでからもう1000日も経っている、という話を見た。 内容なんてもうすっかり覚えちゃいないけど、あのコンテンツを読んでいた頃って、まだ友人達との学生時代の余韻を残した繋がりがあり、そして、あの春に向かっていく季節だった。 春の陽気に少しずつ思考を蕩かされながら、徐々に世界が狭くなっていった季節のことを思い出すたび、懐古と諦念と、抱擁と寂寞とが、自分の中にぽっかり空いた夜からとめどなく溢れ出てくる。きっと、だから遠ざけていた。忘れていた。

          晩夏の午後

          朝、最近は部屋のドアを開けた時、「涼しい…」と思わず呟いている。夏が終わる。 今年は、生存するのも厳しいと思わされた夏だった。果たしてエアコンという文明の利器無しで、現代の日本の夏を生き延びることができることが出来るのだろうか。そんな夏も終わる。 夏らしいことなんて何一つしていないのに。ただエアコンの効いた部屋でキーボードを叩き、時折建屋の間を行き来して、そして灼熱の日差しの下でテニスをしていただけ。自分の生活の中で夏らしいものなんて、頭上に広がる入道雲くらいだった。 こ

          晩夏の午後

          「貸切」としか表示されていないバスに乗り、イヤホンをしてるのでアナウンスも聞かず、勘で現在地を判断してる

          「貸切」としか表示されていないバスに乗り、イヤホンをしてるのでアナウンスも聞かず、勘で現在地を判断してる

          この上には宇宙が続いているのだと、そう思わされた色

          この上には宇宙が続いているのだと、そう思わされた色

          失くしたもの二つ

          最近、言葉で何かを表現することができない。表現するほどのものは、もう自分の中に無いということかも知れない。 この空の色を切り取りたくなったように、今までだって、表すべきものは外界にしか無かったのかも知れない。 ただ、これからもう自分の中に何も生まれることが無いのではないか、と考えることが少しだけ怖い。 最近、一年前の晩春の情景だけを思い出す。 もう写真も消してしまったあの季節は、入道雲もこんな暑さも無かったのに、やたらと眩しかった。 もう過去の話。

          失くしたもの二つ

          旅情

          出張先のホテルから見える景色が好きだ。窓越しに見下ろす、ミニチュアのような路地裏と車。垣間見える、自分の人生とは無関係の人々の生活。「旅情」という言葉に込められた意味かもしれない。 学会に出るため、東京の奥地まで出ていた。最寄り駅からだいたい2時間。遠い。ただひたすらに遠い。所要時間の割には距離は短くて、出張規定上は宿泊が認められないと思われたので、仕方なく自腹を切ってホテルを取る。アメニティには櫛もなく、ティーバッグすら置いていない、簡素なホテルだった。それでもまあ、ベッ

          お盆の帰省の時に見た空。翌日、38.4℃の熱を出してダウンするとも知らず。

          お盆の帰省の時に見た空。翌日、38.4℃の熱を出してダウンするとも知らず。

          明けたら

          日付の変わった時間くらいから夢と現実を行き来して、2時頃には目が覚めてしまった。 スマートフォンなど見てやり過ごすが、少し高めに設定したエアコンのせいか、部屋の湿度も高くて、どうにも寝付けない。仕方なしに、ベランダに出て、紅茶を飲みながら街が目覚めるのを眺めている。 今日の天気は、あまり綺麗とはいえない曇り空。きっと月も見えなかっただろう。誰かを呼ぶような、小鳥の声が一番乗り。やがて示し合わせたように、一斉にアブラゼミが鳴き始める。遠く右の方から、ヒグラシの声が聞こえていた

          明けたら

          イヤホンを外せ

          街へと向かう電車の中。 こんな暑さだというのに、電車の中には人が多い。「殺人的な暑さ」などという10年前の夏を形容した言葉はもはや生易しく、2024年の夏はもう当たり前にヒトを殺しに来ている。 久しぶりに何か書いてみよう、と思ってnoteを開くと、何か思索を繋げようとした形跡が下書きに残っていた。 書いていた時の感情をありありと思い出せる。それは、ここ数年間自分の中に残り続けている夜の景色と同じものだ。けれど、この言葉たちを、別に今更完成させる必要はないように思われた。

          イヤホンを外せ